「My Best Books 2013」人文・社会科学部門このブログでは毎年、一年間に読んだ本を「My Best Books」として人文・社会科学部門と文学・随筆部門で10冊ずつ、計20冊をランキングしています。……でしたが、今年から各分野5冊ずつに減らしたいと思います。 5位以下は★3つ以下の本が多く、あえてベストとして挙げるのもどうかと思いまして。 今回は2013年の人文・社会科学部門の5冊をランキングします。 昨年は文学・評論部門より人文・社会科学部門が充実した年でした。 新書だけでなく、ハードカバーを何冊か読めたのもよかった。 今年も頑張ります。 第1位 竹森俊平『ユーロ破綻 そしてドイツだけが残った』(日経プレミア、2012年) タイムリーで、ためになって、面白い。前作と同じく三拍子揃った好著である。 ユーロ危機の構造を読み解いていくプロセスはスリリングで面白いが、そもそも危機の原因が「ユーロ」それ自体にあるという指摘には目からウロコだった。 ホットな話題を扱いながら経済史を自在に往来し、最新の経済理論を駆使してわかり易く分析する。こんな経済学者は他にいないだろう。 第2位 神門善久『さよならニッポン農業』(NHK生活人新書、2010年) TPP問題でにわかにクローズアップされた農業問題の叩き台になる本。 自由化による市場経済一本槍 or イメージ先行の農業ブームのいずれかに傾きがちな議論の中で、独自の農業再生論を真摯に模索する珍しい著作である。 本書の提案がどこまで現実的かは議論があるにせよ、現状をしっかりと認識し、議論の出発点にしたい好著だ。 第3位 渡辺一史『北の無人駅から』その1/その2(北海道新聞社、2012年) 書評128:『こんな夜更けにバナナかよ』の著者が北海道の「地方」の現状に迫ったノンフィクションの力作。 この著者の魅力は、名も無い人々の声と個性と背中をそのまま文章に写生できる力と、そういうローカルな人間関係に入り込んでいく人間性である。 この本は、この人にしか書けない、と思わせる力がある。 第4位 宮下規久郎『食べる西洋美術史――「最後の晩餐」から読む』(光文社新書、2007年) 西洋美術史を「食」という観点から切った斬新な本。食事がどのように描かれてきたかを分析することで、キリスト教における食事の重要性、庶民の暮らしに焦点を当てた「近代」の発見など、色々なものが見えてくる、まさに文化史のお手本。 紹介される絵がどれも魅力的なのもいいし、本の構成が著者のグルメ遍歴とシンクロしているのも面白い。 第5位 芹田健太郎『日本の領土』(中公文庫、2010年)
日本の領土問題について何か1冊、と聞かれたら「これ!」という決定版。 歴史的経緯や国際法的分析が冷静かつコンパクトにまとまっている。 文章がこなれていない点と、せっかくの冷静な分析からすっ飛んで大幅な妥協案を提示してしまっている点がタマにキズではあるが、とかく感情的になりがちな領土問題を冷静にまとめている本書は貴重な一冊である。 |
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今年もお互いにたくさん良い本を読みたいですね。
2014/1/8(水) 午後 6:53
>蓮さん:そうですね、良い本に巡りあったら、是非ブログでご紹介ください。今年もよろしくお願いします。
2014/1/12(日) 午前 0:57
うわ〜、なんだか高尚そうだな。
このなかの一冊でも読破してみたいです。
いつも使わない脳内筋肉を鍛えられそうです。
2014/1/20(月) 午後 8:05 [ わかめ ]
>わかめさん:最近ノンフィクションも読まれているようなので、ご自分の興味に沿ったものを選べば大丈夫だと思いますよ。私も最近骨のある学術書は読まなくなってきました。
2014/1/26(日) 午前 1:48