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先週Twitterで季語で詠んだものです。一部推敲・詠み直ししています。
1, = 水雲(もずく) =
小鉢より水雲はぐらり渦巻きて吸ひ込まれゆくたおをかな海
2, = 眼張(めばる) =
流し台に眼張三匹眠らせて釣果をすでに食べ終えた家族
3, = 凍解(いてどけ) =
彷徨のタイムラインに凍解けを告げる声あり画像が淡い
4, = 蕨(わらび) =
白髪の女が厨にぢつと立ちわらび茹でたる湯気のまぼろし
5, = 芦の角(あしのつの) =
水鳥がひかり切りたる真昼間に淡海の宮を恋ふ芦の角
6, = 鳥雲に(とりくもに) =
窓辺には事後の女が座りゐて「鳥雲に」つてつぶやく朝は
7, = 水温む(みずぬるむ) =
楽園は水温むとふまぼろしに林檎を摘みて溶けゆくふたり
・海雲(もずく):三春の植物季語で「水雲」とも書かれる。ぬるぬるした粘質の海藻で酢の物や汁物に。天平六年(734)の正倉院文書にその名が見え、古くから食されていたことが知られる。
・眼張(めばる):三春の生類季語。メバル科に属する礒魚で煮付や塩焼きにする、その名のとおり大きな眼が特徴。江戸期の『大和本草』(1709)に「目大なる故名づく」とある。
・凍解(いてどけ):仲春の地理季語で「凍解く」「凍緩む」の動詞形傍題でも。冬の間凍結していた大地や水面が、春の暖かな日差しを受けて解け緩むこと。
・蕨(わらび):仲春の植物季語で「早蕨(さわらび)」「老蕨(おいわらび)」などの傍題も。子供の小さな拳を思わせる、渦巻き形の先端を突き出して春の野山に萌え出る。
・芦の角(あしのつの):仲春の植物季語で「芦の芽」とも。この時季に水辺にいっせいに芽生える芦の新芽は鋭く尖っているところから角に喩えてこのように呼ばれる。
・鳥雲(とりくも)に:仲春の生類季語「鳥雲に入る」の短略傍題。越冬した鳥の群が北を目指して飛び立ち雲間に消えてゆく姿をいう。『和漢朗詠集』などに典拠を持つが現代の叙情を盛るにもふさわしい。
・水温(みずぬる)む:仲春の地理季語。春半ばを迎える時分には、寒気が緩んで湖沼や河川の水が次第に温かさを増してくる。それにつれて水底にじっとしていた鮒などの魚が動き出す。
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