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昨日は日本人応援団のメンバーの都合が悪く皆いけないというので
ラジオで観戦を決めていたのだが・・・
なんと前半の途中でプレがゴールした数分後に大黒選手がゴール!!
直後に奥様のみわさんから歓喜の電話が入る。
「おかげさまで初ゴールに間に合いました!」
実は少し前に電話でタクシーを手配したところだったのだ。
そのあと敵の自殺点があり3−0、前半終了少し前にまたもや大黒選手がゴールを決める。
現在3位の強豪バスティアを相手に前半ですでに4-0とは、いくらグルノーブルファンでも想像しなかった展開。
こうなると居ても立っても居られない。
主人はラジオから離れない私に「行くんだったら行けば。子どもも寝たし・・・」と言ってくれる。
しかし、ひとりではなあ、とやはり決心がつかない。
気晴らしにいつも観戦に行っているメンバー数人に「大黒ホームで初ゴール!」のメールを送ると
「Hさん、メール見ちゃったよ。どうしよう、今から行かない?!」と友人Yさんから
すかさず電話。行こう、行こう、と二つ返事で、セーターとコートを着て外に飛び出す。
スタジアムに向かう途中、Kさんにも電話。すでに興奮状態の私たちの様子に圧倒されるKさんだが
私たちの期待を裏切らず、来てくれる、という。女二人では心細いので、ほんとうにありがたい。
スタジアムの500mほどて前に車を止めたのは9時45分。
「まずい、たしか後半に入るとチケット売ってくれないんだ、Hさん走って!」とYさんに言われ
猛ダッシュ。あんなに走ったのは久しぶりだ。しかもYさんより8つも年上の私の方が何で走るんだ!と自問しながら。
なのに、ぜいぜい息を切らせ入場門に着くと、チケット売り場はすべて閉まっている。入場整備員のおじさんに聞くと「もう遅いよ。今からじゃ、入れない」という。
そこを何とか、お願いします!ラジオを聴いていていても立っても居られず、赤信号も無視して車を飛ばしてきたんです!と夢中になって力説すると、そばにきたおねえさんが、「わかったわ、じゃあ、入ってもいいわよ」と言ってくれる。ありがとう、ありがとう、と繰り返し、財布を取り出そうとすると、「今日はいいから、その代わり次の時にはちゃんと払ってね」とウインクしながら入れてくれた。入れてくれることだけでもありがたいのに、ただとは!そして二人でスタンドに入るが・・・
「あ、Kさんのこと言うの忘れた!」とYさん。あわてて二人で入場口にもどる。
すみません、もうひとり日本人の男の人が来るんですけど・・・というと
「わかった、大丈夫、大丈夫」と言ってくれた。やっぱりサポーター同志、気持ちは通じるんだなあ、と感激。
スタンドに入るとものすごい熱気。こんなに熱い応援は見たことがない。
いつもはお上品なスポンサー席の人たちでさえも立ち上がって応援している。
ゴール裏に陣取った私たち2人、「祝!ホーム初ゴール」の横断幕を掲げるが、しまった、スポンサーの看板の上になってしまった。いつもだと、すぐに警備の人が飛んできて、はがすよう言われるのだが、なんと私たちの席にいた警備員さんは、我が家の近所に住む顔なじみのお兄さん。「何で今日は最初から来なかったの?」ときかれただけで横断幕のことは何も言わずに見逃してくれた。今日はなんて運がいいんだろう!こんなことがあるのもここグルノーブルが小さな町であるおかげだ。
私たちが入って数分後また大黒選手がゴールを決める。ハットトリックだ。会場はさらに大興奮、拍手と歓声が大黒選手を包む。みわさんもきっと喜んでいることだろう。
ただ右側の鋭角から入ったゴールだったのは見えたが、反対側のゴールだったので、細かいところは見えなかった。やっぱり今度はいつもの真ん中の席に座ろう、と思う。
こうしていると、Kさんがやって来た。歓声は聞こえたらしいが、残念、大黒選手のゴールは数分の差で逃してしまった。
私たちの後ろではフランス人サポーター軍団が「オーグロ、オーグロ」と調子を合わせて叫んでいる。
そのうち、ウェーブがはじまる。しかもスタンド全体を廻ってはまた一周して戻ってくる、その繰り返し。その合間に続くオーグロコール。
こんな熱狂を見たのは初めてだ。フランスカップでリヨンとあたったあの満員の客席でさえ、こんな興奮を呈してはいなかった。
試合後、どうせここまで来たのだから、大黒選手が出てくるのを待っていよう、ということになり、
三人で選手出口の方に向かう。歓喜に沸く人々がクラクションを鳴らす。歓声を上げる。まるでお祭り騒ぎだ。
選手出入り口に着くと、さっきの近所のおにいちゃん警備員さんがちょうど帰るところだった。選手入場口のおじさんに「この人たちは日仏協会の人だから、入れてやってよ」と交渉してくれる。おじさんは、じゃあ、こっちで待っていてもいいよ、と言って入れてくれた。いや今日はほんとうにラッキー。
ここでおとなしく待っているように、と言われ、しばらく待っていると、目の前にラオウを抱いたみわさん登場。
よかったですね、おめでとうございます、と声をかけると、
「ええっ、自宅で応援って言っていたのに、来てくれたんですか。ありがとうございます!」と
またまた長身を二つ折りにしてお辞儀をしてくれる。ほんとうに気さくな人だ。ますますファンになってしまう。でも自分の大人気ない行動は、ちょっとはずかしい・・・。
その後、きょうはどうも新監督御披露目のカクテルパーティがあるとのことで、
成り行きでみわさんに付いて会場へ。ちょっと入場者チェックの際にいぶかしがられるが
幸いGF38事務所の知っている人が隣にいてこれもクリア。ほんとうに今日は運がいい。
しばらくみわさんと話をしながら待っていると、大黒選手登場。ほかの選手にはなかったのに拍手が起こる。すると、いきなり「H!H!」と知り合いの事務所の人に大声で呼ばれ、何かと思ったら
「大黒選手にインタビューをしたいからちょっと来て!」という。
急遽、会場での大黒選手のインタビューの通訳に借り出された。ほんの二言三言の通訳だったが、招待もされておらずなんとなく付いてきてしまっただけなのに、ちょっとはお役に立ててよかったと思った。
その後、大黒選手本人に、おめでとうございます、と伝えられた。その上、みわさんが「みんな待っててくれたんだからね!」と言って強引に大黒選手を引っ張って来てくれて写真も撮影。
ほんとうにほんとうにラッキーな一日だった。
その後、GF38のお偉いさんと会い、すこしだけお話をした。偉い人なのにもかかわらず、私のような下っ端のものまでにいつも気を使ってくれる人で、「マダムH、来るなら電話してくれればよかったのに」とやさしく言ってくれる。でも、みんなと一緒に来る方が楽しいんです、というと、「いや、今日はほんとうにいい試合でしたね。監督がやめて、選手が何かから解き放たれたようです。今日の結果は最高のできごとでもあり、残念でもあり・・・」という。どうして、今日の結果が残念なのですか?ときくと「監督が早く代わっていれば、もっと早くこんな試合ができるはずだったからですよ」と、この人独特の、屈託のない子供のような笑顔を見せた。
グルノーブルに来て12年になるが、今までで一番エキサイティングな夜だったかもしれない。
大黒選手とみわさんと、スタジアムの人たちと、そしていっしょに付き合ってくれたふたりの友人に、心から感謝、である。
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