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よりつづく
( 10 )
徐々に昼夜逆転にも慣れてきた。
ふたりとも昼間でもよく眠ることが出来る。
夕方から次の夜明け前までが、仕事時間だと割り切った。
案内用のプリントも作って、海底の提灯のまわりで魚たち
に配布したりした。
三途の川に行きたくないという亡者を説得する方法も、ふ
たりで話し合った。
ふたりでのんびり出来る時間は午後である。
〜午後の情事と相成る。
さすがに2週間は長い、途中で休みが欲しいところだが、
代わりがいないというのじゃ仕方ない。
事務員にメールした、
「かなりキツイです、2週間終わったら、すぐ帰宅ではな
しに、数日休養日をいただけませんか」
「桜井さんと協議しておきます」
「お願いします、特に主婦の綾乃さんには可哀想です」
「そうですねー、伝えます」
2週間で数百人の亡者を“三途の川渡し場受付”に案内した。
同様のチームが他に数組いるとはいうものの、行方不明者
はまだ五千人ほどいたはずである。
この作業が別の誰かで継続されるのか、それとも盆だけな
のか、ふたりには知らされない。
幼児の亡者の指先だけでも名前を聞き出すことが出来るよ
うになった頃、2週間の任務完了となった。
焔魔堂の地下のオフィスに戻ったら、時間は出かけた日の
夕方だった、5時ちょっと前である。
桜井氏が「いやあ〜ご苦労さん、よく頑張ってくれた、か
なりの功徳だぞ、真昼の情事の分を差し引いても」
…差し引くんかよー。
「で、綾乃さんは休息プランを用意してある、2日間あの
1LDKで禿田君抜きでくつろぐのと、これから10日間家事
一切を内緒のベテランホームヘルパーに頼む、というのが
ある、どっちがいいかな」
「2日間ゴロ寝と10日間家事なしかぁ…、じゃ10日間内緒
ホームヘルパーでお願いしまーす」
〜やっぱりしっかりしている綾乃さんである。
旧盆の六道珍皇寺は例年どおり、精霊を迎えにきたひとで
ごったがえしている。
しかし、迎え火も送り火も、鎮魂の色の濃いものとなった。
< 了 >
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