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「だって悔しいけど、不動さんが好きなんはやっぱりマリやもん。そやけど身体の相性は、絶対私とが
最高やって思ってくれてるはず。だからそのどっちも不動さんは手にいれてんもん」
不動は暫時腕組みをしたまま、天井を見上げた。
「そやけど、茂木と関係続けてたら、そのうちバレるんちゃうか?」
「だからやん!」
衣服をふたたび身につけ終えた茂美は、不動の右肩をポンと叩いた。
「えっ、何のこと?」
「そのためにさっきお芝居したんやんか。今みたいに私が白状して謝ったから、きっとマリはもうそんな
ことはせえへんって思ってくれるはず。だから、そうしたんやもん」
「なるほど。きっと親友の茂木の言うことやから、マリも信用するよな、たしかに」
「でしょ?」
「あぁ、そうやな」
茂美は不動の両手をとり、彼女の細く長い指を絡めた。
そしてそっと彼の手を彼女の腰に回すように誘導した。
互いの顔がひっつくくらいまで、身体が重なり合った。
静かに目を閉じながら、茂美は不動の唇をすりぬけ、舌を挿入させた。
不動も彼女の舌の動きに合わせ、自らの舌を絡ませた。
ほんのさっきまで狂乱したように愛し合っていた2人。
にもかかわらず、また2人は獣へと逆戻りを始めようとしている。
茂美の淫らな声が漏れた。
「不動さん。なんで? またこんなに固くなってるやん!」
「俺、こんな興奮したことない」
今服を身に付けたばかりなのに。
不動は荒々しく茂美のタンクトップをたくしあげた。
瞬く間に、彼女のたわわな胸が顔をのぞかせた。
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「風呂もええけど、ほんま俺のことハメようと思ってへん?」
「そんなわけないよ! 不動さんにハメられるのは最高やけど、私はそんなことせえへん。だって、
不動さんとマリを別れさせんでsも、こうやって私は時々不動さんとべったり一緒にいられたら
じゅうぶんなんやし」
茂美は話をしながら、不動のほうへと少しずつ接近していく。
すぐに不動の首に両手を回し、身体をぴったりと密着させた。それから彼の手をとって、
彼女の左胸へといざなった。
「それでも別にほんまのこと言わんでも、これから会える方法はあるやろ?」
「私の作戦絶対うまいこといくから、安心して。そんなことより、一緒にお風呂に入ろ」
「風呂って、お湯なんか入ってへんやろ?」
「別にシャワーでええやん。私がきれいに不動さんの身体洗ったげるから」
「そうか」
いとも簡単に、不動は茂美の誘惑に応じてしまった。
茂美に軽く手を引かれ、浴室へと向かった。
「不動さん。はよ脱いで」
そう言いながら、茂美は不動の服を脱ぐのを手伝った。
「大丈夫やって。自分で脱げるし」
「ええやん。手伝いたいねん。そんなことより、もうこんなに大きくなってる!」
浴室でその後2人は、やはり身体を洗うだけでは済まなかった。
激しく乱れたプレイを1時間以上楽しんだ。
浴室から出て、不動はマリからのメールを受信していることに気付いた。
「どうしたん? マリからメール?」
「あぁ」
「マリ、何って?」
「俺とマリの2人にとって、最善の決断をするやって」
「ほら。言うた通り。絶対マリは不動さんと別れたりせえへんって」
「最善とかは書いてあるけど、俺と別れたないとは書いてへんけど・・・・・・」
「そんなん絶対心配ないから。でも不動さんにとったら、最高の展開になったんちゃう?」
「えっ、どういう意味?」
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少し入力しては、一部削除したり、全部消してしまったり。
ほんの僅か5行くらいのメッセージを入力するのに20分くらいかかった。
3回ほど軽く頷いてから、メールを送信した。
送り先は、不動だった。
TO: 明
FROM: マリ
Re: 明日のこと
茂美とのこと、正直すごいショック。だけど私が明を
好きだという気持ちは今も変わらない。どんな結果か
はまだ決められないけど、2人にとって最善の決断を
します。
また明日、連絡します。
「おい、茂木。俺、完全に悪者やん。絶対、マリは許してくれへんやろ!」
マリが部屋を飛び出して、しばらくは2人とも動かず、口を開かずの静止状態。
1分ほどその状態が続き、不動が沈黙を破った。
「不動さん。心配ないって。そんなことより、一緒にお風呂入りたーい」
落ち着いた口調で不動の怒りをまずは鎮めた。
そして間髪入れず、甘ったるい声で不動を誘惑した。
彼女の挑発は話し方だけではなかった。
彼の欲情を刺激するような妖しいポーズをとった。
タンクトップをゆっくりと脱ぎ、豊かな彼女の胸を彼のほうへと突き出した。
下着は身につけていたが、隠れている部分がやけに少なかった。
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茂美のマンションを出てすぐ、マリのケータイが鳴った。
ケータイの画面を開くと、非通知設定での着信と表示されている。
「もしもし?」
―――小田さんか。俺や。覚えてるやろ?
ケータイに着信が入る以前から、マリの表情はやはり冴えなかった。
だが電話の主の声を聞いて、マリはよりいっそう青ざめた。
「は、はい」
―――今どこや?
「今、江坂です」
―――それやったら、梅田まで30分もあったら来れるのー。
「梅田ですか? はい」
―――今から1時間以内に、梅田の泉の広場まで来い。
「分かりました」
マリは電話を切ってから、何度もケータイから警察へ電話をしようと試みた。
しかし最後の勇気を振り絞ることができなかった。
1を2回押し、9を押す手前で指が止まってしまう。
そんな同じ行動をひたすら繰り返した。
マリは梅田方面へと向かう地下鉄に乗った。
いつも一人で移動しているときは、きまって彼女の好きなロックを聴いている。
ところが今はそんな日常の習慣でもあり、彼女の好きなことですら忘れてしまっている。
新大阪に着く少し手前で、突然電車が止まった。
―――お急ぎのところ、申し訳ありません。只今地下鉄御堂筋線淀屋橋駅で、人身事故が発生
しました。そのため、電車は運転を見合わせております。
アナウンスはそこで終了した。
マリは左手にはめているD&Gの時計に目をやった。
まだ約束の時間まで40分以上ある。
バッグからケータイを取り出し、さっきの着信履歴を確認した。
それから画面を変えて、メールを打ち始めた。
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「じゃあ、明日待ってるね!」
茂美の声がとたんに変わった。
やけに色っぽく、そしてとても甘い口調で不動に訴えた。
彼はまんざらでもない様子。
嬉しそうな顔をしながら、黙って2回首を縦に振った。
そのとき、マリがトイレから戻ってきた。
「茂美。さっきの話やけど、今トイレでもう1回考えてんけど、1日だけ時間ちょうだい」
「それって、どういう意味?」
マリが茂美に向かって言葉を発した直後、不動は固まってしまった。大きく目を見開いたまま。
茂美は大きく口をポカンと開け、少ししてからマリに訊ねた。
「今のままでは絶対あかんっていうのは分かってんねん。でもどうしたら一番いいのかが分からへん。
だから1日考えたいねん」
「なんで? 別に今のままでええと思うねんけど・・・・・・」
不動の首が僅かだが、素早く上下に動いた。
「いつもそうやけど、私に気を遣いすぎ。特に今回のことは、そんな解決は絶対したくないから」
「私が気を遣ってないって言うてんねんから、今のままでいいよ。それより、もっと不動さんのこと
気を遣ったって」
「私が茂美の立場やったら、そんな簡単に明のこと忘れられへん。っていうか、譲られへん」
「私もほんまはそうやと思う。でも不動さんが好きになったのがマリやから。だから諦められるんやって」
不動は硬直状態から解放された。
しかし少し項垂れ、2人の話を黙って聞いている。今にも泣きそうな顔をして。
「違う。茂美のほんまの気持ちは無理矢理封印しようとしてるんやって。私のために」
「ほんまもうええねんって、マリ」
「とにかく1日考えさせて。また明日話させて」
「分かった。でもほんまに不動さんのこと許したげてな。不動さんだけやから、マリを幸せにできんのは」
茂美はマリの手を握った。
2人は互いに見つめ合っている。
「明。悪いけど、私一人で先に帰るから」
「なんで? 今から前祝いしようって言うてたやん」
「本気で言うてる? そんな気分になれるわけないやん!」
マリの語気はそんなに変わらなかった。
怒っているというより呆れている。そんな感じの口調と表情だった。
「じゃあ茂美。明日また連絡するわ」
「分かった。気つけて帰ってな」
「有難う」
マリは茂美の部屋を出た。
明に対しては何も言わず、また振り返ることもなく。
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