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(5)
http://blogs.yahoo.co.jp/holahola_123/60962779.html
よりつづく
( 6 )
日が暮れると、列が出来るほどになった。
それぞれに「家族は無事か」「胴体はどこだ」と問いかけられ
るが答えようもない。
「えと、この切符の行き先の三途の川渡し場受付で聞いて下さ
い」と、なんとなく役所のタライまわしっぽい返事。
すでに戒名・法名がついているか訪ねる者もいる。
遺族がつけた者とまだの者がいるだろう。
行方不明だと家族が死亡届も出していない者も多いと聞く。
「こりゃ、三途の川の受付も、桜井さんの輪廻振り分け事務
所もすぐには照合しきれんのじゃないか」
「うーん、それで今年は女子大生の応援が来たのかしら」
「そうかもしれんなあ」
夜の10時ぐらいにやっと一段落した。
「晩ご飯が届いてるわ、二段のお重よ」
「コンビニ弁当じゃないんだ、さすがだ」
腹の減ったふたりはいかだの上、提灯の下で、パクパク食う。
「これ、あの女将さんの味だわ」
「うん、美味いなー」
「それに、外で食べてちょうどいい味つけ、帰ったら習いた
いなー」と如何にも主婦らしい言葉。
食事を終えて一服したらまた忙しくなってきた。
どんどん来る。
「整理番号配りますんで、この提灯の見える近くで休んでて
くださーい」
やはり丑三つ刻がいちばん動きが活発らしい。
「はい、これでいいですよ、一名様ご案内」
…下手したら、落語の『地獄百景亡者の戯れ』みたいになり
そうな混雑である。
ただ、聞こえる声は、いかにも無念である。
とにかく夜が明けるまでに処理しないと、幽霊は見えなくな
ってしまう。
名前と住所がなかなか聞き出せない亡者もいる。
どうしても無理な亡者は写真だけだ、現場ではこれ以上出来
ない、桜井さんに任せよう。
水平線が見えるようになる直前に、なんとか集まってきた亡
者全員に“三途の川渡し場受付行き”の切符を取り付けた。
禿田も綾乃もクタクタである。
そのままテントのなかで爆睡。
昼頃に「食事届いてるみたいー」と綾乃が先に起きた。
禿田ももぞもぞ起きて、遅すぎる朝食をとった。
(7)
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