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廣珍堂:古書店廣珍堂店主
麻梨子:近所の薬局店主
ボギー:麻梨子のペットの小型犬
桜井:輪廻振り分け事務局の知り合い
これまでの話へのリンクは下記ページにまとめました。
http://blogs.yahoo.co.jp/holahola_123/52932241.html
☆今回の話は落語「地獄百景亡者の戯」を参考にしています。
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( 1 )
輪廻という思想がある。
簡単にいえば“生まれかわる”のだが、六つの区分がある。
「天」:天上の素晴らしい世界である。
「人間」:我々のことである。
「阿修羅」:ひたすら怒り喧嘩をしつづける場所である。
「畜生」:人間以外のこの世の生き物はここ。
「餓鬼」:いつも腹がへっていて、あれもこれも欲しいけど手に入らない世界。
「地獄」:いうまでもない。
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さて、次の休みの日、廣珍堂は麻梨子とボギーを連れて花見に行った。
行き先は近所の鴨川の河原である、とはいえここは桜の名所で、河川敷も広い。
ちょっと見頃は過ぎていたが、穏やかな日差しがそそいでいる。
ボギーはおおよろこびである、首輪を外すと思いっきり走っている、他の見物
客の犬と戯れたりしている。
「わあ、よかったわー、気持ちいいっ!」と麻梨子。
「うん、暖かい風がいいよね、桜の香りも満点だ。」
廣珍堂と麻梨子は草原の土手に寝転がって花吹雪を楽しんだ。
ボギーがときどき戻ってきて二人の顔をペロペロ舐めてまた遊びに行く。
「こうやっていると、春の憂鬱も趣きがあるかもしれんな。」
「あら、廣珍堂さんは早く“鬱”を治したいんでしょう。」
「そりゃそうだが、この穏やかな時間をずいぶんの間忘れていたようだ。」
「そうねえ、私もこうやってのんびりすること少ないなあ。」
麻梨子は簡単な弁当を作ってきた、ボギーのは特製でペットフードではない。
「まあ、今日はボギーが主役だ、我々はお供だな。」
「ふふ、そうそう。」と麻梨子が笑う。
と、ボギーが古い桜の根本を見てキャンキャンと吠えている。
「ん、何かいるのかな。」と廣珍堂が行ってみると、何となく怪しい。
廣珍堂は手鏡を出して何やら呪文を唱えた…。
「ほうー、こんなところに、ここへの通り道があるのか。」
廣珍堂はボギーに魔界を探す能力があることは承知している。
「麻梨子さーん、ちょっとボギーと出かけて来る、遅くなるかもしれん。」
「ええっ、出かけるって何処へ?」
「向こうの世界…」
と、廣珍堂とボギーは木の向こうに隠れて消えてしまった。
「ははあ、こないだボギーが別世界のウコンの花見を見つけたから、それの
続きね、でも、普通は向こうに行かないって言ってたはずだけど、何かしら?」
廣珍堂とボギーが現われたのは「輪廻振り分け所」である。
閻魔さまが悪行を裁いて、次は何処に生まれかわるか決める場所である。
とはいえ、凄い亡者の数である、廣珍堂は以前にも案内されたことがあるの
だが、そのときはみんな観光バスで来ていた、しかし今は亡者ライナーとい
う電車が数分間隔で走って運んでいる。
電車が着くたびに、いっせいに亡者が吐き出されて、駅から受付まで大混雑
である。
廣珍堂はボギーを抱えて、顔見知りのいる事務局を訪ねた。
「ごめんください、廣珍堂といいますが…、桜井さんはいらっしゃいますか。」
「おお、珍しい廣珍堂君、まあ座りたまえ。」
「しかし、相変わらずの混雑ですね、もう処理しきれないでしょう。」
「ああ、それで去年から亡者番号制をとっておる。」
「ここでも総背番号制ですか、そうでしょうねえ。」
「判定はコンピューターなんだけどね、入力のとき結構ミスがあってねえ、
誰のものかわからないデーターの処理で、苦情の電話が鳴りっぱなしだよ。
そのうえ、窓口では判定するほうが亡者に怒鳴られとる、わけがわからん。」
「はは、それ人間界とそっくりじゃないですか。」
「そんなもん、どっちも同じだ、もう事務方は当時の横着のツケがきた感じ
で、閻魔さまも亡者に謝罪しておいでになる。」
「え、閻魔さまが謝罪、そりゃ大変だ。」
(2)
http://blogs.yahoo.co.jp/holahola_123/52954497.html
につづく
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ボギーに来てもらって、ムカデと蛇を寄せ付けないように呪いしてほしいです(笑)
2008/4/12(土) 午前 2:19 [ 北山 滝 ]
北山さん、ボギーが先に噛まれるような気がします(笑)どこかにムカデ除け、蛇除けのお札がないかなあ。蛇は悪い生き物じゃないんですけど私も苦手です^^;
2008/4/12(土) 午前 11:54
亡者の世界も年金みたいにでたらめをしていたとは、正しく振り分けてもらいたい、どっちみち地獄か・・・
2008/4/12(土) 午後 2:34 [ うまれ ]
ワハハ!ほんとダ!閻魔さまが謝罪、そりゃ大変だヽ(・_・;)ノ
面白い話だぁ〜!
傑作!ポポォ〜ン!!
2008/4/12(土) 午後 5:40
簡単にあっちの世界には行かないほうがいいと思うなぁ。
死んだらどうせ行くんだもん!!
2008/4/12(土) 午後 7:49 [ ひなたひとみ ]
輪廻振り分け所もいまやコンピュータで管理してるんですね〜^^;
人間界では人間は増える減るがあるけど、亡者の世界では減ることはないのかも?
2008/4/12(土) 午後 10:44
うまれさん、あれも紙のままだったら見つからなかったでしょうねえ。地獄も満員なので振り分け基準の変更に期待しましょう(笑
2008/4/12(土) 午後 11:30
おふれこさん、でも閻魔さまは「いつまでに統合作業を終える」とは言わなかったらしい、偉い方は大変ですなぁ。傑作ありがとう。
2008/4/12(土) 午後 11:32
ひなたさん、これ書いてて思ったんだけどね、いちばん悲しいのは怨念で行くとこにも行けず「宙ぶらりん」でさまよう魂かもしれないなって。いわゆる魔界だね。
2008/4/12(土) 午後 11:37
アクアマリンさん、まあ悪人は減らないでしょうねえ、人間の欲があるかぎり。よいことをした証拠は捨てないようにしましょう^^
2008/4/12(土) 午後 11:39
閻魔様も謝罪ですか!
2008/4/13(日) 午前 7:22
ひみ子さん、えんま帳が間違っていたらそりゃ困るでは済みませんからね^^
2008/4/13(日) 午前 11:14
桂枝雀、大好きだったのに。彼も躁鬱だったのですね。
2008/4/14(月) 午後 3:30
akikoさん、“地獄百景”は桂枝雀では聞いたことがないけど上手かったらしい、あのひとは天才型だったから残念だなあ。
2008/4/15(火) 午前 0:39