星谷 仁のブログ

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脱ぎながら装飾する!?ハリサシガメの脱皮

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石垣のすきまにハリサシガメ幼虫をみつけた。昨年初めて目にした時は驚いたが、もうすっかり見慣れた姿……だったが、なんだか、ちょっと違和感。のぞき込んでいると向きを変えたが、その動きはいつもより緩慢。ゆっくりと身じろぐしぐさがわずかに見られ、これは羽化が近いと直感した(実際は羽化ではなく脱皮だった)。ただ、僕はハリサシガメの脱皮や羽化を観察したことがない。僕が感じた違和感が《兆候》であったとしても、脱皮や羽化が始まるのが数分後なのか数時間後、あるいは翌日以降になるのかはわからない。
ハリサシガメの羽化や脱皮は見てみたかったことの1つ。背中に異物をデコレーションした幼虫がどのように古い殻から脱出するのか/脱皮の場合は、デコレーション素材が脱皮後どのように新幼虫に引き継がれるのか──興味がある。
石垣の隙間でみつけた幼虫はおそらく羽化を控えているとふんだのだが……観察場所としては狭い隙間の奥──暗くて見づらいし、撮影アングルも限定されてしまうので条件的にはあまり良くはない……。見やすいところに移動させるか、持ち帰って観察するか──そんな選択も考えないではなかったが、今回は下手にいじらずに見守って、変化があったら自然なままの形で記録することにした。
上の画像はハリサシガメ幼虫が脱皮する前の姿勢──鉛直面に頭を下にしてとまっている。90度回転した画像が↓。画面の「左:右」→「地(下):天(上)」。
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暗くてわかりにくいが、触角や眼も見える↑。画像すみの数字は撮影時刻(時:分:秒)。この36分後↓。
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すでに脱皮は進んでおり、脚はすっかり(古い殻から)抜けていた。この時点で「羽化」ではなく(おそらく終齢幼虫への)「脱皮」だと気がついた。よく見ると、新幼虫の腹の下に抜け殻の触角や脚が確認できる。
ハリサシガメの幼虫は捕食したアリなど色々な素材を背中に背負う習性があるが、これが脱皮のさいにジャマにならないのか──いったいどのように脱皮するのかという疑問があった。また、羽化のさいにはこのデコレーション素材は抜け殻に残される(成虫はデコらない)が、幼虫への脱皮では、抜け殻にデコ素材は残らない。脱皮後どのようにデコ素材が抜け殻から新幼虫へと《荷移し》されるのかも確かめてみたいと思っていた。《荷移し行動》の最後の部分──脱皮後に移動したデコ素材から抜け殻を引き剥がす行動は1度見たことがあるが、そこに至るまでの過程が知りたいと思っていた。
そして初めて目にするハリサシガメの脱皮。《脱皮しながらデコ素材をひきついでいく》──この姿には大いに驚いた。
ハリサシガメ幼虫がまとった土粒や装飾素材は接着剤のような粘着物質によって貼り付けられていると僕は考えている(羽化後の抜け殻に付着していた素材は、抜け殻から剥がした後も素材同士でくっついていたことから)。体の表面から粘着物質が分泌される可能性も想像していたが、脱皮直後の体表面には粘着物質はないと思っていた。ベタベタしていたのでは古い殻を脱ぎ捨てる脱皮の障害になってしまう。しかし画像を見ると、まだ体色も出ていない「脱ぎたてのホヤホヤ」の体に、すでに装飾素材が背負られている。これはいったいどうしたことか? (脱皮の障害になるので)体表面に粘着性がないとすれば、貼りついているのはデコ素材の側に粘着性が残されているためだろうか? しかしデコ素材に粘着力があるのであれば、《これまで貼り付いていた抜け殻から剥がれ、スベスベの新幼虫に貼りつく》というのも不自然な気がする。いったい、どうなっているのだろう?
謎を解くためにハリサシガメの脱皮を見たいと思っていたが、観察すればすればするほど新たな謎が増えていくハリサシガメの不思議!?
脱皮前の画像と脱皮中の画像の間には36分あるが、その間何度も石垣の間をのぞいている。変化があったら記録(撮影)しようと思っていたのだが……気づくのに遅れてしまったためだ。気づくのが遅れた原因は、暗く見づらい位置だったからだろう。羽化や脱皮が始まれば(本来の色がついていない)明るい色の体が古い殻の背中側からせり出してくる──そんなイメージを描いていたが、実際はデコレーション素材の下側から現われたようにも見え、ちょっと意表を突かれた感もある。
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ふたたび90度回転した画像↓(画面の「左:右」→「地:天」)。
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ハリサシガメ幼虫の後脚は捕食したアリの死骸などをデコるときに使われるが、脱皮の際には引き継いだデコ素材から抜け殻を引き剥がすために使われるようだ。
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デコ素材と新幼虫の体の間には古い外皮(抜け殻)があったのに、古い外皮だけ脱いで新幼虫の背中にはデコ素材が残る──なんとも不思議な光景だ。テーブルの上に食器を並べ、テーブルと食器の間にあるテーブルクロスだけを引き抜き、食器をテーブルの上に残す「テーブルクロス引き抜き」を思い浮かべてしまった。
また、そもそも脱皮といえば古い殻を「脱ぎ捨てる」行為なのに、その最中に古い殻からデコ素材を「拾って身につける」という真逆のことをしている点にもユニークさを感じてまった。
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抜け殻から糸を引いて離脱!? セミの抜け殻などでも見られるが、白い糸状のものは気管の外壁だろう。
覚悟はしていたが、見づらい場所での観察だった……。
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この後しばらく変化がない状態が続いるところに、除草作業の準備が始まったので撤退。この後の展開は以前観察した【ハリサシガメ:脱皮後の《荷移し行動》】ということになるのだろう。
翌日、現場をのぞいてみると──↓。
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壁面に抜け殻だけが残されていた。脱皮した幼虫の姿を探してみると──↓。
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この画像ではわからないが、このときハリサシガメ幼虫は小さなアリを捕食していた。
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この幼虫が前日脱皮を観察した個体であることを確かめるために、脱皮に気づく1時間半前に撮影していた画像と比較↓。
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じゃっかん配置は換わっているが、デコ素材の構成はほぼ同じ。同一個体とみて間違いないだろう(←※訂正)。
※【訂正】画像の整理をしていて、脱皮翌日に撮ったハリサシガメ幼虫(B)は、脱皮していた個体(A)とは別個体だということがわかった。
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脱皮を撮影した日、同じ場所(石垣の隙間)↑には2匹のハリサシガメ幼虫がいたことが判明。脱皮前にA→B→Aとの2匹が入れ替わって写っていた。撮影時には気づかず、てっきり同一個体だと思い込んで写していた。脱皮を撮影した個体はAだが、翌日の幼虫との比較に使った「脱皮前」の個体はBだった。脱皮前に2匹いて2度も入れ替わっていたとは……。

石垣の隙間に残されているだろう抜け殻を回収するつもりで持参したピンセットでつまみ出した抜け殻↓。
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抜け殻の触角はもろく、1円ショットの撮影中に折れてしまった。

ハリサシガメの成虫&ペア

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今回、ハリサシガメ幼虫の脱皮待ち・変化待ちの間にみつけたハリサシガメ成虫↑とペア・ショット↓。
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こんばんは・・・
素晴らしい観察に、芳しくない体調も吹き飛びました!

観察しづらい箇所にもかかわらず、ここまで詳細にお調べになっているところ・・・いつもながら(お見事!)と目を見張り見入ってしましました・・・「はぁ〜こんな一瞬を拝見できて幸せです〜!」
星谷さんの観察の技、テクニックも素晴らしいですし、ハリサシガメの脱皮の技、テクニックも(流石)といえるものですね!
あくまでも(生き残る)をメインに考えられた脱皮方法なのでは?と(身を隠しながらの脱皮?)感じさせられました。
・・・虫の生態を観ていると考えさせられたり想わさせられたりと・・・実に面白いですね!
虫観察を学び、触発させられました!!!☆・・・

2017/8/12(土) 午後 8:47 [ 今日も、こっそり自然観察! ] 返信する

> 今日も、こっそり自然観察!さん

おつき合いいただきもありがとうございます。見たかったハリサシガメの脱皮を見ることができ、テンションが上がりました(笑)。
気づくのが遅れてしまい、せっかくの機会だったのに脱皮の最初から記録できなかったのが悔やまれますが……とりあえず、新たにわかったことを記してみました。
石垣の隙間の奥での出来事──全く気づかないでいてもおかしくなかったのに、脱皮をかいまみることができたのだから、今回はよしとしようと。
それにしても、昆虫のやるコト(脱皮や羽化)はスゴイですね。

2017/8/12(土) 午後 9:07 [ 星谷 仁 ] 返信する

脱皮翌日に撮ったハリサシガメ幼虫が、脱皮していた個体とは別個体だということがわかったので訂正。

2017/8/13(日) 午前 4:17 [ 星谷 仁 ] 返信する

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