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最近とんと、小説らしきものを書いていない私……。 先日、ふと思い付いた書き出しを綴ってみた。 進展あるか無しかはわからない。 思うがままの綴り事です。 「蟷螂(カマキリ)」 星ひかる 私は雨に濡れる御成門を見上げた。 増上寺へと続く入り口の大きな門。 私の視線は、その御成門の右側の太い柱の下に移っていた。 更に、その奥、普段人目に付きにくい裏側に目をやってみると、一匹の緑色した蟷螂(かまきり)が逆さまになってへばり付いているのがみえた。 その下方には白い羽をした小さな蛾が、蟷螂にお尻を向ける形で逆さまになってへばり付いていた。 人の足で数歩のところ、彼らにとっては別世界には、人が作り出した鉄の塊が走り抜けてゆく。 出来たばかりの水溜まりを蹴り散らしながら右へ左へと無表情に走り抜けて行く。 雨足は激しくなった。 私だけがこの蟷螂を見詰めていた。 白い蛾もお尻を向けているから蟷螂を見ているのは正に私だけだった。 私がもし彼らの神でいるならば、蟷螂に気付かれず逆さまになって眠っている蛾のお尻をちょこんとつついて逃がしてやることも出来る。 蛾を逃がすどころかそのまま潰すことだって出来るし、蟷螂自身を直接潰すことだって可能だ。 だが私は大概の神がそうしているように、彼らになにもしなかった。 ただ彼らを見詰め、彼らの意志のままに動く事の成り行きを見届けることにした。 蟷螂は動かなかった。 微動だにしないとはこのことか、と知らしめるかのように動かなかった。 私も動かずにいた。 雨の音が細く聴こえるだけだった。 <書き出し終わり> . |
星ひかるの創作日記(ファンのみ)
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