|
幼かった私は、母に連れられて公園にいた。
「ひとつ、ふたつ、みっつ、えーと、よっつ」
私は、手にしたクローバーの葉をあきもせず、繰り返して数えた。
「さとみちゃん。ひとつ、ふたつ、みっつ、でしょう。よっつはないわよ」
母がいくら教えようとしても私は、クローバーの葉を四つまで数えたという。
母は、そんな私に教えるのをあきらめて、自分がこれから作ろうとしていたお店のことを考えはじめ
た。
お店のロゴマークをどうしようかと考えたとき、ふと、私が手にしていた自分には見えない四葉のクロ
ーバーを使うことにした、という。
母のお店は、成功した。
そして現在は、私が社長である。
かつて母に連れて行ってもらった公園に、息子を連れてくることが習慣になっている。
息子がクローバーを一つもってやってきた。
数えて、という。
「ひとつ、ふたつ、みっつ、そして、、、」
何げない小説です。
最初は、もっと幻想的なものにしようと考えていました。
漠然と小説のあらすじが出来上がったとき、目の前を四葉のクローバーの会社のロゴがデザインされた車が走り去っていったのです。軽い眩暈がしました。なんと日常という現実は、神秘的ではないでしょうか。それで結局は、こんな何げない小説になったのです。
|