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[[attached(1,center)]] 佇むのは一本の板切れが突き立てられた場所。 この薄い板切れにそれといった目印は無い、摩り替えられたり、一度でも抜かれてずらされても気付かないのだろう。 それでも、何故かこの場所を間違えることが無いと何の確証も無しに確信していた。 首元に下げられた数珠を指先で弄りながら、ぼんやりと板切れを見下ろす。 目に宿るのは哀しみでも怒りでも無く、虚無に近い。 しかし虚ろな雰囲気は無く、過去を夢想してる・・・というよりも、ただ目の前の事実を眺めているだけ。 「?」 ひんやりとしたものが頬を滑る感触に、視線を空へと向ければ真っ白い粒がハラハラと舞い落ちてきた。 泣いてるのか、慰めてるのか、それともただ自然の摂理に従っているだけで意味など無いのか、袂を引き寄せ視線を戻す。 まだ立ち去る気にはなれなかった。 何度来ても無言、今年も同じ事を繰り返すのだろうかと自問し、浮かんだ猿に似た明るい笑顔に釣られ思わず笑みを浮かべていた。 今年ぐらいは話していくべきなのかもしれないと閉じていた口を開き・・・しかし何も出て来ず苦い笑みを零す。 「・・・・・・同じ日に生まれてくる人が居る、同じ日に死ぬ人も」 一方は聖人で、一方は名を残そうと足掻き・・・ 比べても意味は無い、広い世界に無数に住む人の一部が重なったに過ぎない”当たり前”に意味付けしただけの言葉。 無意識だったが、一度言葉が零れれば湧き出すように、今まで一度として話せなかった過去を振り返るように、零れ出す。 「一度はアンタの誘いに乗ってもいいかもしれないって思った」 返事をする前に逝ってしまった。最後の別れの時ですら最後などと考えず、返事をしなかったけれど。 思い出せば湧き出す過去は共に打った将棋の記憶。 最後も、あの時も、らし過ぎた。 「アンタは時期とチャンスを読み間違えた、悪くないのに一歩足りない」 チャンスの代償が命なんて笑えもしない。 不思議な魅力も、頭の良さも、培ってきた強かさすら備わって、盤上を把握することも上手かったというのに。 数珠を弄んでいた指先を目の前に立つ薄板に差し向け、そして打ち付けるように下ろす。 幻聴か、それとも叶わぬ望みか。 パチリと小気味良い音が聞こえた気がして、視線を目の前に見据えて、手をすっと下ろしてズボンに突っ込む。 「もう一度、アンタとは一勝負したかった・・・絶対負けなかっただろうけど」 ささやかな言葉は死んだことへの皮肉と、自信。 死を知らしめるのは一本の名すら刻まれていない板と半兵衛の記憶のみ。 ハラハラと慰めのように降っていた雪は、いつの間にか勢いを強め半兵衛の肩や頭に軽く積もっていた。 見える地面は白に染まり、純白の絨毯が出来上がる。 次に来るのは一年後、同じ日に。 だから一つ、墓場で見せるには不釣合いな喜びと楽しさに満ちた笑みを浮かべ、宣言する。 今まで一度として言葉なんて発せなかったそれをいとも簡単に零れさせた、才能溢れる存在の姿を思い浮かべて。 「アンタに似た、アンタ以上の人、見つけたよ。きっといつか俺が認める・・・いや、多くの民が認めるだけの人となりそうな可能性を秘めてる」 こっちはアンタ以上の見込み有りだけど、とさっきの様に打つ仕種を繰り返し、迷うことなく背を向けた。 別れの挨拶は必要ない、再会の約束も必要ない。 生きていれば来年必ず訪れる、死んでいれば・・・考えることでもない。 ひらりと片腕を持ち上げて、肩の雪を払いのけた。 残ったのは純白の地面に刻まれた足跡のみ。 [[attached(2,center)]] 日吉さんを主体にしたかったのですが、半兵衛のほうが書き易く断念(ノ∀`)
もっと良いもの書けなくてすみませんでした、書かせていただく許可を下さいましてありがとうございますw 楽しかったです(*´艸`*) PS/話の流れは半兵衛主体?ですが、日吉ファンです 壁】ω・*)ノ
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