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*1
ポクは丸い球体
ころころころがりながら
あちらこちらをえんやこら
得意のローリング、誰にも負けない
「ちぐはぐ おつきさま
はじけて とんだ
えーいよ、
えーいよ、
おにさんこちら
てのなるほうへ」
ご機嫌な歌が大好き
3分に一度、この町に流れ星は落ちてきた
それを集めて大きなお家を建てるのがポクの仕事
降り注ぐ星にも負けない頑丈なの
丸いポク、転がりながら器用に星を飛ばしてく
*2
絵描き係が空を赤く塗れば朝がくる
ポクは川へとコロコロ転がる
ミルキーウェイ石鹸は身体をピカピカにする
身体についた水滴がキラキラひかる
鬼はいきなりやってくる
鬼はわるもの!
ポクひらめいた
「やーい
ここにある金色を
つかまえられるものか」
鬼、
川の中にうつった金色に
さわろうさわろうとするたび
ゆーらゆら消えそうになる
自分にそっくりな誰かが邪魔をするし
手を伸ばしても届かない
必死な鬼
ポクは鬼の背中めがけて得意のローリング
鬼、果てまでまっさかさま
「おにはそと!」
*3
あまりに空が青かったので
ポクは仕事がしたくない
「今日はやすみの日にしよう!」
ポク、くもにのってぷかぷか
気持ちよくなって眠る
ぐーぐー眠る
おひさまはあたたかい
優しくポクを包む
*4
目覚めたポク
まるくない
気付けば真っ暗闇のなか
ポクは鬼に大変身!
ポクはびっくり
かけまわる
ローリングも出来ない
「あぁ、なんていうこと!」
真っ暗闇はこわーいこわーい
何かが胸をギュッとつかむ
ドロッとした液体が身体中をかけめぐる
ポクはどこにもいけない!
あの、ピカピカのおひさまにであえない!
なんて悲しいことだ!
鬼も泣くのだ
ポクは濡れた頬に触れる
涙はしょっぱく、温かい
*5
鬼は泣いている
何もしていないのに
地の底に落とされて
「なんておろかなことを・・・」
ポク、初めて鬼の気持ちを知る
*6
流れ星は降り注ぐ、
こんな真っ暗闇の中にも
「そうだ、ぼくにできること!」
えーいよ、
えーいよ、
ポクは飛ばす、星を飛ばす
飛ばされた星は散らばって
次々に重なっては絡まって大きくなる
「ちぐはぐ おつきさま
あかるく てらす」
*7
気付けばポクはまんまるだ
絵描き係が空一面を赤く塗った
夜明けがきて朝が来た
一晩中ポクは星を飛ばしてた
昨夜の夜空ハウスはポクのちりばめた星の欠片で
なんと美しかったことか!
でも、もちろんポクは知らない
自分の仕事に一生懸命になるだけ
ポクはくるくるまわる
「わーい!僕の身体、おかえり!
今日鬼に会ったら一緒にご飯を食べて、それから・・・・」
ポクは今日もご機嫌だ
「よーいどん、
えーいよ、
えーいや!」
★ おしまい ★
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