「2008年・この3冊」展望先日、忘年会で潰れてしまい、メガネとバッグをまるごと紛失してしまいました…。。。メガネがないと何も見えず、仕事ができないどころか、失くなったバッグやメガネさえ探せない状態です。 何かもう、だめだめですね。 気を取り直して。 この時期になると、雑誌や新聞では決まって「今年の3冊」といった特集が組まれます。 私も毎年楽しみにしていて、翌年の選書の際には参考になること請け合いです。 そこで今年の様々な「3冊」特集から、私の気になったものを備忘録的にピックアップ。 ─────………・・・・・・ まず人文・社会科学部門から。 2008年は間違いなく後世に“経済危機の年”として記憶されることになるのでしょうが、危機の本質を明快に説明している著作は少ないのではないかと思います(個人的には竹森俊平『資本主義は嫌いですか』あたりがいいんじゃないかと思ってますが)。 そんな中にあって、中村達也と山崎正和が挙げたのが堂目卓生『アダム・スミス』(中公新書)。こういう激動の時こそ、古典に還ってみるのもいいかもしれません。サントリー学芸賞を受賞したのも、社会がこういう著作を求めているからかもしれませんね。 山内昌之の挙げるポール・コリアー『最底辺の10億人』(日経BP社)も読みたい。潘基文国連事務総長は本書を引用し2008年を“The Bottom Billionの年”と位置づけましたが、本書はグローバル経済から取り残された10億人の人々の現状と解決の道を、真摯に考察しているようです。反米/反グローバリズム本はもうたくさんなので、こういう誠実な仕事は読みたくなりますね。 山内は先日取り上げた書評145:『幣原喜重郎と二十世紀の日本』で幣原の生涯を描いた服部龍二の新刊、『広田弘毅』(中公新書)も挙げています。城山三郎の『落日燃ゆ』で美化され過ぎたきらいのある広田ですが、歴史をよく見れば彼の外交史上の責任は明らかであり、こういう冷静な評伝はいつか歴史家が書かなければならなかったでしょう。 歴史関係では、小学館の「全集日本の歴史」シリーズを挙げる評者が多かったのが印象的。松木武彦『列島創世記』(小学館)は五百旗頭真が推しているし、個人的には田中優子が挙げたロナルド・トビ『「鎖国」という外交』(小学館)が気になっています。 英文学者富山太佳夫が挙げたのは意外にも子安宣邦『昭和とは何であったか』(藤原書店)で、「この本を手に取らない者は本好きを名乗る資格はない」とのことなので、読まないわけにはいきません。日本思想史の泰斗の読書履歴とは、どんなものなのでしょう。 自身も専門領域を越境する研究者である広井良典は、社会学・心理学・生物学を横断した成果である内田亮子『生命をつなぐ進化のふしぎ』(ちくま新書)を挙げました。書評131:『生物と無生物のあいだ』で、生物学を今更学ぶのもいいもんだなぁと思ったので、機会があれば読んでみようかな。 続いて文学・随筆関係。 今年の「3冊」に挙がったもの(の中で私の琴線に触れたもの)には、海外文学が多いのが最大の特徴でしょうか。もっとも、今の私がそういうモードなのかもしれませんが。 私の最も信頼する読書家の一人、阿刀田高が挙げるのはマーガレット・アトウッド『またの名をグレイス』上下(岩波書店)。各所で話題になっている本作、やはり面白そうです。 ロシア文学者沼野充義は、これも話題作(というか問題作)水村美苗『日本語が亡びるとき』(筑摩書房)を挙げました。文学を愛する者ならば、読まなければいけないような気がしている本です。 海外文学の中でも、新潮クレスト・ブックスは相変わらずのクオリティを維持しているようで、江國香織の挙げたウィリアム・トレヴァー『密会』(新潮社)とナンシー・ヒューストン『時のかさなり』(新潮社)はどちらも面白そう。「この3冊」には挙がらなかったですが、個人的にはアリステア・マクラウド『冬の犬』『灰色の輝ける贈り物』『彼方なる歌に耳を澄ませよ』(いずれも新潮社)も気になっています。全てご愛顧させていただいているブロガーさんの間で評判のいい作品であり、書評103:『ソーネチカ』や書評144:『巡礼者たち』でクレスト・ブックスにはまってしまった者としては見逃す手はありません。 ─────………・・・・・・ …と、今年最後の記事を「読んだ」ではなく「読みたい」という記事で締めくくるのは何とも情けない話ですが、メガネがなくて本も読めないしブログも更新できなかったんや!という言い訳で許して下さい(笑)。 「My Best Books 2008」の記事はやはり年越しになりそうです。
それでは皆様、よいお年を! |
読書を語ろう!
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私はブックオフの100円本中心なので最新話題作はとんとご無沙汰ですが、5年後くらいには読めるかな?(^_^;)
2008/12/28(日) 午後 1:38 [ kohrya ]
"巡礼者たち”は正月までツンドク状態でお預けですが・・・
本日、読書感想をひとつ書きました。お時間があればご訪問を^^)
2008/12/28(日) 午後 10:24 [ pilopilo3658 ]
>内緒さん:いやあ、何と言うか、出費も痛いですし何よりも精神的に自己嫌悪ですね(苦笑)。
またいらして下さい〜!
2008/12/29(月) 午後 6:36
>るみさん:私自身、世の中の流れにはついて行っていない方なので、こういう記事でも書いておかないと置いてかれる気がして(笑)。実際、この中でも自分で買って読むことになる本は何冊あるかわかりませんし…。備忘録ということで。
歴史関係の本で話せる方は最近コメントをくれませんので、お仲間が増えるととても嬉しいです。来年もよろしくお願いします。
2008/12/29(月) 午後 6:38
>ひろもとさん:初めまして、コメントありがとうございました。
『最底辺の10億人』は今年流行った本ですし、その割にはなかなかしっかりした本のようですよ。『昭和とは何であったか』も各紙誌では話題になっていましたね。来年は読めるでしょうか。
2008/12/29(月) 午後 6:44
>こーりゃさん:私も基本的には古本(しかもできれば文庫)派なので、この記事は「年末に読もう」ではなく「いつか古本で見つけよう」的な意味合いが強いんですよ(笑)。
2008/12/29(月) 午後 6:45
>pilopilo3658さん:『巡礼者たち』入手されましたか?たしか絶版だったと思いますが…しかし入手されたとのこと、何よりです。是非感想をお聞かせ下さい。
本の記事、早速伺いますね。
2008/12/29(月) 午後 6:46
BLOGとホームページとフランス語でかなり本から縁遠くなってしまった一年でした。
来年は、もう少し落ちついて本を読める時間を作りたいと思っています。
紹介されている本、参考にさせていただきますね。
2008/12/30(火) 午前 0:46
あ、良いお年を!
2008/12/30(火) 午前 0:47
今年も大変お世話になりました。
大三元さんからは、最近の新進気鋭の論客を多くご紹介いただき、いつも「メモメモ」しています(メモ止まりかい!)
来年もどうぞ宜しくお願い致します。
よいお年を!
2008/12/30(火) 午前 7:29
>AKIKOさん:私も今年はバタバタしていて、あまり読書の時間も作れませんでした。これからはもっとそうなっていく可能性が高いですが…。
ブログも読書も、のんびりマイペースで楽しくやっていきたいと思いますので、来年もよろしくお願いしますね。よいお年を〜!
2008/12/30(火) 午後 6:14
>KING王さん:こちらこそ、今年も大変お世話になりました。読書のみならず、オトナの趣味(?)もご紹介いただき、将来の勉強になりました。
よいお年をお迎え下さい〜。
2008/12/30(火) 午後 6:16
アトウッドの「またの名をグレイス」は面白く読みました。
マクラウドはまだ「冬の犬」だけなのですが、他のもおいおい読みたいなぁ。
今、気になっているのはイアン・マキューアンとジュンパ・ラヒリです。私も今年はペースが悪かったので、来年はもう少し時間の使い方をうまくなりたいです。
そんなことより?、忘年会、泥酔されていたのでしょうか?
これからも新年会シーズン、飲んでものまれないように、
お気をつけくださいね♪
2008/12/31(水) 午前 3:16
大三元さん、今年もお世話になりました。恒例のマイ・ブック・ベストの時期になりましたね。
今年も切れ味と趣味のよい、本格派のラインアップに刺激されております。少々本の選択が偏ってきている私にはとても参考になります。来年もどうかよろしく。眼鏡が戻ってこられましたら、マイベストの続報をぜひ♪ よいお年を☆
2008/12/31(水) 午後 4:42 [ アズライト ]
>はざくらさん:アトウッドもマクラウドも評判がいいので、いずれ読まないといけないと思っていますが、いつ文庫化されるやら…という感じですね。
マキューアンはブッカー賞の『アムステルダム』がイマイチだったので、次は『贖罪』に朝鮮しようと思っています。ラヒリも大評判なので購入済みです。来年の宿題ですね。
2008/12/31(水) 午後 5:05
>電池切れさん:こちらこそ、お世話になりました。特に『源氏』の記事にはいつも刺激を受けておりました。いつか私も読み通したいものです。
良いお年をお迎え下さい。
2008/12/31(水) 午後 5:10
ご自身の読まれた本つながりで「読みたい本」をリストアップするとは♪大三元さんの切り口はやっぱり面白い〜!!
個人的には『昭和とは何であったか』がとても気になります^^(昭和生まれなもので^^)
最後になりましたが、どうぞよいお年を☆
2008/12/31(水) 午後 6:17
一応(かなり偏りはあるものの)文学を愛する者としては「日本語が亡びるとき」は読んでおきたい気がします。
そういえば、大三元さんのお薦めで「ソーネチカ」を読んだのが今年の正月でした。そう思うと、一年は短いようでいて、やっぱりいろいろあったな…としみじみ思う今、ちょうど紅白でミスチルが歌っています(笑)。来年もよろしくお願いします。
2008/12/31(水) 午後 11:09
>あんごさん:あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
私も昭和生まれですが(当たり前か)、結局昭和とは何だったのか、総括ができていないように思いますので、一度整理してみるのもいいかもしれませんね。
2009/1/1(木) 午前 11:37
>ぼやっとさん:明けましておめでとうございます!紅白は私は見れませんでしたが、ミスチルは初出場だったようで、見たかったですね。
今年も本のことやら日常のことやらつらつらと書き連ねたいと思います。昨年同様、色々とお世話になると思いますが、気長にお付き合い下さい。よろしくお願いします。
2009/1/1(木) 午前 11:46