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韓国映画を見たのは「シュリ」以来だ。ましてや時代物はともかく現代の戦争物は邦画だろうが洋画だろうが好きではない。どうもその後の夢見がよくないのだ。戦争はそれこそ権力者が保証した殺し合いであり、地獄絵図そのものである。平時では、一人殺しただけでも重罪なのに、なぜにあのような殺戮が許されるのか。いや、許されるわけはないだろう。彼らが負った恨みや呪いをどうやって晴らすことができるのだろうか。ましてや、同じ言語と文化をもつ同じ民族同士の戦いである。そして、それぞれの国の背後に大国の陰がある。南北統一は、根が深すぎるのだ。
その戦いを、チャンドンゴンとウォンビンという魅力的な俳優が演じる「兄弟」が象徴しているのだろう。太極旗のもと、何の準備もないまま韓国動乱に巻き込まれていく仲のよい兄弟。兄は弟を救うために必死になって戦う。勲章までもらってやっと弟を救うことができたかと思うと、そこで待っていたのは、韓国人どうしの殺し合いだった。真の敵は、いったいどこにいるのか。戦争の理由は、ほとんど描かれることがない映画だったが、それでも戦争は狂気の沙汰であり、どちらにも正義はないということが嫌というほどわかった。目の前で人間が鉄くずのようになって死んでいき、また殺さなければ殺されるという修羅場が展開するのだ。
途中で辞めることなく見られたのは、現在の視点から1950年という手法がとられていたからだ。少なくとも主人公の一人が生き延びただろうことは、十分に予想できたからだ。
この戦いでは、400〜500万人の死者が出たという。恐ろしい戦いである。しかし、対岸の火事とは言えないかもしれない。戦後の平和ボケ社会に住むわれわれ日本人は、一発の銃弾も使うことなく、毎年3万人の自殺者と、30万人を越える水子を出し続けているのだから。
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