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「ジャケ買い」と云う言葉がある。アルバムのジャケットの写真やデザインが良いという事だけで買ってしまう事だ。かつてアルバムが30cmのLPだった頃には、ジャケットはもうそれだけで一つの絵の様な存在感を持っていたので、ジャケットのデザインは現在のCDのアルバムよりはるかに重要だったのだ。しかしこの買い方、音楽ファンには邪道な様にも思われるかもしれないけれど、意外にハズレは少ない様に思う。例えば、ハービー・ハンコックの「処女航海」、ビル・エヴァンスの「WALTZ FOR DEBBY」、山下達郎の「ON THE STREET CORNER」の初回盤(NY(?)の街のビルを仰ぐ様に撮った黒白写真のジャケット)等は、どれもジャケットの美しさに惹かれて衝動的に買ったけれど、実際に中身もとても良かった。良い作品に良いジャケットが付くのは何かの力が働くのか、つまり良い作品を収めるジャケットはやはり良いものでないと、本当の「名作」にはならないのかもしれない。
実はこのアルバムもジャケ買いなのである。この頃のCTIレーベルのジャケットのほとんどに使われていた筆者の大好きなアメリカの写真家、ピート・ターナーの美しい写真を使ったこのアルバムは、筆者がTAMBA TRIOの事を知るずっと以前から実は欲しかったのだ。それにしてもこの頃のCTIの一連のジャケットは本当に素敵なデザインでとてもセンスを感じる。これが縦横30cmのアルバム・ジャケットだったら部屋に飾ってしまいたくなるのも人情だ。写真も配置も文字の書体も、全てがとてもお洒落にデザインされている。何年か前にZARDがこのCTIそっくりの写真(ウェス・モンゴメリーのCTI作品「ダウン・ヒア・オン・ザ・グラウンド」)とジャケット・デザインで「BLEND」とかいうCDを出した時、本当に腹が立った。とても大切にしていたものを貶められた様な気がしたのだ。もっともその後、坂本龍一まで「CASA」でドンズバ・コピーしてしまったのでガックリ来てしまったが(ましてやジョビン/ボッサ作品…)。
そして話しを「WE AND THE SEA」に戻すが、このアルバムもジャケ買いして大正解だったのだ。なんとも良い雰囲気なのだ。ただのボッサとは違う、ブラジリアン・インストゥルメンタルのとても良い部分を聴かせてくれる、とても上質だがお上品になりすぎはしない、絶妙のバランスを保っている。ドルヴァル・フェレイラの曲で『Flower Girl(モサ・フロァ)』の静かだが情熱を感じる歌と演奏、特にルイス・エサのピアノの美しいこと…。ホベルト・メネスカルの曲、『WE AND THE SEA(二人と海)』の楽しく軽快な演奏、グループのリーダー、ルイス・エサの『THE DOLPHIN』という曲も、とても美しいテーマでうっとりとしてしまう。
TAMBA 4というと、本来のTAMBA TRIOのファンからすると物足りない内容かもしれないが、そこはCTIのお洒落サウンドなのだと割り切って聴くのも良いものだ。実際筆者はここからタンバ・トリオに遡って聴いていったが、それらはこのアルバムとはまた違った魅力を持っているのだが、爽やかさではやっぱり「WE AND THE SEA」が一番だと思う。まぁ勿論、ジャケットの美しさが余計にそう感じさせるのだとは薄々勘付いてはいるのだが。
タンバトリオ タンバ 4 タンバ4
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▼曲目
1.The Hill (O Morro)
2.Flower Girl (Moca Flor※)
3.Iemanja※
4.We And The Sea (Nos E Ou Mar※)
5.Chant Of Ossanha (Canto De Ossanha)
6.Dolphin
7.Consolation (Consolacao※)
※ポルトガル語で表記される独特のアルファベットが表示出来ないので、
似た形のアルファベットで代用して表記しています。
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