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「国境の南側(約束)」・・・恋人の切ない別れを描いています。
私の好きな映画です。大阪アジアン映画祭で上映された、韓国の映画ですね。(じきにDVDレンタルさ
れるでしょう)
北朝鮮と韓国、同じ民族でありながら、相容れない過酷な運命を抱えた両国を舞台にしています。
と書きますと、そうですね、辛くなっちゃいますね。見る気なくしてしまう方も多いかと。
でも、ご安心下さい。韓国では、コメディチックな映画やドラマにも多数出演している個性派俳優チャ・
スンウォンが主演しています。ですから単純なお涙ちょうだい映画じゃありません(それゆえに悲しさが
引き立つとも言えますが)
(参考)
こちらから、韓国映画のブログが見れますよ。
https://movie.blogmura.com/movie_korea/
(シナリオの勉強になった点)
冒頭のナレーション「私は1975年10月10日朝鮮労働党創建の日に生まれました。名前はキム・ソ
ノ・・父が将軍様の護衛戦士になるようにと付けてくれた名前です・・・」と自己紹介が続きます。その
ナレーションに合わせて、彼が育った時代の北朝鮮の映像が流れます。テレビでお馴染みの、士気高揚を
目的として演出された軍隊のパレード、その他独特の数々の映像。
そして、彼の一家の説明が続きます(彼の祖父が朝鮮戦争の勇敢な戦士、自らを犠牲にして戦い名誉ある
死を遂げたおかげで、一家の身分は高く、彼は裕福な環境で彼は育っています。)
「シナリオ教則本」では、ナレーションを使用するときには、「単に」人物の説明として使うなと書いて
あります。ナレーションで語られていることは、もちろん彼の境遇で、説明として使われていますが、こ
のナレーションがねらっているいる効果は、この映画の「テーマ」である「人生とはそんな単純なもので
ない(決して思いどおりになるものでない)」というものです。なるほど、背景に流れる映像は北朝鮮を
批判するものとして描かれていると、容易に想像できます。この冒頭のナレーション及び映像表現によ
り、彼が育った国が彼に与えた単純な信念・考え方を皮肉っているのです。
北朝鮮の生活は、ドキュメンタリーでも何度もTV等で放送されていて興味深いですよね。
そういう意味からも、見たくなる演出かと思います。
さらに、北朝鮮が作った北朝鮮のための映画でなく、韓国が北朝鮮をどう見ているか・・・。
しかし、意外ですが、(冒頭シーンのせいでそう思ってしまうのですね)この映画は、北朝鮮の、しかも
特権階級だからと言って、北の人も同じ人間、特殊な人物像として描いていないのです。もちろん、北朝
鮮の人々の「単純思考」。将軍様が死んだ時のシーンなどは、なんとも言えませんが、そういったことを
除けば、彼らも普通の人間なのです。そして、彼には、恋人がいます。
どこの国であろうが、人が人を恋することに変わりはありません。
恋人とのシーンも、韓国映画ならではの素晴らしさで表現されています。
(あらすじ)
さて、映画のあらすじですが、ある時、彼は父から打ち明けられました。
祖父が南(韓国)で生きている、しかも相当な資産家として成功していると。そして、南へ来るよう誘わ
れているというのです。(名誉の戦死を遂げたとして祭り上げられているのに、資本主義の下で成功して
いるんですから何とも皮肉です)父は、祖父がもう長生きできない、今しか一緒に過ごす時間が残されて
いない、南へ行ってほしいと説得されます。彼は、恋人が後から追える準備をし、先に家族とともに韓国
への脱出を決行するのです。決行、ようやく韓国へたどり着くまではハラハラドキドキさせてくれます。
やっとの思いで、主人公は、韓国に来ましたが、彼らを呼んだ祖父は皮肉にも死んでいて、彼らは韓国で
苦労して生きていくことになるのです。後から来ることを約束した彼女に手紙を何通も送っても音沙汰な
しです。
主人公は、絶望します。やがて時は流れ、彼にも新しい家族ができました。
と、そんなとき、彼女が・・・・・。
ラストのナレーションですが、冒頭のナレーションに見事につながります。
冒頭、「単純な思考」で生きていた彼ですが、その後韓国へ来てからの思い通りにならない人生の悲哀を
語っています。
別れても、愛する思いは消えない、悲しいですが、それでも人生は続くのです。
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