今号は1949年(昭和24年)公開された「幽霊列車」です。前回にもコメディ映画みたいな予告編だと書きましたが、本編を鑑賞しても、オープニングから明るい曲調の「あなたも お化け、わたしも お化け」という歌。高らかに「怪談映画じゃ無いんだよ」と宣言しています。さてなにが「幽霊列車」なのか?
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表紙を開くと公開当時のポスター折り込み、その裏の3ページは「幽霊図鑑」として幽霊列車の解説、5ページが「解説&みどころ」で、この前年のNHKドラマの映画化であることや、円谷英二さんが列車事故などの特撮シーンに参加していたとの記述。
そして前後しますが、4ページが「資料館 特別編」として、10ページに掲載されている「大映ニュースNo16」の裏表紙ページが大きく掲載されています。ここにはこの映画と同じ昭和24年に公開された「透明人間現わる」に円谷英二さん(誌面では圓谷英一)が参加していることが書いてあります。また、京マチ子さんが大映1年目だったこともわかります。
ポスターページと3〜5ページ
6〜7ページの見開きは「俳優名鑑」で「異色俳優陣結集の大映怪談喜劇」として柳家金語楼さん、花菱アチャコさん、横山エンタツさんらが紹介されています。また日高澄子さんや藤井貢さんのように役柄に名前がある方が少なく、羅門光三郎さんの「駅長」をはじめとして美しい令嬢・新婚の妻&夫・中年の女・眼鏡の男・歯痛の男・モンペの娘など、とても怪奇映画とは思えない通り名の登場人物ばかりです。
6〜7ページ「俳優名鑑」、8〜9ページ「特別寄稿」、10ページ「資料館」
8〜9ページは、撮影秘話が無いかわりに「大映秘蔵資料公開」として、1970年初頭の第2次怪獣ブーム&変身ブームの時期に大映が発表したという「ちびっこ怪獣モンスタくん」の企画書と、1話目のストーリーが掲載されています。
10ページは「資料館」で、ポスターや新聞広告などのどれを見ても「ゾッとしてドッと笑う」とか「身の毛もよだつ面白さ」などの言葉が目立ちます。
次号は1957年(昭和32年)の8月に相次いで公開された「赤胴鈴之助 鬼面党退治」「赤胴鈴之助 飛鳥流真空斬り」の2本で、シリーズとしては3話目と4話目。これで梅若正二さん主演の分は全て刊行されることになります。
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怪談映画のようなタイトルだけど、明るい音楽と紙芝居のようなオープニングで怪奇コメディのような雰囲気の導入部。そして本編を鑑賞したら、実は「謎解きミステリー」だったという、面白い趣向の映画です。
怪しげな駅長さん、最終列車から続々と降りてくる「腹に一物を抱えてそうなお客さん」たち、温泉に向かうために皆が乗り込むバスの運転手も怪しげ、バスの故障にかこつけて駅に引き返すよう命令する怪しい刑事、駅舎に泊まろうとすると嫌がって幽霊列車の話をする駅長、すると殺人事件がおこる。
意外な犯人と意外な探偵。ここは面白いです。
ただ、あまりに全員が「何かありそう」な登場人物ばかりだし、いま思えば伏線はあったけど「唐突にキャラが変わって何でもあり」な印象だし、もう最後の方は「キャラの濃さでお腹いっぱい」になっちゃいます。
そのわりに「最も何かありそう」だったエンタツ&アチャコの社長&秘書は説明なし、渋谷と京子との関係も最後まで説明なし。
また、円谷英二さんが参加したという特撮シーンは、バスが山道を走るロングカット・幽霊列車のロング・幽霊列車の転落といった部分だろうと思いますが、確かに模型の出来はいい感じだけど、撮り方のせいで「完璧にミニチュア」に見えます。
総合すると、カメラワークも含めて、なんだか「プロの映画を鑑賞した」というより「セミプロの舞台劇を楽しく鑑賞した」という印象の映画でした。
それより何より驚いたのが、終盤の横山エンタツさん・花菱アチャコさん・柳家金語楼さんの列車がらみのシーン。
線路で寝てたエンタツ・アチャコの2人が、バックで近づく列車に気付いて逃げてそのまま追いかけられる、というシーンがありますが、まず逆まわしや合成では無さそうです。何度か見返しても、お2人の動きにまったく不自然な感じが無いので「ゆっくり動く列車とゆっくり演技する2人をコマ落としで速く見せる」という技法でも無さそう。
もしかするとホントに「走る列車の進む方向に、人気絶頂の2人の漫才師が必死で走ってる」のかもしれません。
またその少し前には、柳家金語楼さんが「走ってる機関車の後ろから屋根を伝って行き、側面から運転席へ移動する」というシーンもあるんですが、運転席に乗り込む直前のシーンはワンカットで撮られている上にハッキリとお顔が確認できるので、スタント吹き替えとは思えません。調べてみたら、氏は当時47歳。ダイハード3の時のブルースウィリスよりも年上です。
列車って、鉄の塊。そんなのがどんなにゆっくりでも動いてるすぐ側で、もしも転んだり、足が滑って落ちたりしたら、車輪に巻き込まれて即死亡の可能性が非常に高いんです。
なので、私にはわからない「何らかのトリック撮影なんだ」と思いたいところなんですが・・・まさか当時の人気芸人さんたちが「文字通り命懸けで撮影に臨んだ」とは考えたくもないですし・・・まさかねぇ・・・もしかして円谷英二さんが参加したのって、実はこのシーンだったりして (^^;