読書のあしあと

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核保有論と構造改革

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核保有論と構造改革


<核保有論議と民主主義>
中川昭一自民党政調会長の「核論議」発言の波紋が冷めやらぬうち、今度は麻生外相が同じような内容の発言をしました。どちらも、非核三原則の堅持を前提として「核保有の議論があったっていいじゃないか」という議論です(『毎日新聞』10月18日)。

確かに、これは論理としては正しい。一般論として政策を検討する際にタブーを作る必要はないし、議論を封印する理由もない。何より日本は民主主義国家であって、特定の議論をタブー視することは、それが上からのものであれ下からのものであれ「言論の自由」という人類が数世紀にわたって培ってきた遺産に反するものです。かつて「あなたの意見には反対だが、あなたがそれを言う権利は死んでも守る」と言ったのはヴォルテールだったでしょうか。
今回の「核論議」に関しても、議論した結果「非保持」になるより、議論しないままなし崩し的に核を保持されてしまうことの方が怖い。「非核三原則は未来永劫日本の国是である」の一点張りでは、教典を崇めるだけの宗教か、「非核三原則が世界の理想なのだ」という自己満足と変わりません(後者の日本人的発想は、「『万国公法』と『文明世界』」で坂本多加雄が指摘しています)。

私自身は、安全保障的な観点からも国際秩序的な観点からも日本の核保有には断じて反対ですが、民主的に公正な議論がなされ、その結果国民が「核保有」という選択肢を選ぶのであればやむなし、と考えるのが民主主義です。そこに民主主義の怖さもあるのですが、ハナから議論を避ける非民主主義国家よりはいいと、私は思います。

ただ、今回の中川・麻生発言がまずかったのは、こういうタイミングで内閣・与党の要職として発言したことです。「タブー視する必要はない」し、議論した上で核保有論を斥ければいいのですが、政策を担う重要な政治家がああいうことを言うのはいかにもまずい。
アジアのみならず世界各国が日本の核武装を本気で危惧している中で、安倍新政権の課題は日本には核武装の意思は全くないというメッセージを世界に発信することのはずです。そんな中での今回の両発言は、政治家の発言の影響力を小さく見すぎているという気がします。



<安倍内閣は改革を継続できるか>
話は全く変わって、今度は国内問題です。
この前のテレビ番組に竹中平蔵前総務相が出演していました。そこで話題になっていたのが「安倍新内閣は改革を継続できるか」です。

竹中前総務相は、小泉政権時代を通して政権のサンドバッグになって批判の矢面に立った人でした。一般的には、構造改革を押し通そうとした小泉前首相は党内に「抵抗勢力」を作り、竹中さんとタッグを組んで改革に取り組んだと理解されています。
しかし竹中さん本人に言わせれば、抵抗勢力は小泉前首相が「作った」のではなくて改革に反対して「出てきた」というのです。考えてみればその通りで、コンセンサス型の従来の日本政治に慣れてきた私たちは、あたかも小泉さんが抵抗勢力を意図的に作って世論の支持を集めたように解釈しています。もちろんそういう側面もあるでしょう。しかし論理的に考えれば、改革に反対でなければ「出てくる」必要はない。自分たちの利権が侵される改革に反対だから「出てきて」抵抗勢力となったのでした。

そこで、竹中さんは安倍政権の行方を占う上で興味深い指摘をします。
司会に「小泉・竹中ペアだから改革は通せたが、安倍さん大田弘子さんで構造改革を維持・促進できるのか」と問われて、竹中さんは「平穏無事に何もかもうまくいっているように見えればそれは改革の挫折を意味するでしょう」というような趣旨のことを述べていました。つまり、当然改革に抵抗するはずの財務省や族議員がおとなしければ、それは改革の妥協を意味するということです。

これはなかなかわかりやすい評価基準を設定したな、と思いました。もちろん政治過程の荒れ具合だけで全てを判断するわけにはいきません。しかし怪しい情報が錯綜する現代政治を評価する際に、客観的事実を判断材料にできる竹中説は一つの見方としてはアリだと思います。

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