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昨年は何と言っても『坂の上の雲』でしたが、やはり司馬の長篇で一番好きなのは『竜馬』かも。 それ以外は、第2位、第3位、第5位と意外な収穫が多かったのも特徴でした。 しかし人文・社会科学部門に比べれば見劣りする文学・随筆部門、今年は豊作にしたいものです。 第1位 司馬遼太郎『坂の上の雲』その1 /その2/その3/その4全8冊(文春文庫、1974年) 司馬文学の金字塔の呼び声高い長篇、ついに読破。 司馬の近代日本に対する見方、すなわち昭和への感情的なまでの嫌悪とその裏返しとしての明治への憧憬が鮮明に描かれている。 第八巻のあとがきにあるように、「坂の上の雲のみを見つめてのぼってゆく」当時の若者の姿がまぶしく、中でも個人的には正岡子規に惹かれた。 第2位 ラッタウット・ラープチャルーンサップ『観光』古屋美登里訳(ハヤカワepi文庫、2010年) タイ系アメリカ人作家による短篇集。 地味だが、味わい深く、それでいてタイの爽やかな風を感じさせるような、清新な短篇が並ぶ。 タイを舞台にした話がほとんどだが、そこに懐かしさを感じ共感できるのは、テーマが普遍的であると同時に日本とタイの国民性に由来するのかもしれない。 第3位 筒井康隆『時をかける少女』(角川文庫<新装版>、2006年) SFやジュブナイルの枠を超えて、もはや青春小説における現代の古典である。 読んでいる間、アニメ版の名台詞が何度もリフレインしてきて余計に切なかった。 少女は時をかけ、『時をかける少女』もまた時をこえて愛され続けるのだ。 第4位 エリザベス・ストラウト『オリーヴ・キタリッジの生活』小川高義訳(ハヤカワepi文庫、2012年) アメリカの小さな港町にある人間模様を、淡々と描き出した短篇集。 本書を執拗低音のように貫通するのは、時の流れの無常さとも言うべきものである。それは時に残酷すぎる現実を人に突きつけるが、本書の筆致はあくまでも淡々としている。 まるで数十年寝かせたウィスキーのような、味わい深い作品である。 第5位 正岡子規『ちくま日本文学040 正岡子規』(ちくま文庫、2013年)
第1位で正岡子規に興味を持ったつながりで手に取ったアンソロジー。 子規の文章は端正でシンプル、そして言葉の選び方がきれいで的確。考え方もはっきりしていて実直なのは、人柄だろう。 くだものをはじめ食べ物に関するエッセイが多いのも印象的だった。 |
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2014年01月12日
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