読書のあしあと

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書評270 司馬遼太郎

『街道をゆく43 濃尾参州記』

(朝日文庫、1998年)

先日の名古屋・伊勢旅行に際して携行した。
国内旅行に行くとき、もはや「街道をゆく」は必需品である。


【著者紹介】
しば・りょうたろう (1923─1996年) 作家。
大阪外語学校蒙古語科卒。産経新聞文化部に勤めていた1960年『梟の城』で直木賞を受賞し、以後歴史小説を一新する話題作を続々と発表。『国盗り物語』『竜馬がゆく』で菊池寛賞など受賞多数。
本ブログで取り上げた作品に『燃えよ剣』、『竜馬がゆく』、『翔ぶが如く』、『草原の記』、「故郷忘じがたく候」、「街道をゆく」シリーズの『19 中国・江南のみち』、『40 台湾紀行』、『26 嵯峨散歩、仙台・石巻』がある。(記事一覧はこちら


【本書の内容】
桶狭間古戦場へ向かう道を辿りつつ信長と今川義元を思い、松平郷で家康の生涯を考える―美濃、尾張、三河。戦国の世に多くの武将を輩出した土地を歩いたこの巻は、著者急逝のため、未完の結末を迎えた。安野光雅画伯のスケッチと最後の取材旅行への同行者が秘話を綴った手記、写真を併録。


お薦め度:★★☆☆☆

【本書の感想】
本書は、司馬遼太郎の遺作となった。
執筆途中に亡くなったため、本篇は80ページほどであり、挿絵画家の安野や編集部の後記などで項が埋められている。

そのため、正直司馬の本篇は尻切れトンボ感が否めず、作品として評価しがたい。
桶狭間の戦いの描写や、三河時代の家康のエピソードはどれも興味深いが、この先連載されていたらもっと掘り下げてくれたに違いない、という印象を持ってしまう。そんなことを言っても詮無いことではあるが。


ところで、編集部後記の中に、なるほどと思った記述があった。
司馬が「街道をゆく」シリーズの連載を始めたとき、最初は「淡い風景画のつもりで」書き始めた。ところが、途中から「大きなテーマを書こう」と電池を入れ替えた時期があったという(140項)。

好例が書評226:『街道をゆく40 台湾紀行』で、淡い風景画どころか、異国の紀行記として出色の完成度である。

遅々とした進みだが、次第に濃くなっていく「街道をゆく」全巻を読破する日を楽しみにしたい。

閉じる コメント(12)

耳より情報ですね!ありがとうございます。

2013/6/17(月) 午前 10:56 凛さ

これが司馬遼太郎さんの絶筆だったんですね。
名古屋出身者としてはぜひ完成させて欲しかったですね。
司馬さんの切り口をぜひ読んでみたかったですね。

2013/6/17(月) 午前 11:33 [ もたんもぞ ]

未完で終わったんですか…。是非、最後まで掘り下げて書いていただきたかったです。
司馬遼太郎で、徳川家康をクローズアップした書き物に『覇王の家』(全三巻)があります。これを読んだとき、司馬遼太郎は家康(とそれを支える三河武士)の気質が好みでないのかな…という気がしたものでした。隣接していても、尾張と三河では気質が違います。その辺り、司馬さんがどう見ているのか、もっと語ってほしかったです。でも、本篇が80ページだとしても、この本、読んでみたいです。

2013/6/17(月) 午後 9:33 ぼやっと

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>凛さん:何か耳より情報ありましたでしょうか?中身のうっすい書評でしたが…(笑)

2013/6/19(水) 午前 2:21 大三元

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>もたんもぞさん:本篇は80ページほどながら、司馬節は健在でした。名古屋市民として読んでおかない手はないでしょう。

2013/6/19(水) 午前 2:23 大三元

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>ぼやっとさん:この本の中では、家康のことをそれなりに褒めて(?)いたような気がします。いや、的確に表現していた、と言うべきか。
私は司馬作品の幕末以降は結構読んだんですが、江戸以前のものはからっきし読んでないんです。お恥ずかしいことに。代表作くらいは読んでおくべきなんでしょうが、『覇王の家』あたりがいいですかね。

2013/6/19(水) 午前 2:25 大三元

おはようございます。
今日は大三元さんのブログ開設8周年の日ですね。
おめでとうございます
本好きの私としても毎度記事を拝見するのを
楽しみにしています。

2013/6/19(水) 午前 5:20 みかんジュース

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おはようございます、
「淡い風景が」が「大きなテーマ」に
司馬さんほどの人でもそういうことがあるということです。

2013/6/19(水) 午前 9:13 凛さ

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おっと大切なことを、9年目に突入ですね、

大三元さんなら50周年までいけますよ!
楽しみにしています。^^

2013/6/19(水) 午前 9:17 凛さ

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>みかんさん:ありがとうございます。当の本人が忘れていました(笑)
早速お礼の記事を書かせていただきました。
今後ともよろしくお願いします。

2013/6/23(日) 午後 10:55 大三元

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>凛さん:なるほど、そういうことですね。でも、司馬の場合、一つの作品の中でも話題があっちこっち行ったり来たりしますし、またそれが彼の作品の魅力でもあるので、それを殺さないでくれてよかった、という気もします。

2013/6/23(日) 午後 11:04 大三元

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>凛さん:いつもありがとうございます!凛さんからのコメントは、いつも新鮮で、感じるところ大です。今後ともよろしくお願いしますね。

2013/6/23(日) 午後 11:08 大三元


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