Mr.Children History 道しるべとしてのミスチル試論Mr.Childrenはすでに国民的アーティストだし、私たちの世代は子どもの頃からその音楽とつきあってきたバンドなので、多くを述べる必要もないかもしれない。しかしこのブログで懇意にさせていただいている「風の告白」さんの記事に触発されて考えたことついて、少し長い文章を書いてみたい。 ロックとは社会への抗議であり、意味の破壊である。 対してポップスとは社会の肯定であり、意味の創造である。 その意味でミスチルは、見事なまでにロックからポップスへの転向を果たしたバンドだと思う。 初期Mr.Childrenは、ロックだった。『Versus』『Atomic Heart』といったアルバムは、タイトル通りロック色の強いもので、まだ幼かった私たちを魅了したものだ。思春期特有の、初めて「社会」に直面した時のストレスを抱えた私の同世代にとって、やはりミスチルは人気No.1のバンドだった。 ロックバンドとしてのミスチルが頂点に達するのは、『深海』『BOLERO』の2枚だろう。特に『深海』は衝撃的な作品だった。先の記事で取り上げた“ありふれたラブストーリー”や“マシンガンをぶっ放せ”といった荒んだ社会への諦念、“名もなき詩”、“花”などのミリオンセラーを含むこのアルバムは、今でもヘビーローテに耐える内容である。『BOLERO』も“傘の下の君に告ぐ”に象徴的なように、社会への不満に充ちた一枚で、この頃のロックナンバーはもう二度と書けないのではないかと思う。 それが、1997〜98年の活動休止期間を経て、徐々に変化し始める。活動再開後の『Discovery』と『Q』の二枚のアルバムには、ミスチルの苦悩が表れた曲が多い。休止中に発表された“ニシヘヒガシヘ”なんかは桜井さんが一番病んでいた頃の曲だし、“Prism”なんてどん底に暗い曲である。 ただ、実質的な復活ナンバー“終わりなき旅”の力強さを見落としてはならない。「いいことばかりではないさ/でも次の扉をノックしよう」、「胸に抱え込んだ迷いが/プラスの力に変わるように」というフレーズは、ミスチルが次のステージへ向かうメルクマールだったのだ。 『Discovery』、『Q』あたりの移行期を経て、ミスチルのポップサウンドは黄金期を迎える。 そもそもアルバムのタイトルからして『It's a wonderful world』と『シフクノオト』である。収録曲も“Everything is made from a dream”や“Sign”など、吹っ切れたように明るいナンバーが多いのが印象的。 ところが単に明るいだけではない。 例えば“くるみ”では、生きる意味を失った上で「それでも明日に胸は震える」、「進もう/君のいない道の上」と決意する。 “いつでも微笑みを”はどうだろう。「いつでも微笑を」なんていう楽観的な歌が、「悲劇の真ん中じゃ/意味を失くしてしまう」ことは彼らだって百も承知だが、「今こそその歌を/僕たちは歌うべきじゃないかな」と言う。そこには、色んなどす黒いこともひっくるめて世界を肯定する静かな意志がある。 つまり、ミスチルは荒んだ、理不尽な社会に抗議するスタンスから、その社会の中で意味を創造していく側に脱皮したのだ。それは安易な諦めでもなく、危うい楽観主義でもない、醒めたリアリズムとでも言うべきものだ。 個人的にはその後の『I Love you』や『Home』よりもこの時期の二枚のアルバムが一番好きで、それは私自身の人生がその地点にいるということだと思う。私の人生経験は、まだ今のミスチルの軌跡には追いついていない。ミスチルを聴き続けることは、自分自身の道しるべを探すことなのかもしれない。 ────────
曲やアルバムによっては「嫌い」と読めるような書き方をしているかもしれませんが、基本的にはどのアルバムも好きです。 何やかやでニューアルバム『SUPERMARKET FANTASY』はまだ買えてないのですが、ミスチルのポップスアーティストとしての完成形になっているのではないかと、個人的には推測しています。 |

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>内緒さん:もちろん私の好みや思い入れもありますから、読んで下さる人に共感してもらえるかは微妙なところですが、そう言っていただいて嬉しいです。
哲学があるというのはおっしゃる通りだと思います。歌詞にも、メロディにも。もちろん他のアーティストに哲学がないというわけではありませんが、ミスチルは飛び抜けていますね。
2008/12/23(火) 午後 11:53
あつぴもミスチル大好きです♪
まあ、あんまりいろんなこと考えて聞いてるわけじゃないですが(笑)
でも、曲は共感して何かを感じて。。。ですよね♪
素敵な考え方です♪
大三元さんらしい、発想なのかな〜って思いました(^^)
2008/12/24(水) 午前 0:38
>あつぴさん:私もいつもこんなことばかり考えているわけではありませんが、この前の記事にいただいたコメントで、色々と考えたことを書いてみました。ミスチルはやっぱりいいですよね〜!
2008/12/28(日) 午前 0:57