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QCストーリーというものをご存知だろうか。改善を進めていく際の定石のようなものだ。
人というものは、目標とギャップを認識して初めてその差を「克服」しようと動ける。 差と方向(ベクトル)がわかれば、そっちに突き進むだけ。 確認と修正。成果が出たら定着させる。そして標準化。 実施の仕方や詳しい説明はWebを参照してもらうとして、今日は人を改善しようとする熱血漢の上司について話をしたい。 この上司はとても熱血漢だ。語りだすと熱い。もう、本当に熱い。迷惑と言っても良い。 部下も皆自分と同じように物事を考えると思っている。 そして、そうで無い人々を、自分と同じように考える人間に変化させることができると思っている。 そしてなお悪いことに、そうした能力は自分がもっとも優れていると思い込んでいる。 そんなに珍しい人種ではないだろう。どこの会社にもそんな人は一人や二人(十分に迷惑だが)はいるものだ。 こういった人種は、部下の意見は地獄に落ちようとも聞きはしないが、自分の言葉は他人に強制入力させる。 その会社に留まる限り、本当に地獄の果てまで追い続けて、耳に拡声器を差し込み、怒鳴り散らす。 彼らは、迷惑な善意からこんな行動に及ぶことが多い。本気で部下を思いやっていると信じている。 ああ、QCストーリーから話がそれた。 でも、それは伏線だ。 改善には、 ・現状の好ましくない状態(問題)を、本来の好ましい状態に戻す。 ・現状よりもさらに良い状態(理想)に向かって、格上げする。 の二通りがある。 前者は問題解決型といい、後者を課題達成型と言う。 さて、くだんの上司にとって、取るべき行動は問題解決型か、課題達成型か。 議論するまでもなく、この上司は部下を信じていない。自分を超える人間なんてものが存在することが信じられる訳はない。 つまり、他の人々は自分よりも「下」なのだ。 よって、最初の点数付けは「マイナス」から始まる。確実に減点方式なのだ。 間違っても「現在よりも良い状態(理想)」を示して、部下を「高みへ誘う」なんてことをするわけが無い。 そんなことをしたら、自分の価値が崩壊すると信じている。 なので、上司は部下を 「あれがダメ。マイナス10点」 「分かっていない。マイナス20点」 「実施できない。マイナス50点」 ・・・ という具合に減点していく。 こんな上司がすることは、絶対零度をはるかに下回る「無能な部下」を本来あるべき姿である「0(ゼロ)」に引き上げてやることだと、信じて疑わない。 そして、さらに重要なことは「部下が自分を上回ることなどない」ことを常に確認し続けることだ。 部下が自分を上回ることが無いことを確認する簡単な方法は「常に駄目だし」をし続けることだ。 これで、可哀想な生贄は絶対に「0」に到達しない。アキレスと亀のパラドックスのほうがまだ可愛く思える。 今よりも良い理想の状態だって?バカなことを言うな。こいつらはダメな人間だから、俺が指導してやらなきゃならない。 本当に俺がいつも指示を出し、尻を蹴りあげ、叱咤してても、このザマなんだから。 上司にとっては、部下は「永遠に問題児」であり、「指導しつづける対象」である。 私の会社にも、悲しいことだが似たような上司は居る。 いつも部下を「馬鹿」だと罵り、叱咤激励と称して、威圧を欠かさない。 そして部下は上司の期待に応えて「馬鹿」になる。 どんな有能な部下でも、どんどん「本当の馬鹿」になっていくことだ。 組織の崩壊は一日では達成できないが、長い年月をかけて少しづつ壊していくと、いつの時点かで取り返しのつかない状態に陥る。 |
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