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星になったさくら

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その日は七夕。

朝のさくらの様子を見ると、前日よりいっそう呼吸が苦しそうだった。

前日の夜、寝そべるさくらが少し口を開けて呼吸していることに気づいた。

猫は鼻呼吸。どんなに暑い日でも鼻呼吸。

これは、危ないかも…と思った。


そして次の日、お腹で息をしている。

その顔も辛そう。

触ると、体が低体温になっている。

猫の体温は人間よりも高い。

自分の手のほうが熱いのだ。


今夜かも…しれない。そう感じた。



これまで、多くの動物の死に直面してきた。

中学校の頃は、学校で怪我をして瀕死の犬を連れ帰り、介抱したり。

最後の呼吸が止まるのを幾度となく見てきた。

だから、さくらの死が近いことが分るのだった。


夕方、大急ぎで仕事から帰り、さくらを見舞った。


生きていた。

「さくら、待っててくれたんだね…。」

動けない状態なため、スポイトでお水を飲ませた。

人間用の栄養ドリンクも薄めて飲ませた。

少しでも元気を取り戻してくれたら…と願って。

これで最後かもしれないと、お魚の煮汁を飲ませた。

「美味しいね、お魚、美味しいね」

スポイトから上手に飲みほしたのだ。

体をさすり、頭をなぜたりしながら

「さくら、頑張ってね、元気になってね」

と祈る。



次第に苦しくなる呼吸。

早くラクにしてあげたい…。

そんな思いが通じたのか、突然に大きく息を吸い、体を突っ張らせ

キィーー…と声を出した。

あ、さくら、さくら、待って!

まだ、早いよぉ、まだ逝かないで!


抱き上げて、心臓をマッサージする。




さくらは逝ってしまった。


しばらく抱いて、涙した。


隣の部屋にいる娘と旦那にさくらを見せに行った。


「さくらね、今、亡くなったの。彦星に会いにいったの」


それは七夕の夜。


次の日、さくらの顔は、まるで生きているよう。

眠っていて、今にもおきだしそうな姿だった。

こんなやすらかな顔は初めて見た。

最後、少し苦しかったけど、さくらはちゃんとこの世での使命を果たしたのだ。

さくらに言った。

「今度は人界で会おうね。また、会おうね」






さくらと姉妹のように育った娘は、無言。

中学生という年代のためか、素直に心を表現しない。

さくらを抱いて泣くのかな、と見ていたが、泣かない。

こらえているのか、実感がないのか。

時折、「さくら、いないね」とつぶやくと、「うん、いないね」と返答する娘。

さくらは娘より3歳も年上。

赤ちゃんだった時代の娘を見守ってきたさくら。

小学校5年生まで、一緒にベットに寝ていた二人。

絵を描くと、必ずさくらを描いていた娘。

さくらの絵で賞状までもらった娘。


思うに、自分の一部がなくなったような感じではないだろうか。

その訳は…

幼児の頃に「さくらは、猫にされたおねえちゃんなの」という話を真剣に信じ

育ったから。

5歳まで信じていたのだ。

姉妹として育ったさくらと娘。



人間より動物のほうが寿命は短い。

いつかは来る別れ。

身近なペットへの思いは、思い出だけではなく、その後の生き方にも影響すると思う。

生き物を愛し、慈しむ心のある人は、豊かな心を持つ人といえる。


別れは辛く悲しいけれど、それがこの世のルールなのだ。





さくらにありがとう。

閉じる コメント(1)

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こんにちは!悲しいお話ですね・・・
必ず見守っていてくれてると思います。

よかったら聴いて下さい。

「このつないだ手を」
http://music.geocities.yahoo.co.jp/gl/monetmei/view/20080509/1210324721

失礼しました。

2008/7/25(金) 午後 6:19 モネメイズ

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