「My Best Books 2007」文学・随筆部門 第6−10位三つ目の記事は文学・随筆部門です。今日は第6−10位まで。ここは書庫の「日本文学」「海外文学」「随筆・紀行」からチョイスしました。 第6位 太宰治『太宰治全集3』(ちくま文庫、1988年) 昨年、太宰治全集に手をつけ始めた。 書評で何回か書いてきたことだけれど、太宰は実に多才な人間である。 擬似女流文学、ミステリ、人情味溢れる田舎物語、戯作、英雄譚、陰鬱な半自伝的回想、爆笑もののユーモア・ストーリー…。 そのレパートリーは、とんでもなく広い。 「人間失格」を書いた作家が、「走れメロス」や「蓄犬談」のような作品も書いていたことは、人間の幅の広さを感じさせてくれる。 第7位 バルザック『谷間の百合』石井晴一訳(新潮文庫、2005年改版) フランス文学の巨匠の代表作。いやぁ、すごい作品でした。 ご存知のように、本作は精神と肉体の間で葛藤する青年の話である。ありがちな話だけれど、これが非常に緻密に、克明に描かれている点で本書は比肩するものがない。古典が古典たりうる所以であろう。 それ以外にも、フランス人の考える意外なイギリス人像を発見したり、「嘘も方便」という主題を思い出させてくれるなど、収穫の多い読書だった。 分厚いし、最初は読みにくいところもあるので、時間がある時に手にとってみてはどうでしょう。 第8位 シェイクスピア『マクベス』福田恒存訳(新潮文庫、1969年) 昨年は戯曲を初めて読んだ年でもあった。読んだ数はまだ少ないけれど、今まで読んだシェイクスピア作品の中では『マクベス』が一番好きだ。 阿刀田高が指摘するように(『小説家の休日』集英社文庫)、シェイクスピアは「最高のイギリス文学」と評されるわりには、イギリス的なものが少ないように思う。しかしその分、普遍的な人間の主題が扱われているのではないか。私としては『マクベス』のそれが非常にずしりときた。マクベスを批判するのは容易いが、彼は自分の中にだっているのである。 第9位 小野寺健『イギリス的人生』(ちくま文庫、2006年) 本書は英文学の伝統と魅力を論じたエッセイ集である。小野寺健は編訳著書評49:『オーウェル評論集』を読んで以来信頼している英文学学者で、本書を読んでますますその意を強くした。 扱われる作家はシェイクスピア、ディケンズの伝統からフォースター、オーウェルを経てブルックナーまで多彩を極める。本書を読んでモチベーションがわいたシェイクスピアやオースティンをなくしては、昨年の読書はありえなかった。 また本書は、近代イギリス文学の格好の道案内であるとともに、良質なイギリス文化論にもなっている。こういう本が手元に一冊あると、同じ作品を読むにしても味に深みが出るものだ。今後もイギリス文学を読む際には座右に置いておきたい。 第10位 小川洋子『シュガータイム』(中公文庫、1994年) 意外にも、昨年は小川洋子の本を二冊しか読んでいなかった。購入した小川洋子本は二桁あったような気もするが…。気にしない気にしない。 著者最初の長編小説である本作品は、本人も書いているように、熟しておらず未完成な印象を受ける。しかし、その後の小川洋子作品に見られるモチーフがふんだんに盛り込まれた作品である。 書評35:『博士の愛した数式』は小川洋子の中でも異色作なので、本書を小川洋子が気に入るかどうかの試金石にするといいかもしれない。 |
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わ〜、バルザックが7位に入ってますね!言われてみれば確かにありふれたテーマですが、あの熱の浮かされよう(笑)はすごいですよね。「ゴリオ爺さん」も読みましたけど、こちらも負けず劣らずでした。私も今年はシェクスピアをもう少し読んでみたいですね。私は今のところ「リア王」が好きですね。
2008/1/10(木) 午後 10:07
フランス文学ですか〜。
あつぴは海外物まで手が回らず、日本物だけでいっぱいです。
今年は変わったものも読んでみたいとは思ってますが・・・。
太宰は、たくさん読んでいきたいな〜とは思ってます♪(^^)
2008/1/11(金) 午後 0:35
>mepoさん:私も今年は『ゴリオ爺さん』に挑戦したいです。あとは『姉妹ペット』でしょうか。シェイクスピアは、個人的には一段落という感じですが、『リア王』だけは読んでみたいですね。色々評判を聞いてみると、『マクベス』か『リア王』が四大悲劇の最高傑作との呼び声が高いので、比較してみたいです。
2008/1/12(土) 午前 2:51
>あつぴさん:個人的には、あつぴさんはフランス文学も似合うと思うんですよね〜。それこそバルザックとか、フローベールなんかも。
私はまだまだ太宰初心者なので、太宰作品の感想もお待ちしてますね。
2008/1/12(土) 午前 2:58