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立てなくなっちゃった……。 おばあちゃんの身体、温かいなあ……。 【即興超短篇(37)】 「ぼく、バンくん♪ 二十一の冬」 星ひかる著 きょうは、妙に眠いんだ。 身体もだるくて、動けないの。 お腹もすかないし、一日中、ずっと夢をみているみたいなんだ。 ヘレンお姉ちゃんとロンお兄ちゃんが、さっきから、ぼくの傍でずっと見守ってくれているのは知っている。 いつもは恐い顔して、ぼくを追い返すのに、きょうのお姉ちゃんとお兄ちゃんは、優しいんだ。 おかしいなあ。 なんだか、ぼく、気が遠くなってきたよ。 だんだんと身体も、ふわふわしてきたよ。 おばあちゃんが、大声でぼくに向かってなにか叫んでいるみたいなんだけど、聞こえない。 ぼくの背中をずっと擦りながら、なにかをいっている。 ときどき咳をするみたいな仕種をみせて、顔をくちゃくちゃにして、やっぱりなにかを叫んでいるようなんだけど、なにも聞こえない。 とても静かなんだ。 背中だけは、おばあちゃんの手のお蔭でぽかぽかと、気持ちよくなってきて、ぼくはいつの間にか、本当に眠ってしまっていた。 ん? このドタドタした階段を駆け上がる音は、ヒカルンじゃない? あれ? さっきまでなんの音も聞こえなかったのに。 夢か……。 ぼくの手をムニムニと触ってくる人がいる。 肉球と肉球の間に指を入れてくるんだ。 これ、くすぐったくて気持ち悪いから嫌なんだよ! 誰だよ! やめてよ! こういうことするのヒカルンしかいないんだけど……。 ぼくは、目が覚めた。 ぼくの目の前には、ヒカルンがいた。 そう、やっぱりヒカルンだった。 でもどうしたの? ヒカルン。 目を真っ赤にして、なにしてるの。 ヒカルンは、なにも語らなかった。 ぼくは、ヒカルンの真っ赤になっている瞳をひたすら見詰めた。 ヒカルンもぼくの目を見詰めてくれていた。 ぼくの手を握ったまま離さない。 肉球もときどき触る。 くすぐったくて本当は嫌だけど、きょうは何故かしら気持ちいいんだ。 「よく頑張ったね」 ヒカルンの声だった。 ぼくは、ミャー、と声になったかわからないけれど、啼いた。 ヒカルン、来てくれたんだね。 夢でもいいんだ、嬉しいよ。 こうしてヒカルンと一時間も見詰め合うことなんて、いままでなかったね。 一時間もぼくの手を握らせることもなかったけど。 肉球を触るのはときどきだから許してあげる。 おばあちゃんが、ヒカルンのご飯を作り始めたみたいだ。 なにかをフライパンで炒める音が聞こえた。 いつもの時間だ。 いつもの音が、また聞こえるようになった。 夢じゃないんだ。 おばあちゃんのヒカルンを呼ぶ声がする。 おじいちゃんが観ているテレビの音も聞こえた。 ああ、良かった、またいつもの音がする。 いつもの時間が流れている。 ぼくもご飯が欲しくなったよ。 ヒカルンと一緒にご飯が食べたいよ。 また、ヒカルンの隣でご飯が食べたいよ。 明日も明後日も、その次の日も、ずっとずっと一緒に居たいよ。 ご飯を食べ終えたヒカルンが、ぼくを抱き上げてくれた。 ベランダに出て、夜の空をみせてくれた。 きょうは、たくさんのお星さまが、キラキラと光ってるね。 こんなにも溢れ落ちて来そうなくらいに光り輝くお星さまを見るのは初めてかもしれない。 ぼくが、あのお星さまになったら、ヒカルンと毎日会えるんだね。 ヒカルン、下を向いたら駄目だよ。 上を向いてくれないと、ぼくと毎日会えなくなるからね。 泣いてばかりでも駄目だよ。 滲んでボヤけて見えなくなるからね。 ぼくはヒカルンに拾われて、二十一年間、本当に、本当に、幸せでした。 おじいちゃん、おばあちゃんが、本当に大好きでした。 みんな仲良く元気で、上を向いて、ぼくを探してね。 隣には、ヘレンお姉ちゃんもロンお兄ちゃんも一緒にいるからね。 ねえ、ヒカルン、ぼく、なんだか、眠くなってきたよ……。 ヒカルン、ありがとう。 ……おやすみなさい。 〈了〉 いまバンくんは、懸命に生きております。 ねずみさんがコメントくれたように、一日一日が勝負で正念場であります。 きょうは、私といっぱい会話して、腰は立ちませんが、なんとか、 ライオン座りは出来るようになりました。 つい先日会ったときは、本当に元気で居てくれたので、きょうの容態急変にはビックリしております。 身体の匂いも臭くなく、寧ろ、いい匂いです。 完全なる老衰の状態です。 顔はしっかりとしてますが。 二十一年も生きることは、彼にもいろいろな苦労があったと思いますが、 そんな愚痴一つ吐いたのを聞いたことがありません。 私が先日、詰まらぬことで愚痴ったことを怒っていることでしょう。 バンくんに教えられました。 元気に前を見詰め上を向いて、バンくんと共に生きて参ります。 今後とも、よろしくお願いいたします。 バンくんの余命は幾ばくか知れませんが、生きることしか考えていないことは、彼をみて、思い知らされます。 どうぞ、バンくんを見守ってあげてください。 ではね。 きょうの夜空には、たくさんの星が瞬いておりました。 あと何回、バンくんと観られるのだろう。 では、ではね。 |
即興超短篇
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バンくん、その時が来たのーo(=´ェ `=)o
天命てのがあるからねぇ。
羽の生えたコニャンコが、たくさん降りて来てるのかなぁ。
うちのワンコの前のワンコは保険所に居たとこを、うちの家が動物好きなのを知ってた人から知らされて引取りました。
ガス室へ行く1日前でした…鼻が白くなってたので老犬だと分かってました。
おおよそ、1年近くいたけど、オフクロの膝の上で眠りながら逝ってしまいました。
スライドするように、やって来たのが今のワンコなンです。
バンくん、長〜〜〜いロウソク持って生まれて来たンだろね・・・。
2015/12/22(火) 午前 8:02 [ 風こぞう ]
ヘレンとロンに呼ばれていても、「けもの道」を行く。
此岸にいる限りは、生き抜いて命の炎を燃やしている。
尽きるのはいつか判らないけれど、尽きるまで炎を燃やし続け、そして燃やし切って欲しいです。
21年の相棒は、心の中では永遠ですね。
2015/12/22(火) 午前 8:36 [ ねずみ ]
お早う御座います!
ウルウルしながら読ませていただきました。
私も昔、愛犬との別れがあり一年以上引きずり、二度と飼うまいとおもいましたが、今の飼い犬で忘れる事が出来ました。
生まれ代わって来たようです。
パンくんは長寿のギネス級ですね!高齢と思えぬ凛とした顔立ちに、飼い主さんの、お人柄が垣間みえます、ぱんくん、頑張れ‼
失礼しました。
2015/12/22(火) 午前 9:57 [ 演歌浪人 ]
風こぞうさん、おはようございます。
ついに来るときが近付いております。
21年も一緒にいると、居るのが当たり前です。
完全に居なくなったときが恐いです。
うちの父は、耐えられるだろうか。
私もですが。
ロウソクの炎燃え尽きるまで……。
いつもありがとうございます。
2015/12/22(火) 午前 9:59 [ ホシヒカル ]
ねずみさん、おはようございます。
バンくんは、しっかりとけもの道を行っております。
瞳はまだ綺麗です。
答えられないので、どこか痛いのか、歩けないだけなのか、なにもわかりませんが、
私をみる目だけは生き生きとしております。
こんなにも綺麗な顔しているのに、非情にもヘレンとロンはお迎えにやって来るのだ。
三人仲良く暮らす姿も近く観られるのでしょう。
いまは観たくないけど。
命燃え尽きるまで見守ります。
いつもありがとうございます。
2015/12/22(火) 午前 10:09 [ ホシヒカル ]
まことさん、こんにちは。
昨日の出来事そのままに書きました。
バンくんとの別れを思うと辛いですが、それまでの思い出はそれを上回ってあります。
一時は悲しみに暮れるでしょうが、思い出と共にバンくん、そしてヘレンとロンを思います。
母に、もう、また猫飼うとか言わないでよ、と釘刺されてますので、うちは最後の愛猫ですね。
いつもありがとうございます。
2015/12/22(火) 午前 11:07 [ ホシヒカル ]
バン君 頑張れ!
星さんの良い時 悪い時一緒に
歩んできたんですね
私は猫や犬を見て なんて自然に自由に歩んでいるなと若い頃思っていました
人間のオレは迷ったり 悩んだり
まっすぐに歩むことも出来て無いんじゃないかと
2015/12/23(水) 午前 9:51 [ pin***** ]
pinさん、こんばんは。
動物たちは、生きることしか考えません。
私は、そうではなかった……。
いまのバンくんをみて、我が身を戒めます。
いつもありがとうございます。
2015/12/23(水) 午後 5:40 [ ホシヒカル ]