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少し急いで歩きすぎた、中宮(結社)に着いたときには息が切れていた。
中宮を参って、横にある和泉式部の歌碑を見たところで、小さな石のうえに
腰をおろして、汗を拭いた。中宮は小さな社で誰もいない。
和泉式部の歌碑を見たのだから、ここは一首詠みたいところだが、なかなか
出てこない。
すると、社のほうにひとりの女が階段を上がってきた。
女が社に一礼する様子を見ていたが、…どうもわからない。
美人なのか、そうでないのか。
何故か顔が曖昧である、目も二つ、三つ、いや十もあるか、わからん。
はて、これは人か、姫神の使いか、妖怪か…。
女は和泉式部の歌碑にも一礼すると私に話しかけた。
「おや、お歌ですか、苦吟していらっしゃるようですわね。」
「はあ、優れた歌の前ではどうもよろしくありませんな。
それより、ここは木々や山から霊気が降って来るようで、すこぶる心地よい
なんとも癒されます。」
「そう、ここは中宮のお社の中ですもの、人にはあの小さなお社しか見えな
いそうですけど。」
「ほう、ここは社の中ですか、見えませんなあ。あっ、ならばここに腰掛け
ていて大丈夫でしょうか。」
「いいえ、かまいませんことよ、姫神さまもあなたの苦吟を微笑んで見てい
らっしゃいますわ。」
「そりゃ参りましたな。しかしそれがわかるということは、貴女は巫女さん
なのですか?」
「ふふ、まあ姫神さまにお仕えしているということでは、同じようなもので
しょうね。」
…と、女の衣装が巫女のものへと変化するのが見える。
「どうそ、ごゆっくりなさって下さい。でも、あなたも奇妙な方ですね、私
の姿が見えるなんて…、普通の人には見えませんのに。」
「はは、奇妙な男ですか、それは当っていますな。」と私は笑った。
女は軽く会釈し、サッと身をひるがえすと階段を下りて消えていった。
私はもう一度、降り来る霊気を肺いっぱいに吸い込んだ。
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最近の記事は…
「乙葉さん出産おめでとう」
http://blogs.yahoo.co.jp/holahola_123/50373676.html
「魔界-貴船神社-3」
http://blogs.yahoo.co.jp/holahola_123/50357582.html
「魔界-貴船神社-2」
http://blogs.yahoo.co.jp/holahola_123/50339464.html
「魔界-貴船神社-1」
http://blogs.yahoo.co.jp/holahola_123/50320921.html
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この女性が見えない男の方が
奇妙かも....??(爆)傑☆
2007/11/4(日) 午前 2:27
にしやんさん、世の中奇妙な男ばかりがいますな(笑)傑作ありがとうございます。
2007/11/4(日) 午前 3:06
私はいくつになっても男性の気持ちがわからないです。
奇妙であってもなくてもね。
それにしても!怖いよ〜〜霊障とかあるから怖い〜〜
2007/11/4(日) 午前 11:46 [ ひなたひとみ ]
ひなたさん、男から見た女性も同じですよ、だから喧嘩もするけど補いつつ別の見方も出来るようになっていくのかもしれないねえ。
この手の話は泉鏡花の真似みたいなもんです、直接感じるというよりイメージが出てくる。でも異界は災いよりも心を豊かにしてくれることが多いと感じるな^^
2007/11/4(日) 午後 0:10
これは「実話」???
とてもスムーズな会話とゆうか、心優しい女性の言葉使いに
何故か惹かれますねぇ・・。
ポチリ!
2007/11/4(日) 午後 7:28
人には見えないけど、自分にだけ見える。。そんな体験をしてみたいわ〜って思いました^^ポチ!
2007/11/4(日) 午後 11:19
ひろちんさんの独壇場の物語です。傑作
2007/11/5(月) 午前 0:36 [ うまれ ]
おふれこさん、妄想です〜^^ ここは女性の神様だから優しい感じなったのかな。ポチリありがとう。
2007/11/5(月) 午前 2:46
アクアマリンさん、妄想力というか、こんなだったら面白いだろうなぁ〜、という感じで作ってます。ここはいろいろ想像したくなる雰囲気がありましたね。ポチありがとう。
2007/11/5(月) 午前 2:49
うまれさん、結社で感じたものを、流れにまかせて書いたのでとりとめないですが、簡潔にしたのがよかったのかもしれません。傑作ありがとうございます。
2007/11/5(月) 午前 2:52
こんなことが起きても、不思議はないようなところですものね。
でも、ひろちんさんの想像力はすごいですね。
2007/11/5(月) 午前 10:01
ばんびさん、こういうところに来たら思いをはせて妄想するのも楽しいものです。現地でないと雰囲気はわかりませんからね^^
2007/11/5(月) 午後 0:02
京都というところは幻想的なイメージの湧き出るところですね。そんな気がします。それこそ街を巡っていると、いろんな物語や短歌が創作できそうです。。
2007/11/6(火) 午後 1:46
古い場所とわずかの知識があれば、イメージの材料になりますね。これは現地でスムーズに出てきました、いや感じたのかな?
2007/11/6(火) 午後 2:34
さすがひろちんさん、fukoなら見えないだろうな〜〜
しかしそんな妖怪にあってみたいですね。
2011/6/5(日) 午後 2:36 [ f u k o ]
不狐さん、誰もいなかったので、幻想-妄想三昧です。
こうやって女子高校生も描いている(笑
2011/6/5(日) 午後 3:02