いよいよ「iPad2」が日本で発売されるかもという話が出始めました。ま、個人的には今回も見送りかな。。。も少し手頃なサイズ、できたら昔のパワーザウルスのサイズぐらいがいいんだけどなって思ってまして。
それはともかく。iPad2が発表された3月3日、病気療養のために休職中のApple Computer CEO スティーブ・ジョブズ氏が会場に現れて拍手喝采が巻き起こったというニュースがありました。このヒト、私の大好きなMacintoshを世に送り出した一人、世界初のwebサーバーに使用されたNeXTcubeの開発、ピクサーの設立、瀕死の状態だったApple Computerを現在のような評価に押し上げた張本人、などと色々な功績があります。
その一方で、言ってることが正反対に変わってしまう「現実歪曲空間の持ち主」や、暴虐、闘争本能の塊のような独裁者など、マイナスイメージの権化のような人間性でも知られています。
けど、この人のすごいところは、実はこの服装です。
とあるサイトで見つけた「スティーブ・ジョブズ氏の進化」という画像なのですが、1998年から2010年までの12年間、一貫してデニムパンツに黒のタートルネックというスタイル、さらにタートルネックの裾は必ずパンツの中に入れてます。
もちろん、今回のiPad2発表会場に現れたときも同じ服装だったので、この13年間、彼の「勝負服」は同じだったってコトですね。
調べてみたら、この黒い服はイッセイ・ミヤケの製品だそうです。さらに調べてみたら、ジョブズとタートルネックに関する、こんな逸話が見つかりました。
ある日、ニューヨークのイッセイ・ミヤケの事務所に「黒い長袖のタートルネックを数百着オーダーする」と、スティーブ・ジョブス本人から電話があった。
「数百着持っていた在庫が残りわずかになっているので、補充したい」という。
しかし、その商品はニューヨークには在庫がなく、日本でもすでに作られていなかった。
「それでも、どうしても欲しい」と言うので、数百着の注文ならば新たに作ってもいいと返事したところ、ジョブスは、これまでのタートルネックの色合い、肌合い、特に袖を捲り上げたときの感触がとても気に入っているため「まったく同じものでなければいやだ」と言う。
しかし、日本で型紙や糸などの記録を探し出そうとすると時間がかかるので、ジョブスが持っている現物を、着払いでニューヨークのオフィスに送ってくれと頼んだ。するとジョブスは「残りわずかな貴重なものを送ることはできない、シリコンバレーまで来れば見せてやる」という。
そこでシリコンバレーの空港に着くと、待ちきれないジョブス本人が迎えに来ていて、ポルシェで自宅に連れて行かれ、イッセイ・ミヤケのスタッフはそこで実物を見て、同じ製品を作って納入した。
そうなんです。実は彼の最もすごいところは、その「質感へのこだわり」なんですね。特に、この話にあるような「体の触れるところに関する心地良さ」へのこだわりの強さが、他の人とはとんでもなく異なる部分なんだと思います。
この異常とも言える執着を、その時その時に実現可能な技術を巧みに利用することで、初代のiMac(exクリア素材)やiPod・iPhone(exリチウムポリマー電池)、MacBookPro(exアルミ削り出し)といった製品で表現してきているのではないかと思います。
私はもともとパソコンが好きで、PC-9000シリーズ、PC-8000シリーズ、MSX、FM-7、X68000、Windows3.1〜XP、Macintoshといった多種多様なPCを購入して使ってきているのですが、Macの持つ「他のPCとは違う」という感覚に驚きつつ魅了されました。だけど、そろそろ他のPCの良さも取り入れるべきじゃないかと思っていたら、何をトチ狂ったか互換機事業に乗り出して「もうAppleも終わりか」とMacを買い漁った思い出があります。
結局、いよいよ倒産かと噂されていた頃にジョブズが復帰。それからしばらくしてiMacが発売されました。ここから、再びPC業界の牽引役のひとつを、Appleが担うことになったんですね。
そのiMac。初めて実際に触れたトキの衝撃は、今でも忘れられません。作業中の正面、少しリラックスした視点、側面、背面、キーボードの裏側、マウスのボールなど、1台のパソコンの中にあれほどのデザイン性が盛り込まれるなんて画期的でしたし、iMacに追従する製品が多数発売されたのも納得できるし、当時なかなか浸透しなかったUSB規格が普及するきっかけとなったのも面白いと思います。
今でも、iPhoneが無ければ「スマートフォン」の普及はまだまだ先だったでしょうし、iPadが無ければ「タブレット端末」というジャンルが浸透した可能性もゼロに近い。そもそもMacintoshが生まれなければWindowsの進化も遅々として進まなかったワケで、するとGUIの普及ももっと遅くなったから、パソコンの普及そのものが無かったか、あるいは違う形になっていたかも知れない。
ちょくちょくポカもするけれど、とんでもない先見性でデジタル関連の市場を引っ張ってきた一人として、私はジョブズを尊敬しています。しっかり療養して、また元気な姿を見せて欲しいと思います。