ひろちん。のBLOG

西日本と日本海側も油断してはいけない-地震。

あやかしの書き物

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泉鏡花大好き-ひろちんの-怪しい世界の書き物

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盂蘭盆会2011(7)

(6)
http://blogs.yahoo.co.jp/holahola_123/60964669.html
よりつづく

        ( 7 )

いかだもテントも狭いが、テレビ、ネット、スマートフォン
等は繋がる、書き込みも出来るが、この仕事に関することは
とてもじゃないが書く勇気はない。

プルルッとスマートフォンが鳴る。
「はいー」
「事務です、次の作業お願いします」
「はい、えっと」
とマニュアルを見ると、海底の提灯の電池交換とある。
「交換作業ですね了解、いまから行います」

「電池交換かぁ、私行ってくるわ」
と、綾乃が命綱をつけてザブーン。
しばらくして戻ってきて、
「はい、これ古いの、一日でかなり暗くなってた〜、私もう
ちょっと泳いでいい?」
「うん」

綾乃は気持ちよさそうにスイスイ〜ザバザバ泳いで上がって
きた。
「海はプールと違って気持ちいいわー、誰もいないのって最
高っ」
「綾乃さん、泳ぎ上手いねえ」
「うん、友達とスポーツクラブに通ってて、そこにプールも
あるのよ」
「へえー」
「禿田さんも通うといいわー」
「う、うん」

二日目の夕暮れ時も同じであった、整理券がどんどん減って
いく。

夜10時過ぎの遅い夕食のときにに桜井氏にメールをした。
『かなり大勢の亡者が来ています、応援をお願いしたい』
と、すぐに返事が、
『すでに、同じようないかだで何組か活動している、ただ、
君たちのような能力のあるものに限られるので、あまり多く
出せないのだ、そこは理解してくれ。以上』

「なるほどねー、私たちも捨てたもんじゃないってとこかし
ら〜」
「ああ、そうだといいな」

(8)
http://blogs.yahoo.co.jp/holahola_123/60968519.html
につづく


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http://blogs.yahoo.co.jp/holahola_123/60948088.html

盂蘭盆会2011(6)

(5)
http://blogs.yahoo.co.jp/holahola_123/60962779.html
よりつづく

        ( 6 )

日が暮れると、列が出来るほどになった。
それぞれに「家族は無事か」「胴体はどこだ」と問いかけられ
るが答えようもない。
「えと、この切符の行き先の三途の川渡し場受付で聞いて下さ
い」と、なんとなく役所のタライまわしっぽい返事。

すでに戒名・法名がついているか訪ねる者もいる。
遺族がつけた者とまだの者がいるだろう。
行方不明だと家族が死亡届も出していない者も多いと聞く。

「こりゃ、三途の川の受付も、桜井さんの輪廻振り分け事務
所もすぐには照合しきれんのじゃないか」
「うーん、それで今年は女子大生の応援が来たのかしら」
「そうかもしれんなあ」

夜の10時ぐらいにやっと一段落した。
「晩ご飯が届いてるわ、二段のお重よ」
「コンビニ弁当じゃないんだ、さすがだ」
腹の減ったふたりはいかだの上、提灯の下で、パクパク食う。

「これ、あの女将さんの味だわ」
「うん、美味いなー」
「それに、外で食べてちょうどいい味つけ、帰ったら習いた
いなー」と如何にも主婦らしい言葉。

食事を終えて一服したらまた忙しくなってきた。
どんどん来る。
「整理番号配りますんで、この提灯の見える近くで休んでて
くださーい」
やはり丑三つ刻がいちばん動きが活発らしい。
「はい、これでいいですよ、一名様ご案内」

…下手したら、落語の『地獄百景亡者の戯れ』みたいになり
そうな混雑である。
ただ、聞こえる声は、いかにも無念である。

とにかく夜が明けるまでに処理しないと、幽霊は見えなくな
ってしまう。
名前と住所がなかなか聞き出せない亡者もいる。
どうしても無理な亡者は写真だけだ、現場ではこれ以上出来
ない、桜井さんに任せよう。

水平線が見えるようになる直前に、なんとか集まってきた亡
者全員に“三途の川渡し場受付行き”の切符を取り付けた。

禿田も綾乃もクタクタである。
そのままテントのなかで爆睡。

昼頃に「食事届いてるみたいー」と綾乃が先に起きた。
禿田ももぞもぞ起きて、遅すぎる朝食をとった。

(7)
http://blogs.yahoo.co.jp/holahola_123/60966770.html
につづく


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http://blogs.yahoo.co.jp/holahola_123/60948088.html

盂蘭盆会2011(5)

(4)
http://blogs.yahoo.co.jp/holahola_123/60958265.html
よりつづく

        ( 5 )

海底に設置した誘霊灯(提灯)には『この上に案内所がある、
ウロウロせずに必ず来ること!- 閻魔』と書いてある。
「なるほどね」
「で、私たちが案内所なワケかあ〜」

海からいかだに上がって身体を拭いていると、
綾乃が「あれベトベトしない、海水なのに、やっぱり特別な場
所なのねー」
「だろうな、こんな仕事…」

とにかくマニュアルに目を通して、必要なものが揃っているか
確認していたら、日が傾いてきた。
「おっと、こんな時間なのにかなり薄暗いな」
「あ、逢魔がとき…」

いかだから海底を見ると“誘霊灯”がぼんやりと見える。
そして、来た来た…
半透明のやら、身体の一部がないものが、いかだの縁へ。
いまさら幽霊に驚くふたりでもない。

「はいっ、では受け付けます、お名前を」と禿田
綾乃はパソコンを持っている、これで行方不明者の名簿と照合
して、確認、記載なし等の欄にチェックする。

記載が見つからないものは、名前とデジカメ写真(写るらしい)
と住所を入力する。

三途の川渡し場受付行きの切符はビニール製で手首などに巻き
付けるかたちである、手首がなく頭だけとか〜留める場所のな
い亡者は安全ピンで留める、ちょっと痛そう。

この切符を持っていると、亡者は自動的に三途の川渡し場に運
ばれるらしい、なかなか便利。

日が暮れると、テントの先に付けた提灯の灯りだけ。
その下に『亡者専用案内所。これが見えるあなたはもう死んで
います、ここで手続きすれば迷わず安心』と書かれている。

〜なるほど亡者にもわかりやすい。

(6)
http://blogs.yahoo.co.jp/holahola_123/60964669.html
につづく


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http://blogs.yahoo.co.jp/holahola_123/60948088.html

盂蘭盆会2011(4)

(3)
http://blogs.yahoo.co.jp/holahola_123/60955104.html
よりつづく

        ( 4 )

水着はふたりとも競泳用のもの、綾乃のはややハイレグ、禿田
のも小さめのビキニ=ブーメランパンツでもっこり。
それに救命胴衣である。
「なんなの、これ?」
「さあ?」

テントのなかをよく見ると、箱になにやら作業道具らしきもの
が入っている。
と、置いてあるスマートフォンが鳴る。
「はい、もしもしっ」
桜井氏の声で「そこで海にいる霊魂のレスキュー作業をして欲
しい、段取りはそこにあるマニュアルに書いてある、あとは事
務員と連絡を取ってくれ、以上だ」
「ちょっ、桜井さん、もしもし」

「事務のものです、桜井さん急がしそうでもう行っちゃいまし
た、マニュアルを読んで質問があればスマホか、そこにあるパ
ソコンからメールで連絡ください」
「は、はあ、とりあえずマニュアル読みます」

マニュアルには指示が書かれていた、こうである。
ここは東北の太平洋の沖合らしい、津波で流されて浮遊してい
る霊が海中にいる、それを呼んで三途の川行きの切符を渡す仕
事だとある。
「そうかぁ、今年はこういう仕事もあり得るわねえ」
「で、海の真ん中にいかだでふたりっきりかよ」
「二晩だって…」
「ここで、二泊三日か」

「食料は送られてくるみたい、トイレはいかだの縁で落ちない
ように命綱を着けてだって、やだー」
「確かに、救命胴衣と命綱は必要だな」
と、いかだがふわりと揺れて波がザバッとかかってきた。
「きゃっ」
「ほらなぁ」

小さないかだはかなり揺れるのだが、ふたりとも酔いもせず平
気である、やはりここは普通の世界じゃない。

「まず、“誘霊灯”を海中に設置だそうだ、潜るらしい」
ふたりは命綱をつけてザブン、潜る、ところが息も出来るし
会話も出来る〜この世の海とは少し違うようだ。

「こんな提灯のような形ので霊魂を引き寄せるのか、へえ〜」
「迎え火かしら、違うわよねえ」

(5)
http://blogs.yahoo.co.jp/holahola_123/60962779.html
につづく


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http://blogs.yahoo.co.jp/holahola_123/60948088.html

盂蘭盆会2011(3)

(2)
http://blogs.yahoo.co.jp/holahola_123/60950326.html
よりつづく

        ( 3 )

2週間休みなし、9時〜5時、通勤方法は特殊な鈴による瞬間移
動(ただし焔魔堂と自宅の玄関だけ)である。
給与はいわゆる“功徳”である。
まあ、これに選ばれるだけでかなり幸運なのだが。

仕事は基本的には例年と同じく、亡者の俗名、戒名(法名)家
族の住所、今の居場所…などをパソコンに入力する仕事である、
初日の昼過ぎまでそうであった。

ところが…、
この作業の責任者でもある桜井氏から連絡が。
『急で申し訳ないが、禿田君と綾乃さんのふたりで別の仕事を
頼む』
「は、はい」「ええ、わかりました」
毎年、デスクワーク以外の作業が何かついてくる、もう慣れて
いる。

そこに事務のひとが救命胴衣と透明なビニールのバッグを持っ
て来た、なかには水着とタオルが入っている。
「これを持って行って欲しいそうです、それ以上は私もわかり
ません」
「はあ?」「ええっ?」
と言う間にふたりは霧のなかへ吸い込まれた。

気がつくと、いかだの上である。
まわりはひたすら海、いかだは6畳ぐらいでふたり用の三角のテ
ントがはってある。
「なんじゃこりゃ?」
「え、どこ、なんで海の真ん中なのよ〜」

そこに波しぶきがサッバーン。
「うわ、こりゃ着替えて救命胴衣付けないとヤバイぞ」
「もう、びしょ濡れだわ〜」

慌てて、綾乃、禿田の順でテントのなかで着替えた。

(4)
http://blogs.yahoo.co.jp/holahola_123/60958265.html
につづく


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