【泣き虫社長の投資日記】☆星ひかる☆

【書庫のお知らせ】なんか最近「競馬!」「エセコラ(エッセイ&コラム」「即興超短篇(一枚の写真から物語創作)」

エセコラ

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安倍政権が新内閣を発足させましたが、ここは、少し触れておこうかな、と思いました。


【エセコラ(25)】

『日本から技術者が消える日』


先週中頃、あるニュースが目に止まった。

内容は、企業に勤める技術者が作成、発見した技術や利益は、会社のものである、とする法案を通す、

というものだった。

これは、企業の研究室、研究機関で作られた技術や特許等による利益は、総てその企業の利益とするものである。

その得た利益を製作、発案者へ還元しなければならないとする文言も削除される、とのことだ。

現在は、発案、製作者には、一定の利率の報酬が支払われるようなっているが、これも任意になるようだ。

これは、現内閣と経団連による横暴だ。

この法案が通れば、日本の技術者の未来は暗い、いいや、ないに等しい。

会社の資金で作成されたものは、会社のものだ、といいたいようだ。

報酬が欲しければ、自分でやれ、とのことように聞こえる。

要は、会社の奴隷になれ、といっているのだ。

もう日本から新しい技術は生まれないか、奴隷でも開発したい技術者は少なからずいるだろうから、

その技術者でやっていく、というのが、経団連の意見なのかも知れない。

先週末、安倍政権の新内閣が発足したが、女性を五名入閣させ、その五名を安倍首相の周りに、

ハーレムの如くはべらせ、笑顔を振り撒く姿は、

人気取りに走らざるを得ない、現内閣の終わりも同時にみえる。

日本から技術者が消える日は、この内閣が消えるに留まらず、

日本自体の終わりになるだろう。

企業は利益の内部留保にしか意識がむかない。

これは米国スタイルの株主重視の会社経営の弊害と感ずる。

経団連会長以下、大手企業の大半は、ようは、雇われ社長である。

株主に雇われているに過ぎず、株主に配当を出すための経営にしか従事していない。

内閣も企業も、そしてこの国も終わってしまうのか。

そろそろ声を大にして、訴えるときがきた、と思った、きょう、雨の日曜日の朝だった。


《エセコラ(25) 了》

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きょうの東京は、雲一つない快晴だ。

気温もさほど上がらず、残暑というより、初秋の匂いを感じる一日となっている。

天高く馬肥ゆる秋、さながらの陽気と真っ青な空に、しばし見とれていた。

さて、本日のエセコラは、コラム寄りの仕上がりになりそうなお話を。


【エセコラ(24)】

『それでも消費税は上がる!』


昨日のニュースで、いろいろな指標が紹介されていた。

自動車販売台数が、前年同月比で、マイナスの15%。

長期金利が過去最低水準のなか、マンション住宅の販売は二割程度減少。

証券会社時代はこれらの指標をしょっちゅう聞いては材料として銘柄を選択したりしていた。

いまそういう仕事に就いてないので、さして気にならない指標であるが、

今回は少しビビッときた。

それは、何日か前の元自民党総裁で総理になれなかった人の発言にある。

記者から、

来年に控えている消費税10%は現実としてあるのか、

という趣旨の質問に対しての言葉だ。

「消費税を10%に上げないと、アベノミクスが失敗したという印象を持たれるから、上げる」

とのこと。

この論法に、私は大変な違和感を覚える。

消費税の8%から10%への上昇には、その時点での指標を見据えた上で精査し、上げるか上げないかを決める、

はずではなかったか。

物忘れの良い政治家が多いこと、多いこと。

都合の悪いことは、さっさと忘れる、都合の良い脳みそを持っている、ともいう。

いつの間にか、8%から10%への道のりは決まっていたようで、

一回目の消費増税をしたからには、そのとき既に、二回目は必然だったようだ。

10%に出来ないと机上の論理が崩れ、アベノミクスの失敗、安倍政権の支持率の低下、

牽いては、与党全体の責任追求へと動くだろうから、

あくまでもアベノミクスは形だけでも成功したとしないと気が済まないようだ。

安倍周辺議員だけの話しであって欲しいが。

税金というのは江戸、戦国の大昔から、取りやすいところから取るものであった。

江戸、戦国では、弱い農民からだったし、現代では庶民サラリーマンからだ。

声を挙げない庶民からは、それは取りやすいだろう。

声を挙げても、聞こえないか、聞く耳持たぬかだから、取りやすいのだ。

そろそろ我々庶民も怒ったらどうか。

悲鳴を挙げても駄目。

権力者は、悲鳴を挙げる姿を楽しむ変質者と思った方が良い。

でも、私もそうなのだが、どうやって声を挙げたら、権力者に届くのかわからない。

やはりここは選挙で示すしかないのか。

一度くらい、投票率100%をみてみたい。

そうすれば、この国は変わるはずだ。

庶民に与えられた手法が選挙しかない、と書いていて悲しくなるが、これが現実なのだろう。

誰かもっと別の方法を知っていたら教えて欲しい。

さて、税というものは、一度上がったら、二度と下がらない。

ガソリンに課せられた、暫定税率も、暫定どころか恒久と化していることからもわかるだろう。

きょうの東京の空は、天高く馬肥ゆる秋の空だ。

みていると天に吸い込まれるが如く、青く高い空だ。

消費税だけは、この空のように何処までも高くならないことを祈りたい。

公約通りの使い途など守られるわけがないのだし、

消費税分としては、名目上、変な使い途はされなくとも、

税収増えた分、形を変えて、違う予算に付けられてしまう。

官僚の頭は、ズル賢くなるために、使われている。

東大はそういうことを教えているのか、と疑ってしまう。

疑いだけで終わって欲しいが。

初秋の朝に感じた、ちょっと虚しく、げんなりする話しだった。


《エセコラ(24) 了》
きょうの電車で体験したこと。


【エセコラ(23)】

『満員電車には危険がいっぱい!』


私、普段は、清掃業ということもあって、朝はいつも始発電車での通勤である。

きょうは久しぶりに通常の9時出勤をした。

世間一般にはやはり9時出勤が大勢であるから、当然この時間の電車は混雑するわけだ。

普段はがらがらの車内で、ときにゆっくり座って通勤できる。

そんなのんびりした光景とは打って変わって、殺伐とした満員の車内に、

きょうの私はいた。

停まる駅毎に人がわんさかと入ってくる。

手の持って行きようも、足の置き場もない車内である。

日本のサラリーマンは毎日毎日、朝からこんな疲れる旅をしているのか、

久しく経験がなかった私は、改めて日本人の我慢強さに敬意を表しようしている、

そんな矢先だった。

ある駅で停車していた私の乗るその電車車両のドア付近で、

男女がなにやら揉めている。

私からの距離は1.5メートルくらいしかないところだった。

車内の他の乗客連も二人に注目するのは当然か。

ん? 痴漢か?

どうも違うようだ。

男性が、降りてくれ、

といっている。

女性が、無理です、

と、男性を車内に戻そうとしている。

通常ここまでの光景を察するに、

なんだ恋人同士のいざこざか、

と、私は、一度視線を外した。

しかしまだ揉めている。

どうやら、男性のスーツの袖口のボタンが、女性の髪だかアクセサリーだかに絡まってしまったのだとわかった。

男性はこの停車駅で降りて早く会社に行きたい。

女性は、このまま電車に乗り続けて、本来の自分の降りる駅で降りて、やっぱり早く会社に行きたい。

この攻めぎあいをしているようだ。

こうして文章にして書くとえらく長い時間がかかっているようだが、

電車の停車時間内のことだ。

長く見積もっても、ほんの10秒ほどの出来事だった。

私は、ここは、女性が降りるべきだよなあ、なんて思っていた。

このまま男性を引き戻しても、身動きの取れない満員の車内で、チマチマボタンと絡まったものを取るなんて、出来やしないし、

反って、切れたり破れたり、場所によっては、怪我するかもしれない。

と、そのとき、男性は、

ふざけるな!

と叫んで、手を振り上げた。

その拍子に絡まっていたものは取れたようだが、

手の甲が女性の顔、頬の辺りに直撃してしまった。

車内の他の乗客連は、あっ、と思ったに違いないが、誰も無言だった。

私も。

女性はすぐさま男性を追いかけ車内を出た。

近くにいた駅員に、その人に殴られました!

と叫んでいた。

あっという間に、5人の駅員に取り囲まれた男性は羽交い締めにされた。

ドアは閉まっていた。

そのまま電車は発車した。

車内に残された乗客は、無言だった。

私も。

なんか虚しさだけが残った。

私は、鞄を抱え眼を瞑って考えていた。

女性は何故あのとき最初の時点で降りなかったのだろう。

男性の物言いも悪かった気がするなあ。

もう少し優しく、すみませんが、一緒に降りてください、

とかいっていれば、女性も素直に降りてくれたのではないだろうか。

殴られたら、は大袈裟で、手がぶつかったら、追いかけるために降りるのに。

それよりあの男性は、どうなるのだろう。

やはり警察に引き渡され、拘束されてしまうのだろうか。

まだ四十くらいだろうに、逮捕とかになれば、最低でも二日間は拘留されてしまうだろうし、

会社への対応も大変だろう。

下手したら馘かもしれない。

運で片付けてはいけないかもしれないけれど、ちょっと時間なり場所なりが違っていれば、

いつもと変わらぬ日常が送れていただろうに。

でも手を挙げたらいけないなあ。

いいわけが立たないなあ。

などと、私は考えていた。

鞄を抱える手を握り直して、私は眼をあけた。

するとその私の前には女性がいた。

私を睨んでいる!

え?!

こんどは、私?

痴漢なんかしないよ、

と心の中で叫んでいた。

私は、息を殺し、身動き一つしない、人形と化した。

ほどなくして、降りる駅に着いた。

その女性も同じ駅で降りていった。

私は、その女性とは反対方向へ歩いて行った。

私、なにも悪いことしてないのに……。

満員電車の恐怖をもろに味わってしまった。

満員電車には危険がいっぱいだ。

もう乗りたくない、と思った。

毎日こんな恐怖と戦っている日本のサラリーマンには、改めて敬意を表したい気持ちでいっぱいだ……。


《エセコラ(23) 了》

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きょうの東京も暑い。

お盆過ぎてもこの暑さでは蝉も鳴く元気がなかろう。

広島では、バックビルディング現象という積乱雲が次々に発生する現象が起きて、

大量の雨に見舞われた。

甚大な土砂災害により多くの死者を引き起こした。

天災のようで人災のような気もする。

何れにしろ地球が悲鳴をあげて怒っているのだと思うのだ。

亡くなられた方には心よりご冥福をお祈りしたい。

ここ数年来の猛暑で毎年この夏を過ごせるのか心配な我が家の愛猫バンくんが心配な私。

御歳20歳になるバンくん。

最近元気がないのだ。

きょうのエセコラは、彼のことを綴りたい。


【エセコラ(22)】

『愛猫バンくんの命』


愛猫バンくんが我が家にやってきて、今年で20年になる。

三匹目の猫としてやってきたが、既に十年を過ぎた気の強いお姉さんヘレンと、

心優しいロンお兄さんがいた。

狭い我が家にあってバンくんの居場所があるかどうか心配だったけれど、

そこは争いが嫌いな猫くんたちだ。

しっかりとバンくんの居場所を作ってくれていた。

ヘレンちゃんもロンくんも自分たちは人間と思っていたから、

小さな小さなバンくんの出現には少々戸惑い気味だった。

ところ構わずジャレ付くバンくんが、一人かわいそうなくらい、

ヘレンちゃんもロンくんも相手にしない振りをしていた。

でもお姉さんヘレンは少し気になるようで、バンくんが身体擦り寄せ眠ると、

彼のことを綺麗きれいに舐めてあげていた。

バンくんがバンくんと名乗るようになったのは、

当時コマーシャルで流れていた、焼きそばの宣伝からだった。

マイケル富岡氏扮する焼きそバンとデーブスペクター氏扮する悪党との掛け合いの映像が面白いものだった。

私は、ある日曜日の昼下がり、焼きそばを作っていたのだが、

熱されたフライパンのジュウジュウという音の中に、子猫がニャーニャー鳴く声が聞こえる。

私は、フライパンに掛けていた火を止めた。

外の竹やら草やらボウボウになった方から、その声は聞こえた。

私は草やら竹やらを掻き分けた。

掻き分けた先からバンくんが私目掛けて走ってきたのだった。

よちよち駆け寄るバンくんの姿が忘れられない。

こうしてバンくんは我が家の家族になったのだった。

バンくんは虫が嫌いだった。

小さな虫にも怯えた声で私たち家族にアピールする。

小さな蛾が家の中を飛び回るだけで、

ア、ア、ア、ア、ア〜!

と小刻みに声を挙げるのだった。

そのくせ、弱った蝉を捕まえて家の中に入れて、ジージーいっているのをみては、また、

ア、ア、ア、ア、ア〜!

と怯えてみせたりするのだった。

三匹の猫はみんなそれぞれに性格が違い、見ていて飽きなかった。

一番上のヘレンお姉さんは、彼女が家に来たとき私が中学生、弟が小学生のやんちゃだったのもあり、

いつもこちらからヘレンちゃんにちょっかい出していたから、

その煩わしさから牙を剥くくらい狂暴だった。

よく引っ掻かれたものだ。

ロンくんは、その真逆の優しい性格だった。

爪を立てたことがなかった。

真っ白の猫でとても気品があった。

彼女らは、共に16年に亘り、私たち家族に愛をくれた。

バンくんがいま20年に亘り愛をくれている最中であるが、

一番彼女彼らを可愛がったのが、父である。

父が脳梗塞で倒れて失語症になって、記憶を確めるのにいろいろ写真を持って、

これはなに?

とやったりしていたのだが、

母の名前も私や弟の名前も出てこないのに、

三匹の猫の写真をみせると、

「これはヘレン、でももういないの」

「あ、これはロン、ロンもいないの」

「バンくん……、ごはんあげなきゃ」

というのだった。

考えてもみれば、私などは、一人で大きくなったような顔をして、

親を煙たがり、さっさと家を出て行ってしまったわけだ。

父にとっていつもかまってくれて必要としてくれたのは、

やっぱりこの三匹の猫くんたちだった。

彼らに勝てるわけがなかった。

そんなヘレンもロンも亡くなる直前は、おしっこに行かなくなっていた。

身体のどこかが悪くて行けなかったのだろうが、

正にいまのバンくんが、その症状にあるのだった。

いま失語症の父が症状を悪化させず、なんとかいられるのも、

総てはバンくんのお蔭だといっていい。

そんなバンくんがいなくなったら、父は一体どうなってしまうのだろう。

いまでも父は小まめにバンくんの世話をしている。

永遠の命というのは何故ないのだろう。

出来ることなら、バンくんに永遠の命を与えたい。

父や母に対して、いまの私に出来ることは、バンくんの1%も力がないのだから。

そんなことよりも、もしバンくんが亡くなったら、一番悲しむのは、

この私なんだ。

わかっている……。


《エセコラ(22) 了》

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本当は、月曜日に書き上げようと思っていたのですが、

仕事やらなんやら終われてきょうになってしまいました。

月曜日は丁度台風が去った翌日でした。

それを踏まえてお読みください。

すみません。



台風一過とともに少し涼しくなるかと思いきや、きょうも暑かった一日、

皆様いかがお過ごしでしょうか。

この台風は、家屋や田畑が甚大な被害に見合っただけでなく、

死者をも出してしまうほどの強力なものでした。

関東、殊に東京では、一時的な雨に降られた程度でした。

私はテレビのニュースでしか、事の重大さを知りませんが、

日本の広さを再認識させられるのと、

先人の方が、現在の東京という地に首都を置かれた理由がわかるような気がします。

関東平野は富士山に守られているとは、以前より感じていました。

富士山が大きな壁となって、雨風の来るのを遮ってくれている。

今回の台風も富士山の西側の裾野をなめるように北上して行きました。

徳川家が築いた江戸時代の長きに亘る繁栄も幕府が富士山に守られた江戸東京にあったからこそ、と思いました。

さて、前回のエセコラで、証券善き時代の話しを書かせて頂いて、

私が入社する前までの話しで終わっていました。

今回はその続き、入社後の話しです。

初めて書いた小説がこの時期の自身で経験したことを題材にしています。

思い入れのある小説で、未だに未完成であります。

温め、熟し過ぎて腐ってしまうかもしれません(笑)。

昔、このヤフーブログで発表していました。

いずれまた機会があれば発表したいです。



【エセコラ(21)】

『証券善き時代の話し(その2)』


私が証券会社に入社したのが平成3年の4月、そのときの日経平均は、二万七千円台だった。

話しが少し戻るが、拘束旅行当日の平成2年の10月1日は、

実は、四万円あった株価が二万円を割り込んだ、そんな日でもあった。

株価が半分になっていても、証券界は強気で、誰もバブルが弾けたとはいわなかった。

当然の調整だといっていた。

事実、その半年後の私が入社した4月には、二万七千円台だったわけだから、

また三万円、四万円、それいけ五万円、と叫んでいた。

しかし、私が証券会社にお世話になった十四年半の期間に、この二万七千円を越えることはなかった。

私が辞めて以降も、未だ、この株価は越えられていない。

入社一年後には、一万四千円まで落ちた。

当時、流行り言葉に、

「半値八掛け二割引き」

というのがあった。

要は、三分の一、ということだ。

銘柄毎の株価もおおよそ、三分の一になっていた。

入社わずか二年で結構な経験をした。

そんな辛くも時々楽しかった覚えのある話しを少ししてみたい。

入社後直ぐに研修があった。

当時はまだ研修と称して旅行に連れていってくれていた。

でも、いままで連れていってくれていた拘束旅行とは待遇が違っていた。

フリーだった冷蔵庫もマッサージ師も総て自分持ちだった。

遊びも少しあったが、みっちり勉強させられた。

研修旅行の最終日に、一人ひとり名前を呼ばれて辞令を言い渡される。

私は家から近い、下北沢支店だった。

当時、一番仲良しになっていたT 君は、世田谷区民だったのに大阪支店を言い渡された。

誰もが、驚いた。

十年後に私もこの辞令の恐ろしさを目の当たりにするわけだが、それはまた別の話し。

証券会社に入社したけれど、配属されるまで私たちは、一部の人事部の先輩たちと同期の人間しか知らない。

そんな彼ら同期とは、右も左も知らない社会であったけれど、

これから、自分たちで、この会社を繁栄させお互い出世して頑張ろう、

なんていいながら、肩組んで飲み明かしていた。

若いとは怖いもの知らずで素晴らしいものなのだ。

配属されて営業に出されて直ぐに打ちのめされるわけだが、

私は、少なくとも証券会社の営業とはクリエイティブな仕事、と思っていた。

現実は真逆で体力勝負の体育会系だったのだ。

しかも中途半端な頭の良さなどはいらない。

いいや、思慮深さなど寧ろ邪魔で、

バカにならないと成績を挙げられないところだった。

電話外交と称して、電話帳を「あ」から順番に電話を掛けまくる。

ひどいときは、ガムテープで受話器と手をぐるぐる巻きにされ、9時から15時までさせられた。

訪問外交と称して、住宅地の隅から隅まで、インターホンを押しまくるのだ。

ピンポンダッシュして逃げたい気持ちになった。

当時は野村證券が飛ばしで社会問題になっていて、外交すればするほど、

「お前ら詐欺集団には用はない!」

と怒鳴られることが多くあった。

ときには、名刺を差し出して、私が証券会社の人間とわかると、

地面に叩き付けられ、踏んづけられたりもした。

名刺は顔だと教わっていたから、正に自分の顔を踏んづけられたように感じて、悲しくなった。

でも不思議なもので、一月もどうにかこうにかして外交をしていると、きちんと顧客が出来るのだった。

やればやっただけの結果が出る。

私は、貯蓄100万円の顧客が出来た。

すると先輩は、自分のことのように喜んで、誉めてくれる。

よし! 飲みに行くぞ!

とご馳走してくれる。

数日後、株を買いたい、という見込み客がいた。

先輩に相談すると、

よし! 同伴してやる!

先輩が面白いように株の話しをする。

見込み客は、先輩の話しを信用し、株を買うための預り金を納める約束をする。

後日、私が預り証を持っていってお金を預かる。

一千万円だった。

社会人になったばかりのついこの間まで学生だった人間が、

一人で外交鞄に一千万円を詰めて歩くのである。

初めての大金を目にしたけれど、これは勿論、他人の金だ。

これを繰り返すうち、金銭感覚は確実になくなっていった。

よし! 新人がまた新規開拓したぞ!

と、また飲みに行く。

総ておごりだ。

なにかあると直ぐに飲み会になった。

投資信託の目標が毎月ノルマ化されて、支店に振られるわけだが、

それが達成すれば、また打上げだ。

毎日飲んでいた気がする。

証券会社に入って楽しかったのは、一年目までで、それ以降は、苦しみの方が多かった。

ノルマに苦しまされるのだ。

毎月やってくるこのノルマは、手を変え形を変えて、若き営業マンに襲いかかってくる。

なかでも苦しめられたのが投資信託だった。

株式型だろうが債券型だろうが、要は、運用したものが上がらない限り、

投資信託などというものは儲からないのである。

専門的なことをいうと運用するための売買手数料と信託報酬で、

その投資信託の運用資金の数パーセントは抜かれる。

銘柄入れ換えを頻繁にされれば、また手数料に食われる。

私は、絶対に儲からないと思っている。

なぜなら、儲かっていても営業マンが、売らせないからだ。

当時は投資信託の預かり資産を各社こぞって重要視していたのもあるが、

銀行の定期預金の解約より困難だったろう。

投資信託には決算期があって、それを跨がないと信託報酬が証券会社に入らないのも、

売らせない状況を作っていた。

売らせるときは、損している投資信託を売って、

こちらの方がいいから、と乗り換えるときだった。

いまは禁止行為となっている。

投資信託の販売には苦しめられた。

一年、二年と経って、同期は半分になっていた。

誰かが辞めていくときも、飲み会が開かれる。

理由はなんでも良かったのだ、酒が飲めれば。

入社三年、私はこんなことをしていたのか。

入社当時の新鮮な気持ちは完全になくなっていた。


《エセコラ(21) 了》


長々すみません。

続きはまたこんど。

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