政治魔術批判論 Critic on Political magi

亡霊と闘う論士デ・ラ・マンチャの大冒険

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『ルポ 戦場出稼ぎ労働者』安田純平
 2016年6月現在の状況では、本書で報告されている2007年の状況とは違い著者の正体は著者を拉致した武装勢力に既にばれていて、日本や日本人、日本政府に対して身代金を含めた身柄引き渡しの交渉を要求しているようである。ところが、これを中途半端に報道し続けるマスコミもさることながらネットでは本書の内容からも自己責任論で著者を見殺しにしても当然であるかのような論調が大勢を占めている。このままいけば本当に著者を見殺しにすることになるのではないか。
 安保法は国会を通したのに著者が現在直面しているような国際人質事件は、警視庁でも外務省でも防衛省でも対応している気配すらない。極秘に対応していて結果として救出できるならいいが、本当に対応する部署すらないのではないか。北朝鮮や南西諸島の新しい事態には率先して対応しようとしているのに、他方で以前から問題になっている世論の風当たりも厳しい日本人人質事件にちゃんと対応することが自己責任論にかまけてなおざりにされるのはおかしいのではないか。
 自己責任論者だから見殺しにしていいという短絡ではなく、これだけの自己責任論者が救出を要請させられているという事態を少なくとも政府は逆に重く受け止めるべきだろう。諜報とか戦略、特殊部隊というところまで考えるなら極秘裏に身代金を用意してでも日本人を奪還する実績を重ねていくのでなければ、単に口先だけの安保、抑止力で日本人は還ってこない、助からない状況は続いていく。湾岸戦争の時のことで云えば、アントニオ猪木より中曽根康弘の方がよほど偉かったということは理解しておかねばならない。

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