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2006年サントリー学芸賞

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2006年サントリー学芸賞


<サントリー学芸賞について>
少し前に、今年のサントリー学芸賞が発表された(ラインナップはこちら)。

サントリー学芸賞は、今や人文・社会科学の芥川賞、いや芥川賞以上の権威を持つ学術賞である。他にも一般に開かれた学術賞としては読売・吉野作造賞、大仏次郎論壇賞、吉田茂賞、大平正芳記念賞などがあるが、その権威と注目度は群を抜いている。特に、若い研究者やあまり注目されていない評論家を発掘する役割を果たしているのが特徴である。


<サントリー学芸賞受賞作品>
本ブログでもサントリー学芸賞は多々参考にしている。受賞作自体の書評には


がある(書評順)。


<受賞者の著書>
受賞作ではないが、受賞者の手になる作品は


などなど(書評順)。


<書評してはいないが感銘を受けた受賞作品>
ブログでは取り上げていなくても、サントリー学芸賞には読んで感銘を受けた本がたくさん…

塩野七生『海の都の物語』(1981年)
西部邁『生真面目な戯れ』(1984年)
井上達夫『共生の作法』(1986年)
田中明彦『新しい「中世」』(1996年)
坂元一哉『日米同盟の絆』(2000年)
細谷雄一『戦後国際秩序とイギリス外交』(2002年)

(受賞年順)


<2006年サントリー学芸賞>
そして今年の受賞作の中では、

黒崎輝『核兵器と日米関係――アメリカの核不拡散外交と日本の選択1960−1976』 政治・経済部門
竹内一郎『手塚治虫=ストーリーマンガの起源』 社会・風俗部門
苅部直『丸山眞男――リベラリストの肖像』 思想・歴史部門

が気になる。


私は今まで、核兵器に関しては主にアメリカ外交の文脈の、日米関係に関しては主に戦前期についての研究しか読んだことがなかった。『核兵器と日米関係』は、戦後日米関係における核兵器という、問題設定からして意表を突くものだが、今年10月の北朝鮮の核実験によって著者の予想外にもアクチュアリティが高いものになった。

『手塚治虫=ストーリーマンガの起源』も是非読んでみたい本の一つだ。私の両親が大の手塚ファンで、幼い頃は「漫画は手塚しか読ませない」ような空気が家庭にあった。そんなこともあって、多くの日本人にとってそうであるように、私にとっての手塚治虫も特別な漫画家である。この本の受賞には漫画界から賛否両論あるらしいが、とりあえず読んでみたい。

『丸山眞男』の出版と受賞は、丸山眞男没後10年を迎えて、ようやく丸山を冷静に論じることができる段階に来た証左かもしれない。私は「かつて丸山という偉い学者がいて…」と教えられる世代であり、丸山に対して特段の思い入れなどはない。しかし、日本の政治学は丸山を抜きには語れないというのは色々勉強してみるとやはり感じるところである。これを機会に読みたい。


数年前からマニアックな受賞作が続いていて(特に中国・韓国研究などアジア関係が多いのが近年の特徴であった)、「少し内向きになったかな?」と思っていたが、今回は比較的、良質で最先端の学問的成果を広く一般に紹介するという学術賞の意義が表れていると思う。

閉じる コメント(8)

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丸山真男の日本政治モデル(蛸壺型)は有名ですよね。まだ原書を読んだことはありませんが。中国・韓国などの研究は、北朝鮮の核問題があるので、これからますます注目されそうですね。

2006/12/12(火) 午前 8:04 コウジ

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『手塚治虫 ストーリーマンガの起源』について「否」はネットでたくさん見ましたが「賛」は見たことがありません(選評以外で)。そもそも元になった論文審査自体が杜撰なものだったとかで、とかくの疑惑があるようです。以下のような批判を見ると、読む以前の本のような気がするのですが・・・。 http://d.hatena.ne.jp/hanak53/20061125/p1 http://d.hatena.ne.jp/hrhtm1970/20061124/1164301675

2006/12/12(火) 午前 8:59 [ 通りすがり ]

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↑を読んで頭が痛くなった。大学でマンガを取り上げるとこういうことになるのかな?絶対に手塚治虫が生きていたらいい顔しなかったと思う。生前、手塚治虫はマンガにとって何が一番大切か?という質問に「娯楽性」と答えた。それで良いではないか。手塚世代として全集は勿論、結構な数のマンガを読破し、マンガ論なども結構な数を読んだ人間としてつらい。

2006/12/12(火) 午後 10:39 [ kohrya ]

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いいハンドルを思いつかなかったのでこのままで失礼します。 「大学でマンガを取り上げる」以上、きちんとした研究にしないといけないのは当たり前のことだと思います。竹内一郎がバッシングされてるのは、そこをいい加減にしたまま、でもなぜか学位だけはもらえてしまったからです。 そういう詐術がまかり通るなんてと皆怒ってるんですね。 もしkohryaさんが、きちんとした検証の手続きが膨大にされていることをみて「頭が痛くなった」のなら、それは筋違いのような気がします。 それは結局「マンガ研究はいい加減でいい」ということになります。 竹内はそんな人の姿勢も利用したんだと思います。 自分がマンガ原作者だからモノを言えると発言してますし。

2006/12/12(火) 午後 11:13 [ 通りすがり ]

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>kouziさん:『丸山眞男』、今読んでますが、なかなか興味深いです。「丸山眞男入門」的なものかと思ったらかなり「人間丸山」の評伝に傾斜した作品です。いずれ書評することになると思います。中韓の研究は、最近かなり流行ってるんですが、今まではどうも手が伸びませんでした。このブログの書評でも二回扱っただけですね。今後取り上げる機会がある…かもしれません。

2006/12/13(水) 午前 2:24 大三元

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>通りすがりさん:お久しぶりです。コメントありがとうございます。確かに、今少しネット検索してみたんですが、「賛」の方はことごとく見当たらないですね(苦笑)。通りすがりさんの紹介して下さった記事も読みましたが、かなりまともな批評かつ批判であると見えました。私はマンガ評論にはめっぽう疎いので、この本の受賞をきっかけに「読んでみようかな」と思ったまでです。

2006/12/13(水) 午前 2:27 大三元

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>kohryaさん:『手塚〜起源』、読まれたんですね。「マンガ論なども結構な数を読んだ」とのことなので、少なくとも私よりは確かな批評眼をお持ちだと思いますので、ご意見参考にさせていただきます。「マンガ評論」というジャンルは私にとって文字通り未知の世界なので、大学でマンガを取り上げる意義云々を語れる立場ではありません。でも、やっぱり読まずに批判するのは不公正ですね。機会を見つけて読んでみたいと思います。

2006/12/13(水) 午前 2:31 大三元

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>通りすがりさん:ネットに散見される『手塚〜起源』批判の記事を一通りさらうと、通りすがりさんのおっしゃる「『大学でマンガを〜もらえてしまったからです」の部分、納得できますね。それほどマンガ評論界の水準を見下したような内容なんでしょうか…。ますます、読まないと批判できませんね。また一つ宿題が増えました。

2006/12/13(水) 午前 2:35 大三元


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