書評184 エヴァ・ヘラー作/ミヒャエル・ゾーヴァ絵『思いがけない贈り物』平野卿子訳(講談社、1997年)ミヒャエル・ゾーヴァの絵が好きだ。12月になったことだし、クリスマスにちなんだ絵本を取り上げることにしよう。 【著者紹介】 Eva Heller (1948年―) 作家。 ベルリン自由大学で社会学と心理学を学ぶ。デビュー作『次の男はすべてが違う』(未邦訳)がベストセラーとなる。フランクフルト在住。 Michael Sova (1945年─) 画家、イラストレーター。 ベルリンに生まれる。芸術教育学を学び、フリーの画家、イラストレーターとして活躍。 本ブログで取り上げた作品に書評169:『ちいさなちいさな王様』がある。 【本書のあらすじ】 モノがあふれる現代、相手を本当に幸せにする贈り物とは? クリスマスイヴの夜。仕事を終えたサンタクロースの手元に残った人形は、だれのところへ?(カバー紹介より) お薦め度:★★★☆☆ 【本書の感想】 クリスマスイヴの夜、全てのプレゼントを配り終わったはずのサンタクロースの手元に一体の人形が残った。サンタは、人形が届けられるはずの子どもを探して回る…。 本書に出てくる子どもたちは、お世辞にも「いい子」とは言えない。 子どもはえてして残酷なものだが、こんなしょーもない子どもたちを相手にしなければならないなんて、現代のサンタクロースも大変だなぁ、なんてちょっと同情してしまった。 従って、読んでいる間は決して心地よいものではないが、結末に大いに救われる。 幸せって思いがけないときにくるものよね。(70項) という末尾のメッセージがタイトルを象徴しているであろう。 これには色んな解釈があると思うが、私は「幸せを受け取る間口を限定してはいけない」という教訓に読めた。「自分の幸せはこれだ」と決めつけてかかると、受け取れるはずの幸福も取り逃がしてしまう。できるだけ虚心に、謙虚に、日々のディテールを拾っていきたいと思う。 ミヒャエル・ゾーヴァの挿絵では、表紙のサンタの絵が一番良い。可愛らしい、でも真面目なサンタの奮闘劇をうまく表現していて、ゾーヴァの味がよく出ている。 ただ絵本中の挿絵ではサンタはほとんど出てこない。魅力的なサンタが出てこない分、書評169:『ちいさなちいさな王様』よりも目の保養度としては劣るかもしれない。 調べてみたら、ゾーヴァの画集は何冊か出ているようである。思い切って買ってみようかな。
「思いがけない贈り物」として誰かから届いたりしないかなぁ。笑 |
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しあわせって失った時に、最大限に気づくような気もします、これが人間の不幸、とはいえ、至近距離での日々の小さな幸せと遠距離の目指すべき幸せを自分の意思で決定できるのって人間にしかできない素晴らしさでもあります。なーんてね。♪〜( ̄ε ̄;)
誰かから届くといいですね!
2009/12/14(月) 午前 9:01
こだわりが強くなればなるほど「ちょうどいいころあい」のレンジが狭まってしまうのかもしれませんよね。
「出来るだけ…日々のディティールを拾ってゆく」、いい言葉と思います。
2009/12/14(月) 午後 10:19 [ グーピタ ]
幸せはつづいて来るような気がします。不幸もつづきますが(笑)
人一倍間口はひろいのに最近・・・。
2009/12/15(火) 午後 10:30
>しぐれさん:確かに、おっしゃる通りかもしれません。どういう幸せを目指すかは人それぞれですから。でもそのバランスって意外に難しいですねぇ。
2009/12/16(水) 午後 11:10
>グーピタさん:こだわりが強いことは悪いことだとは思いませんし、むしろそういう人は好きなんですが、それによって拾い落としてしまうようなことは避けたいなあと思っています。
2009/12/16(水) 午後 11:14
>CAVEさん:そうですね、受け取る側の精神状態にもよりますしね。CAVEさんは本当に間口広そうです(笑)。
2009/12/16(水) 午後 11:17
クリスマスらしい本ですよね*
現代のサンタは大変だな〜と思いました(^^;)
でも、出会う前から心が繋がっている女の子とお人形さんの
関係は素敵だな〜と、ちょっと感動しました。
ゾーヴァの絵もいいですよね☆
私もゾーヴァ大好きです(^^)
2009/12/17(木) 午後 9:03
>mielさん:これもご存知ですか〜。さすがです。
私もゾーヴァの絵が好きなんですが、表紙に一番良く出ている彼の絵の良さが作中であまり見られなかったのが残念でした。
内容は、最初はちょっと微妙な感じでしたが、後からじわじわと効いてくる話でしたね。
ゾーヴァの作品はもう少し追いかけてみようと思います。
2009/12/18(金) 午前 6:39
「虚心」難しいテーマです。
自我がある以上、なかなかこだわりと言うものは捨てきれません。
突き詰めると仏教の「解脱」の世界になってしまいます。
結局は自我のフィールド内の虚心というのが、普通の人の限界なのでしょうが、それはそれで、自我と虚心の折り合いと言う難しい問題が生じてきそうです。
自分の立ち位置を見極めた上での虚心というのが理想かもしれませんが、立ち位置自体がおかしな方向を向いていると、なんにもなりません。
難しい問題です。
すみません、本の方向性と違ったコメントになってしまいました(汗)
2009/12/20(日) 午後 11:49
>オブ兵部さん:おっしゃる通り、原理的な意味で厳密な虚心というのはありえないと思います。記事に書いたのは、その上で、自意識としては虚心に、という程度のものです。私も聖人になろうとは思いませんので(笑)、「普通の人」として出来るだけのことをやろうと思っています。
2009/12/21(月) 午前 1:18
>内緒さん:そうですね、クリスマスには相応しい絵本を、と思いこれを取り上げてみました。
他にも良い絵本があれば教えて下さい!
2009/12/25(金) 午前 7:21