読書のあしあと

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書評 いろいろ

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上記7つ以外の分野の本の書評や、短評を連結した記事を置いてます。
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書評288 斎藤勝裕/花くまゆうさく絵

『科学者も知らないカガクのはなし』

(技術評論社、2003年)

職場の理系の人が貸してくれた本。
理系の本を取り上げるのは書評214:『相対性理論を楽しむ本』以来。
こっちは寝っころがって読む類のものですが。


【著者紹介】
さいとう・かつひろ (1945年―) 名古屋市立大学特任教授。専門分野は有機化学、物理化学。
東北大学大学院理学研究科博士課程修了。名古屋工業大学大学院工学研究科教授を経て現職。理学博士。

はなくま・ゆうさく (1967年―) 漫画家&イラストレーター。
主な作品に「東京ゾンビ」ほか。


【本書の内容】
「サウナでやけどしないのはなぜ?」「マムシはマムシに噛まれると死ぬ?」「つむじを刺激すると下痢になる?」「人は霞を食べて生きていけるのか?」「iPS細胞で人は死ななくなる?」など、素朴な疑問から世間でよく言われる迷信や噂、現象、はたまた最新の科学についてまで、科学者でも答えにつまりそうなさまざまな疑問に、スーパー理学博士、齋藤勝裕先生が答えていく。専門知識を持たない一般読者でも手軽に読めるよう、花くまゆうさく先生のおもしろ4コママンガも楽しめ、二倍お得に!


お薦め度:★★☆☆☆

【本書の感想】

<全体の感想>
日常の疑問から最新の科学までを各項目2ページで説明する、科学読み物。

素朴な疑問が中高生でも読めるように平易に説明されているので、科学に興味を持つとっかかりとしては面白いかもしれない。
日常の疑問を扱った章では、中学高校で習った化学・生物の知識が日常生活に応用できることがわかる。
昔勉強したな〜と懐かしく思いながら読むのも一興だろう。

ただし本書では入門書どころか門前書だと思うので、各設問ごとにより深く突っ込むための読書案内などが欲しかったところ。

ちなみに、挿入されている漫画は微妙に笑えるが、理解の助けにはならない。というかそういうことを目指していない。ギャグ挿絵なので。この絵柄はたまに書店で見かけるけど、嫌いじゃない。


以下、Q&Aの例をいくつか抜書きしておく。


■日常のカガク/健康と食品のカガク
90℃のサウナでやけどしないのはなぜ? ⇒ 蒸発熱。中学で習いましたね。
お酒をチャンポンすると悪酔いする? ⇒ 迷信。結局は摂取アルコールの量。
ドライクリーニングは本当にドライ? ⇒ 水ではなく油洗浄。
ネギがインフルエンザに効くって本当? ⇒ 本当。
キウイとパイナップルのゼリーは作れないの? ⇒ 難しい。酵素があるから。

■地球と宇宙のカガク/生命のカガク
宇宙の中心はどこ? ⇒ あらゆるモノがお互い離れていくため、中心はない。逆に言うと全ての点が中心。
鮭は淡水魚?海水魚? ⇒ 淡水で生まれるため淡水魚に分類。浸透膜は高校で習いましたね。
キリンの睡眠時間は20分というのは本当? ⇒ 本当。しかも熟睡時間は1〜2分。草は燃費が悪いため草食動物は延々と食べ続けなければならず、睡眠時間は極端に短い。

■最新のカガク
レアアースってなんなの? ⇒ レアメタルのうち、砂状に近いもの。より現代的用途に特化している。
酒が超伝導に役立つ? ⇒ 合金を酒で煮ると超伝導が発現するらしい。
ビールを飲むと筋肉の老化が止まるって本当? ⇒ 本当だが、1日数万リットル以上飲み続けないと効果はない。

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書評277 木場克己

『腹を凹ます体幹トレーニング ――1日5分誰でも即効!』

(王様文庫、2012年)

こんな本の書評の前の記事が焼肉?という感じですが…。。

職業柄普段から肩こりがひどかったのですが、背中のストレッチをやろうとしたら肉離れを起こしたという衝撃的オヤジ現象(!)をきっかけに、軽いトレーニングをやることにしました。

チョイスしたのは今流行りの体幹トレーニングです。
著者はインテルの長友などを指導してきたトレーナーだそうで。


【著者紹介】
こば・かつみ (1965年―) KOBAスポーツエンターテイメント(株)代表取締役。(株)アスリートウェーブ代表取締役。(有)コバメディカル・ジャパン代表取締役。
鹿児島県出身。柔道整復師、鍼灸師、健康運動指導士。FC東京のヘッドトレーナーをへて、横浜FCやサンフレッチェ広島ユースなどでアドバイザーをつとめるかたわら、都内治療院にて、子どもや年配の方、トップアスリートのケガの治療、トレーニング指導にあたる


【目次】
1 潜在力がラクラク目覚める!究極のトレーニング―“腹が凹むしくみ”がわかる。「体幹エッセンス」!
2 2分でわかる「体幹力」チェック―意外と知らない自分の体!
3 腹を凹ます!1週間・完全プログラム―1日5分!代謝があがる!リバウンドしない!
4 実践!レベル1 体幹トレーニング―ラクラク「インナーのパワーアップ」「メタボ解消」
5 実践!レベル2 体幹トレーニング―サクッと「アウターのパワーアップ」「見た目チェンジ」
6 実践!レベル3 体幹トレーニング―インナーとアウターを連動させて、全身パワーアップ
7 実践!レベル4 体幹トレーニング―「ちょいキツ」が最高に効く!人生が変わる!
8 ストレスを消して疲れをとる!快適だから能力全開!


【本書の内容】
「きつくない」のに確実に凹む。今ある脂肪を燃やし、基礎代謝アップ。自宅でみるみる「魅力的な自分」にチェンジ。


お薦め度:★★★★☆

【本書の感想】
本書のトレーニングをやるようになってから約2ヶ月ですが、それなりに効果は出てきました。
この手の本はこれしか読んでいない(し実践していない)ので比較できませんが、絶対値としてのこの本の評価は高いです。


本書の目的は体幹を鍛えること、それによってポッコリお腹や肩こり・腰痛などを解消するというもの。
内容はストレッチとトレーニングがセットになっていて、段階的にレベル1〜5まであります。

毎日続けること、段階的にレベルを上げていくこと、とありますが、忙しいとなかなかそこまでできません。
そこで、私は適度にサボりながら以下のような使い方をしてみました。


■私の使い方
・トレーニングは週3〜4回、気づいたときにストレッチ。(飲み会、残業続きの日などは休み)
・はじめはレベル1を数日続け、2週間後にはレベル3まで上げた。
・これを2ヶ月継続。


■2ヶ月後の結果
・ウェスト幅、体重などに劇的変化はなく、維持しているレベル。おそらく脂肪が筋肉に変わっている?
・明らかに良くなったのは肩こりで、背中の肩まわりの筋肉がついたことで改善したらしい。最初は逆に筋肉痛だったけど、数週間すればいつの間にか肩こりがなくなってます。
・他のトレーニングも、最初はきつかったけど今では楽にでき、だんだんレベルを上げられるようになっています。これは筋肉がついてきた証拠かと。


■その他
・1日5分、とうたっているが、トレーニングメニューを全てこなしストレッチまで真面目にやると1時間を超える。私は重点的にやりたいトレーニング(肩まわりとお腹まわり)以外は適度にサボってます。
・最近テレ朝の23:15〜枠『マツコ有吉の怒り新党』『アメトーーーーク』が面白いので、観ながらやってます。
・そのためか、少し寝不足気味…。



このように、正しいメソッドを継続すれば人それぞれのアレンジでもそれなりの効果が得られるという、当たり前のことを実感しました。
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書評241 石田雄太

『イチロー・インタヴューズ』

(文春新書、2010年)

昨年、連続200本安打のメジャー記録が10年で途切れてしまったイチロー。
自身が最もこだわってきた200安打記録が途絶えたとき、「なぜかすっきりしている」と短いコメントを出した。
 
イチローは、今までどれほどのプレッシャーと戦ってきたのか。
その中で何を感じ、考えてきたのだろうか。
 
 
【著者紹介】
いしだゆうた (1964 スポーツジャーナリスト。
名古屋市出身。青山学院大学文学部卒業後、NHK入局。NHKではサンデースポーツなどのディレクターをつとめる。1992年にNHKを退職し独立。現在はフリーのジャーナリストとしてテレビ・ラジオのスポーツ番組の構成・演出や執筆活動を行っている。
主著に『声―松坂大輔メジャー挑戦記』、『屈辱と歓喜と真実と―“報道されなかった”王ジャパン121日間の裏舞台』、『イチローイズム―僕が考えたこと、感じたこと、信じること』、『桑田真澄 ピッチャーズバイブル』など。
 
 
【目次】
1 飛翔—2000〜2002(「どうせなら、ユニフォームのカッコいいところがいいな
「向こうに行くことが夢じゃないですから」 ほか)
2 試練—2003〜2005(「一番苦しいと感じるのは、できるのにできないということ」
「え、トップって、何が?」 ほか)
3 栄光—2006〜2007(「獲りにいって獲った世界一ですから」
日本のこと、大好きです」 ほか)
4 結実—2008〜2010(「去年の涙は、悔しさがすべてではない」
「おっと、松坂選手、言うようになったね」 ほか)
 
 
【本書の内容】
2000年秋、メジャー行きこそ決定したものの所属球団が未定の時点で、期待と不安が入り交じった気持ちを告白したものから、数多(あまた)の記録の樹立、絶不調の中、自らのバットで決めたWBC連覇、そして10年目のシーズンを迎える2010年の抱負まで──。9年半に及ぶスーパースターのすべてがここに語られています。
 
 
お薦め度:★★★☆☆
 
【本書の感想】
イチローがメジャーに挑戦した2001年から10年間にわたって積み重ねられ、『Number』に掲載されたインタヴューを収録している。
 
メジャーのシーズン最多安打をはじめ数々の驚異的な記録を打ち立ててきた男は“天才”の名を欲しいままにしてきた。
ところが本人はそのレッテルを嫌がる。自分がそれだけの努力をしてきたという自負があるからだ。
このインタヴュー集では、世間からの“孤高の天才”というイメージとは裏腹の、無邪気な素顔と壮絶な努力を垣間見ることができる。 
 
以下、特に印象に残った部分を抜書きしコメントを加えていきたい。
 
 
 
「僕は球場ごとにいくつかのポイントを決めて、それを見ることで精神的なコントロールをしているんです。いつも普通の精神状態でいられるように、準備をしているということかな。」(Nov 2001,60項)
イチローは、ルーティンの「癖」を大事にする。打席で一球ごとにバットを高々と上げるおなじみの仕草は、ピッチャーに焦点を合わせているのだという。守備のときも、守備位置から見える何かを見ることに決めて確認する。それがいつものように見えているということは、精神状態が普通であることを意味する。ならば、いつもの感覚に従ってバットを振ればいい。
シーズン200安打を当然のように達成してしまう実力を持つイチローだからこそ言える言葉だ。普通の精神状態であれば、ヒットを打てる。それがどれだけすごいことか。
 
 
 
「詰まらされると、ピッチャーのまっすぐに負けたという意識を持たされるから、嫌がる選手って多いと思うんですよ。……でも詰まることを恐れなければ、ツーストライクの後、アウトサイドに意識を置いていても、インサイド高めを詰まってヒットにできるんです。もちろん、僕も詰まることを恐れません。それは、技術なんです。そうやってヒットを打つやり方もある。」(Jan 2002,74―75項)
自分のバッターとしての特徴を問われて、「詰まることを恐れない姿勢」と答えるイチロー。「最後までグリップが残るのが自分の打撃の生命線」と話し、同じことができるバッターとしてジーター(ヤンキース)、落合博満(ロッテなど)を挙げている。
イチローの内野安打やポテンヒットは、実は技術の結晶であることが語られている。
 
 
 
「もちろん、弓子が一緒に戦ってくれているということは十分にわかっています。でも選手として、同情されるのは最大の屈辱なんですよ。……非難された方がよっぽどマシだと思いますから」(Jan 2005,158―159項)
シーズン最多安打の大リーグ記録に挑戦中の2004年9月、ノーヒットだった試合のショックを家庭に持ち込んだイチローに対し、弓子夫人は「打てなかったらしょうがないじゃない」と慰めようとした。ところが、この言葉にイチローは珍しく声を荒げて「そんなことは打てなかったときに後から考えればいいことであって、今そんな気持ちになってしまったら絶対に打てない」と答えたという。
夫人に対する思いやりを欠いていたと反省しながらも、「選手として、同情されるのは最大の屈辱」と言い切ることができる強い精神力こそ、イチローという選手を作り上げてきたに違いない。
 
 
 
「94年の頃の僕には、笑ってる印象があったはずです。……でも10年後、それはきっと正反対になってますよね。イチローは笑わない。……笑っているということは、必ずスキが生まれているはずです。笑顔が消えたのは、次のプレーに対する恐怖を知ったからなんです。」(Mar 2005,176―177項)
94年の頃は野球が楽しくてしょうがなく、ヒットをたくさん打っては笑っていたイチロー。それが、いつしかポーカーフェイスがトレードマークになっていく。
そうなっていることが「実は快感」とまで言い切るのは、勝負の世界の厳しさを知る者ならでは。
 
 
 
「強いチームというのは、個人があってチームがあると思うんです。個々が持っている力を発揮して、役割を果たして、それが結果としてチームとしての力となる。でも、弱いチームはそうではない。個人の力が発揮されない、だから勝てない、チームのためにという言葉でごまかして個人の力を発揮できないことへの言い訳を探す、そうしたらもっと勝てなくなる…悪循環ですよね。」(Nov 2005,203項)
イチローは「チームのために」という言葉を嫌う。チームのために努力するのは当然のことであって、それでも試合に勝てない場合こそ自分の仕事に集中するしかない、そのことでチームに貢献するしかないと考える。
「チームのために」という美しい建前の盲点を突いた言葉だ。
 
 
 
「この時期にWBCがあったというのは運命ですし、出ると決めたのも僕の宿命なんです。……生きている間には、そうやって重荷を背負わなきゃいけないときが来ると思っていましたからね。今がその時期だと判断したんです。……だから今日、結果として目指したことを実現した、その満足度は大きいですよ。ベストを尽くしますと言って結果的にそうなったという世界一ではなく、獲りに行って取った世界一ですから…」(Apr 2006,221項)
今まで敢えてリーダーシップを執ろうとしなかったイチローが、チームリーダーの責任を背負った第一回WBC。そこには、やはりイチローなりの決意があったのだ。
 
 
 
「僕は日本人であることを意識していたいし、もっともっと日本人でありたいと思うようになりました」(May 2006,244項)
イチローは、実はめちゃくちゃアツい日本人なのですね。
 
 
 
「そりゃ、打てますよ、打てますけど、だから広くするなんて、ありえないでしょう」(Nov 2007,324項)
メジャーでこれだけ突出した数字を残し続けると、審判の判定が極端に厳しくなり、まるで「いいじゃないか、お前はそれでも打てるだろ」とでも言わんばかりにアウトコースのストライクゾーンが広くなっていった。それに対応するために、イチローは知らず知らずのうちにベースに近づいて立ってしまい、インコースを捌き切れず調子を落としていたのだという。弓子夫人の指摘でそれに気づいたイチローは「ありえないでしょう」と愚痴りつつも、調子を取り戻して首位打者争いに舞い戻った。
イチローのレベルになると、審判とも闘わなければならないのだ。
 

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書評235 木下是雄

『理科系の作文技術』

(中公新書、1981年)

人から薦められた一冊。有名な本ですね。
ビジネス系の本をブログで紹介することは少ないが、仕事やブログの文章を書く上での参考として読んでみた。


【著者紹介】
きのした・これお (1917年―) 日本の物理学者。
1941年東京大学理学部物理学科卒。学習院大学学長などを歴任し、同大学名誉教授。薄膜や固体表面に関する研究を進めていく一方で、科学に関するエッセイや日本語教育に関する著書も多数発表しており、現在にも通用するそれらの著作は多くの支持を得ている。
主著に『物理学の部屋』、『物理の樹』、『レポートの組み立て方』など。


【目次】
1 序章
2 準備作業(立案)
3 文章の組立て
4 パラグラフ
5 文の構造と文章の流れ
6 はっきり言い切る姿勢
7 事実と意見
8 わかりやすく簡潔な表現
9 執筆メモ
10 手紙・説明書・原著論文
11 学会講演の要領


【本書の内容】
物理学者で、独自の発想で知られる著者が、理科系の研究者・技術者・学生のために、論文・レポート・説明書・仕事の手紙の書き方、学会講演のコツを具体的にコーチする。盛りこむべき内容をどう取捨し、それをどう組み立てるかが勝負だ、と著者は説く。文のうまさに主眼を置いた従来の文章読本とは一線を劃し、ひたすら・明快・簡潔な表現・を追求したこの本は、文科系の人たちにも新鮮な刺激を与え、・本当に役に立ったと絶賛された。


お薦め度:★★★☆☆

【本書の感想】

<全体の感想>
いわゆる文章の上手・下手といった「文章読本」的な観点ではなく、書くべきポイントをいかに読者に伝えるかという技術に焦点を当てたテクニカル・ライティング講座である。
故に、理科系に限らず「仕事で」文章を書く人には参考になる部分が多数あるだろう。

以下、個人的に参考になった点を私的覚書としてメモしておく。
体系的な書評にはなっていないので、全体の構成や他の論点については上記の目次を参考にされたい。

また、以下には基本的なことを書いていると思われるかもしれないが、私が仕事上常に意識していない点、普段気をつけていないかもしれない点を抜書きした。頭で理解することと、実践できていることは別物である。
この読書を機に、ブログに書いて改めて自戒したいということだ。


1.文章の役割の確認
いったい読者はこの文書に何を期待しているはずかと、一瞬反省してみること(15項)

これは当然のことだが、仕事の文章(たとえばメール)を書いた後にもう一度冷静に読者の視点で読み直してみようと思った。そうすればより読み易く的確な文章になるだろう。時間がない中でどれだけ実践できるか微妙だけれど。


2.はっきり言い切る姿勢
日本人が仕事上の文書で「はっきり言い切らない」ことを批判した項目である。これは本文を引用するのが一番よい。特に3つ目の引用文は、私も肝に銘じたい。

私は、むきつけな言い方を避けて相手が察してくれることを期待する日本語のもの言いの美しさを愛する。そういう言い方を、これから育つ人たちにも大切にしてもらいたいと思う。しかし、本書の対象である理科系の仕事の文書は、がんらい心情的要素を含まず、政治的考慮とも無縁でもっぱら明快を旨とすべきものである。そこでは記述はあくまで正確であり、意見はできるかぎり明確かつ具体的であらねばならぬ。(96項)

私たちには、折あるごとにぼかしことばを挿入する言語習慣が深くしみついていて、容易なことでは<はっきり言い切る>文章は書けないのである。しかし私たちは、こと理科系の仕事の文書にかぎり、敢えて<日本語ではない>日本語、明確な日本語を使うことにしようではないか。真正面から<はっきり言い切る>ことにしようではないか。(97項)

英語にステートする(state)という動詞がある。これは、明確に表明する;口頭で、または文書で正式に記述する;かたちを整えて、あるいは明確なかたちで記述する――というような意味だ。……このステートにピッタリあてはまる日本語がないのだが、仕事の文書で事実なり意見なりを書くのはステートすることにほかならない。……私たちがステートに対応することばをもっていないのは、そういう言語習慣が確立していないことの表れなのだろう。……ステートするときには当然、一句一句に責任がともなうのである。(100項)


3.受身の文
日本語の文は受身で書くとひねくれて読みにくくなる。……能動態で書くと、読みやすくなるばかりでなく、文が短くなる場合が多い。……そういうわけで私は、理科系の仕事の文書では受身の文章は少なければ少ないほどいいと信じ、大学院の諸君のもってくるレポートや論文――欧語直訳のような受身文が多い――を片はじめから書き直させ、受身征伐につとめている。(138―139項)

つまり「…と考えられる」ではなく、「…と考える」と書けということだ。能動態で書くと文章がすっきりする上、責任の主体がはっきりする。これは2.はっきり言い切る姿勢と連動しているのである。


4.字面の白さ
文書をパッと見たときの「字面」は白い方がよい=無駄な漢字は使うな、という。下に挙げる著者の「標準記法」はおおむね新聞などとも一致しているらしい。

これを見ると普段の私の書き方は漢字を使いすぎなのかもしれない。文を短くするために漢字を多用している部分があるのかも。
自分にはなかった視点なので、頭に入れておきたい。

【ひらがなを使うべき表現】(151項)
及び/並びに/初めて/再び/即ち/従って/各々/色々/他の/…の通り/…する時に/…と共に/出来る/行う/始める/決める/覚える/我々

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書評214 佐藤勝彦監修

『相対性理論を楽しむ本』

(PHP文庫、1998年)

書評131:『生物と無生物のあいだ』以来の理系本を取り上げる。
物理の話なんて高校以来だな。


【著者紹介】
さとう・かつひこ (1945―) 日本の宇宙物理学者。専門は宇宙論。
1973年京都大学大学院理学研究科物理学専攻博士課程を単位取得退学。東京大学理学部助教授、同教授、日本物理学会会長などを歴任。仁科記念賞受賞。紫綬褒章受章。インフレーション宇宙論の提唱者として知られる。


【目次】
第1章 相対性理論を体験しよう―相対性理論超特急
第2章 相対性理論を生んだ天才―アインシュタインの生涯
第3章 はじめに光ありき―特殊相対性理論その1
第4章 遅れる時間の不思議―特殊相対性理論その2
第5章 時間+空間=時空―特殊相対性理論その3
第6章 物質はエネルギーの固まり―特殊相対性理論その4
第7章 ゆがんだ時空―一般相対性理論その1
第8章 双子のパラドックス―一般相対性理論その2
第9章 火の玉宇宙が膨張する―現代宇宙論その1
第10章 無から生まれ急成長した宇宙―現代宇宙論その2


【本書の内容】
本書は、一般的には難しいと思われがちな「相対性理論」を、数式や専門用語をできるだけ使わず、誰でもスラスラ理解できるように解説。「遅れる時間」「双子のパラドックス」「無から生まれた宇宙」など、謎と不思議に満ちあふれたアインシュタイン・ワールドへ、あなたを招待します。楽しいイラストとポイントが一目でわかる図解も満載で、10時間で理解できるように構成された画期的な入門書。


お薦め度:★★★☆☆

【本書の感想】

<全体の感想>
計算式や専門用語を極力使わず、イラストや例え話で相対性理論を解説した本。
文系の人間にも順を追って相対性理論を理解できるように、配慮が行き届いた入門書(門前書)である。

すらすらと読めるし、相対性理論の計算式を覚えたわけではないけれども、私たちの身の周りで起こっている様々な不可思議な現象が一つの理論で説明できる面白さは理解できた。


ここで相対性理論の数式を詳細に述べてもしょうがないが、相対性理論を理解する最大のキモは、「時間の相対性」という感覚だろう。

普通われわれは、時間というのは過去から未来へ規則正しく流れているものであり、全ての人間にとって同じ長さで時を刻んでいると思い込んでいる。ところが、相対性理論によれば、時間でさえも相対的なものに過ぎない。止まっている人から動いている人を見た時、逆に動いている人から止まっている人を見た時、お互いの時計はお互いに遅れているのである。

アインシュタインは、この「相対性」という考え方を持ち込むことによって、物理学に革命をもたらした。


本書の冒頭で、相対性理論を体感できる「アインシュタイン・ワールド」という仮想空間で起こる現象が紹介されている。

・動いているものは、長さが縮む。
・動くものは、加速していくにつれて質量も増える。
・動くものは、止まっているものより時間の進み方が遅くなる。
・重力が強いところでは、光は直進できず曲がってしまう。

こんなこと本当に起こるの?ということばかりだが、現実に起こっていることである。ただ、人間のスケールが小さすぎて体感できないだけだ。もし私たちの動く速度が光の速さに近づいたり、身体の大きさが地球ほどあれば、アインシュタイン・ワールドが体感できるのだという。


たまにはこういう門前書を読んでみるのもいいものだ。
高校生のうちに読んでおけばよかったかな。

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