|
カフカの『変身』
主人公が突然虫になってしまう物語で知られる。
でも、それだけの物語だったら本文の一行目で
終了してしまうことになる。
ある朝、グレーゴル・ザムザがなにか気がかり
な夢から目をさますと、自分が寝床の中で一匹の
巨大な虫に変わっているのを発見した。
で、終わりである。
しかし、物語はここからはじまる。
なぜ主人公は、虫になったことを驚かないのか?
とか、自分の姿をみて家族がどんな反応をするのか
さえ楽しみにしている。
なぜ?
むしろ、虫になったことが驚きではないところ
に、この物語の不思議な面白さがある。
つまり、そんな内容を、ひとことで伝えることが
出来ないのが、魅力の一つなのかもしれない。
これは村上春樹の小説にも共通することだろう。
ある意味、単純な物語だけれど、物語の肝心な主
人公の精神状態などを説明できない。これが村上
春樹の小説は難しいといわれる所以だろう。
ひとことで言えないから、物語がはじまり動き
出すのである。
そういえば村上春樹の登場人物がよく口にする
「やれやれ」を、主人公の妹が口にする。
虫のグレゴールが部屋に入ったのを見ると、妹が
両親に向かって「やれやれ」と口にしながら鍵穴の
鍵を回すのである。
|
私も中学生のとき、カフカの「虫」を読みました。なぜかへんな内容なのに不思議と気持ちが落ちついた気がしました。
見た目は「虫」になっていない私ですが、思春期の複雑な心は「虫」そのもののような気がしたからです。
2010/1/31(日) 午後 6:44 [ nek*nek*1 ]
のほほんさん。誰もが経験するような不安定な時期に共通するような気持ちだから、これほど場所と時間を越えて読みつがれているんでしょうね。
2010/2/6(土) 午前 11:27 [ まに ]