読書のあしあと

訳あってしばらく閉店します。

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今月購入した本(2006/12)


今月は予想以上に本を買った月だった。いつものことだと言われそうだが、今月は書籍代にかけた費用が半端ではない。欲しい本、必要な本を買っていたらそうなってしまったのだが、いかんせん使いすぎである。来月こそ自重しようと思う。


散財の最大の犯人は、新刊書店で買った政治学系の研究書である。
まず先月刊行された服部龍二『幣原喜重郎と二十世紀の日本』(有斐閣)。服部の著書は初めて買ったが、彼の論文は以前に読んだことがあり、注目していた若手の歴史家である。最近、幣原喜重郎『外交五十年』(中公文庫、絶版)を偶然古本で手に入れたこともあり、これを機会に幣原の歩んだ軌跡を辿りたいと考えて服部の新刊を買った。
同じく11月刊行の山本吉宣『「帝国」の国際政治学』(東信堂)も購入。アメリカを「帝国」と見なす議論は最近でこそ若干下火だが、ブッシュ政権が政策転換をしたからといって、国際秩序そのものが変化したわけではない。数多の感情的/イデオロギッシュな「帝国」論が跋扈する中で、長年国際政治理論を牽引してきた山本の待望の著書は、これからの国際秩序を見据える上で最良の叩き台を提供してくれるに違いない。
この二冊は新刊で合計1万円(!)だが、本はほとんど古本で購入する私にとっても、衝動買いしても後悔しない二冊であった。


他方、今月の読書の最大のテーマは私にとって未知の領域、日本思想史であった。まず話題の苅部直『丸山眞男』(岩波新書)を購入・読了。噂に違わず魅力的な著書であった。これは新年一冊目の書評として取り上げることになると思う。
さらにサントリー学芸賞つながりで、菅野覚明『神道の逆襲』『武士道の逆襲』(いずれも講談社現代新書)も古本購入。ここらへんの知識は全くと言っていいほど持っていないだけに、項を繰るたびに新鮮な刺激を受けることができた。


文学作品では、色んなところで話題になっているパウロ・コエーリョ『アルケミスト』『ベロニカは死ぬことにした』(いずれも角川文庫)を買ってみた。コエーリョの本はAmazonでも絶賛の嵐だが、評価が完全に二分される作者だな、という感じだ。今度はgakiさんのおっしゃるように、「絵として」読んでみようと思う。
遠藤周作『悲しみの歌』『私の愛した小説』(いずれも新潮文庫)は未だ持っていなかったので、100円で見つけたのを機に買っておく。前者は『海と毒薬』の続編的位置づけであり、後者は生涯愛読し続けたモーリヤック『テレーズ・デスケイルゥ』を遠藤自らが訳し、解説を加えたものである。遠藤周作ファンとしては見逃せない作品であろう。
以前小川洋子のインタヴューを読んでいて、村上春樹に影響を受け、ポール・オースターやトルーマン・カポーティなどの現代アメリカ文学を読み漁った、というような記述に出会った。小川洋子は、レイモンド・カーヴァーをはじめ現代アメリカの作家には相当な影響を受けているらしい。そういえば、レベッカ・ブラウン『家庭の医学』には川上弘美とともに帯を寄せていた。ということで、オースターの『ムーン・パレス』『リヴァイアサン』とカポーティ『ティファニーで朝食を』(いずれも新潮文庫)を購入。でも読む優先順位はあまり高くない(笑)。


さらに評論・随筆関係。
福田恒存『日本を思ふ』(文春文庫、絶版)は今月最大の収穫だったかもしれない。戦後日本を代表する保守主義者の評論集だが、長らく絶版で手に入らなかったものを、偶然小さい古本屋で発見したのだ。こういう出会いがあると頬がホクホクしますね。
その他には『ローマ人の物語』の合間に読むために塩野七生『ローマ人への20の質問』(文春新書)を、スピーチの原稿集という異色本である丸谷才一『挨拶はむづかしい』『挨拶はたいへんだ』(いずれも朝日文庫)の二冊を100円で。


今年最後の更新

おそらく、今日が今年最後の更新になります。今年はこのブログを通じてたくさんの方々にお世話になりました。ありがとうございました。

年内に更新する予定だった苅部直『丸山眞男』の書評や「2006年マイ・ベスト・ブックス」のリストは、来年に持ち越すことになりました。これはまたのお楽しみということで。


私は今実家に帰省していて、久しぶりの雪国を満喫しています。いずれそこらへんのことも記事にするかもしれません。
では、皆さんもよいお年を!

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本年は、ありがとうございました。参考になることが多く、宿題もだいぶいただいたような気がします。私も年末はバタバタし通しでベストブックは持ち越してしまいそうです。来年もいい年でありますように。

2006/12/31(日) 午前 1:10 [ gak*1*66* ]

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>gakiさん:私の方こそ、ありがとうございました。私もgakiさんの記事やいただいたコメントに、実に刺激を受けた一年でした。「ベストブック2006」も楽しみにしています。来年もよろしくお願いいたします。いいお正月をお迎え下さい。

2006/12/31(日) 午前 11:09 大三元

いつも拝読させていただいております。ところが残念なことに、記事で紹介されている本を読んでないためにコメントできないもどかしさにおちいっております。来年はもう少し大三元さんの取り上げる領域の本を読みたいものです。よろしく、ご指導のほどお願いいたします。

2006/12/31(日) 午後 0:00 Mine

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>Mineさん:いつもありがとうございます。私の場合、基本的に世間で売れていない本ばかり読んでいますのでお気になさらないで下さい。また、本自体を読んでいなくても異論反論大歓迎です。来年もよろしくお願いいたします。

2006/12/31(日) 午後 4:23 大三元

今年は、当方のブログにもコメントいただきまして、本当にありがとうございました。ポール・オースターは嫌いではないのですが、不景気極まる仕事場で読むには、あまりにも苦しく、断念したこと数知れず。今年は違った環境で再読したいです。その点、村上氏はどこでも、いかなる状況でも受け入れられるような気がします。そのあたりが支持されるゆえんかと・・・勝手な意見〜聞き流してください。来年もよろしくお願いします!

2006/12/31(日) 午後 10:42 [ yumiko ]

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>yumikoさん:こちらこそ、ありがとうございました。今年も楽しいスタバの記事を楽しみにしています。オースターの作品は今まで読んだことがなかったのですが、色んな方のレヴューを見る限り、村上春樹的な空気を共有しているような印象を受けています。でも、村上春樹より「苦しい」のですか…。そこらへんも含めて、読むのを楽しみにしています。村上春樹自体も、どちらかというと苦手なのですが、読書ブログをやっている以上避けては通れなそうな作家なので、いつか挑んでみたいと思っています。

2007/1/1(月) 午前 1:43 大三元

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福田恒存、懐かしい名前ですね。彼の“論客”、誰が引いているんでしょうね。

2007/1/13(土) 午後 5:19 [ 部屋住みツトム ]

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>totubonoiikenさん:どうでしょう。保守派の文芸評論家ということでは、敢えて挙げれば山崎正和あたりでしょうか。問題意識もスタイルもちょっと違いますが。

2007/1/14(日) 午前 0:32 大三元


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