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近年、はまっている清水義範文、西原理恵子イラストの本だが、このコンビで最高と言えるほど面白かった。 清水の書評は、短く簡潔で、あまり興味のなかった本も読んでみようかなという気持ちにさせられた。 特にジェームズ・ジョイスや大江健三郎に対する見解などは、なるほどなと思わされた。 かつて国語の授業を受けた後、徐々に教科書にあった作品に興味をもつようになった感覚に似ている。 そういう意味でも、『若い芸術家の肖像』と『万延元年のフットボール』、『魔の山』は、読んでみようと思った。 一方で、サイバラの風刺イラストも見事である。 松山市民でもなく、愛想をつかして帰京したのに、いまだに観光目当てに使われている『坊ちゃん』。 子どもころから、正直でシンセツなどれい商人の『ロビンソンクルーソー』とキソクを守って漂流する『十五少年漂流記』は、大キライと言い放つ。 無人島の方が現実より平和だし、ちっとも漂流になっていない。 こんな大人のウソのだまされないぞと切り込む。 ちなみ、彼女が中学のときに『蠅の王』という本を読んで、やっと人間らしい遭難漂流記に出合えたと喜んだらしい。 さらに「谷崎潤一郎を渡辺淳一みたいなもの」と斬り捨てたり、「ちんたら小説を現代人が読む必要はない」と言い切ってしまう。 もっとも、サイバラの暴走はそのレベルで止まらない。 本当にどうでもよいと思う作品については、まったく関係ないイラストさえ描いているのだ。 大江健三郎なんて、完全に無視。 描かないことで作品のどうでもよさをアピールするという表現もあることを知らされた。 読書に対する意欲をそそられる大人向けの一冊。
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