読書のあしあと

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読書を語ろう!

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このブログでは、本の書評と同じくらい「あの本がいいらしい、これも面白そうだ、それも読みたい」
というふうに、読みたい本を並べた記事を書いてきた。
年末の各紙まとめをレビューした記事、皆さんのお薦め本を募った記事、作家の書評集の書評。
これだけ風呂敷を広げて、いったいどれだけ追いついたのか?
と、一回まとめてみようと思った。
 

凡例  ◎:読了、書評済み   △:購入済み、積読   ×:古本で漁り中
 
 
2008年・この3冊
◎ 堂目卓生『アダム・スミス』(中公新書)
× ポール・コリアー『最底辺の10億人』(日経BP社)
△ 『広田弘毅』(中公新書)
△ 松木武彦『列島創世記』(小学館)
◎ ロナルド・トビ『「鎖国」という外交』(小学館)
× 子安宣邦『昭和とは何であったか』(藤原書店)
× 内田亮子『生命をつなぐ進化のふしぎ』(ちくま新書)
× マーガレット・アトウッド『またの名をグレイス』上下(岩波書店
× 水村美苗『日本語が亡びるとき』(筑摩書房)
△ ウィリアム・トレヴァー『密会』(新潮社)
◎ アリステア・マクラウド『冬の犬』(新潮社)
◎ アリステア・マクラウド『彼方なる歌に耳を澄ませよ』(新潮社)
 
ノンフィクション傑作・名作セレクション100
× 立花隆『日本共産党の研究』全3巻(講談社文庫)
△ 大岡昇平『レイテ戦記』全3巻(中公文庫)
× 松本清張『昭和史発掘』全9巻(文春文庫)
△ 本田靖春『誘拐』(ちくま文庫)
△ D.ハルバースタム『ベスト&ブライテスト』全3巻(朝日文庫)
△ 沢木耕太郎『テロルの決算』(文春文庫)
× 石牟礼道子『苦海浄土──わが水俣病』(講談社文庫)
× 山崎朋子『サンダカン八番娼館』(文春文庫)
× 鎌田慧『自動車絶望工場──ある季節工の日記』(講談社文庫)
△ 加藤典洋『アメリカの影』(講談社学術文庫)
△ 佐野眞一『阿片王 満州の夜と霧』(新潮文庫)
△ 米本昌平『バイポリティクス』(中公新書)
× 吉田健一『英国に就いて』(ちくま文庫)
× J.ハスラム『誠実という悪徳 E.H.カー 1892-1982』(現代思潮社)
△ 佐野眞一『甘粕正彦 乱心の嚝野』(新潮社)
△ 吉村昭『戦艦武蔵』(新潮文庫)
◎ 原武史『大正天皇』(朝日選書)
△  『昭和天皇』(岩波新書)
△ 渋沢栄一『雨夜譚』(岩波文庫)
△ J.リード『世界をゆるがした十日間』全2巻(岩波文庫)
△ 清沢洌『暗黒日記』全3巻(ちくま学芸文庫)
△ 開高健『ずばり東京』(光文社文庫)
△ 中島岳志『中村屋のボース』(白水社)
△ 山際淳司『スローカーブを、もう一度』(角川文庫)
× オーウェル『カタロニア賛歌』(岩波文庫)
× 井上章一『愛の空間』(角川選書)
△ 佐藤優『自壊する帝国』(新潮文庫)
△ マーク・ゲイン『ニッポン日記』(ちくま学芸文庫)
 
2009年・この3冊
× 佐々木毅『政治の精神』(岩波新書
△ ジェームズ・メイヨール『世界政治』(勁草書房)
△ 猪木武徳『戦後世界経済史』(中公新書)
× 佐藤俊樹『意味とシステム』(勁草書房)
◎ 内田樹『日本辺境論』(新潮新書)
× 秋山聰『聖遺物崇敬の心性史』(講談社選書メチェ)
× 鷲田清一『噛み切れない想い』(角川学芸出版)
◎ 池内恵『中東危機の震源を読む』(新潮選書)
△ 細谷雄一『倫理的な戦争』(慶應義塾大学出版会)
× 辻原登『許されざる者』(毎日新聞社)
△ 山田詠美『学問』(新潮社)
× 古井由吉『人生の色気』(新潮社)
△ リュドミラ・ウリツカヤ『通訳ダニエル・シュタイン』(新潮クレスト・ブックス)
△ カフカ『訴訟』(光文社古典新訳文庫)
× 持田叙子『荷風へ、ようこそ』(慶應義塾大学出版会)
× ジェイムズ・ジョイス『若い藝術家の肖像』丸谷才一訳(集英社)
◎ アラン・ベネット『やんごとなき読者』(白水社)
 
書評200:『『こころ』は本当に名作か』
◎ スウィフト『ガリヴァー旅行記』
△ ルソー『孤独な散歩者の夢想』
△ バルザック『従妹ベット』
× ディケンズ『荒涼館』
△ トルストイ『クロイツェル・ソナタ』『イワン・イリッチの死』
△ マーク=トウェイン『ハックルベリー・フィンの冒険』『乞食と王子』
△ 川端康成『眠れる美女』『山の音』『掌の小説』
◎ 谷崎潤一郎『細雪』『吉野葛』
× 田山花袋『蒲団』
 
2010年・この3冊
× 渡辺浩『日本政治思想史――十七〜十九世紀』(東京大学出版会)
× ジョン・W・ダワー『昭和――戦争と平和の日本』(みすず書房)
× 大津透『神話から歴史へ 天皇の歴史01巻』(講談社)
× 渡辺京二『黒船前夜――ロシア・アイヌ・日本の三国志』(洋泉社)
× アンドリュー・ロス・ソーキン『リーマン・ショック・コンフィデンシャル 上・下』(早川書房)
× チャールズ・テイラー『自我の起源』(名古屋大学出版会)
× 楊海英『墓標なき草原』(岩波書店、全2冊)
× 阿部和重『ピストルズ』(講談社)
× 中島京子『小さいおうち』(文藝春秋)
◎ 丸谷才一/湯川豊『文学のレッスン』(新潮社)
× 角田光代『ひそやかな花園』(毎日新聞社)
× ウェルズ・タワー『奪い尽くされ、焼き尽くされ』
× ミランダ・ジュライ『いちばんここに似合う人』
× アリス・マンロー『小説のように』
× ウィリアム・トレヴァー『アイルランド・ストーリーズ』(国書刊行会)
◎ ラッタウット・ラープチャルーンサップ『観光』(ハヤカワepi文庫)
× チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ『半分のぼった黄色い太陽』(河出書房新社)
 
2011/09/11 宿題
× アゴタ・クリストフ『悪童日記』
× 正宗白鳥『何処へ』
◎ 須賀敦子『コルシア書店の仲間たち』
◎ 谷崎潤一郎『細雪』
◎ 加藤典洋『言語表現法講義』
◎ 木下是雄『理科系の作文技術』
△ 山際淳司『スローカーブを、もう一球』
◎ 武田百合子『犬が星見た』
 
2011年・この3冊
× 井上正也著『日中国交正常化の政治史』(名古屋大学出版会)
× 服部龍二『日中国交正常化』(中公新書)
△ 宮崎市定『中国史の名君と宰相』(中公文庫)
× 宮崎市定『史記列伝抄』(国書刊行会)
× 『ブレア回顧録』(日本経済新聞出版社)
× ジョン・ルカーチ『評伝ジョージ・ケナン』(法政大学出版局)
× 若森みどり『カール・ポランニ』(NTT出版)
× J.S.ミル『大学教育について』(岩波文庫)
× ロールズ『正義論』(紀伊国屋書店)
× マキァヴェッリ『ディスコルシ―「ローマ史」論』(ちくま学芸文庫) 
× 鷲田清一『「ぐずぐず」の理由』(角川選書)
× 岸田一隆『科学コミュニケーション』(平凡社新書)
× 野嶋剛『ふたつの故宮博物院』(新潮選書)
× ベン・マッキンタイアー『ナチを欺いた死体』(中央公論新社)
× 丸谷才一『持ち重りする薔薇の花』(新潮社)
× 大野晋編『古典基礎語辞典』(角川学芸出版
× 辻原登『韃靼の馬』(日本経済新聞出版社)
× 津村節子『紅梅』(文芸春秋)
× 稲葉真弓『半島へ』(講談社)
× 小川洋子『人質の朗読会』(中央公論新社)
× 川上弘美『神様2011』(講談社)
 
2012年・この3冊
× ジョセフ・E・スティグリッツ、アマティア・センほか『暮らしの質を測る』(金融財政事情研究会)
× 中北徹『通貨を考える』(ちくま新書)
△ 白石隆、ハウ・カロライン『中国は東アジアをどう変えるか』(中公新書
× 山崎正和『世界文明史の試み――神話と舞踊』(中央公論新社)
× 安田浩一『ネットと愛国』(講談社)
× 斎藤環『世界が土曜の夜の夢なら−−ヤンキーと精神分析』(角川書店)
× 水村美苗『母の遺産−−新聞小説』(中央公論新社)
× 金井美恵子『ピース・オブ・ケーキとトゥワイス・トールド・テールズ』(新潮社)
× 丸谷才一『快楽としての読書−−日本篇・海外篇』(ちくま文庫)
× 小川洋子『ことり』(朝日新聞出版
× リュドミラ・ウリツカヤ『女が嘘をつくとき』(新潮クレスト・ブックス)
× ミハイル・シーシキン『手紙』(新潮クレスト・ブックス)
△ マーク・トウェイン『トム・ソーヤーの冒険』(新潮文庫)
 
書評275:『心と響きあう読書案内』
△ 梶井基次郎「檸檬」
△ 川端康成「片腕」
× 中勘介「銀の匙」
× 村上春樹『風の歌を聴け』
△ 梨木香歩『家守奇譚』
△ 田辺聖子「ジョゼと虎と魚たち」
× マンスフィールド「遊園会」
△ 向田邦子『思い出トランプ』
△ フィッツジェラルド『グレート・ギャツビー』
× 佐野洋子『100万回生きたねこ』
 
昨年末は恒例の「My Best Books」と「この3冊」の展望ができなかったので、まずこちらからやっつけます。
主要新聞各紙の書評委員が年末に「今年の3冊」を選びますが、この中から個人的に気になったものをピックアップ。
 
 
─────………・・・・・・・・ ・ ・  ・  ・
 
 
まず人文・社会科学部門は、経済関係から3冊。
中村達也ら複数人が推すのがジョセフ・E・スティグリッツ、アマティア・センほか『暮らしの質を測る』(金融財政事情研究会)。「生活の豊かさを示すGDPを超える指標を求め、サルコジ・フランス大統領(当時)が設置した委員会の報告」とのこと。ようやく目に見えない幸福の議論が深まってきたということか。気になる。
中北徹『通貨を考える』(ちくま新書)は松原隆一郎が挙げた。この円高趨勢を冷静に考えるのもいいかも。
書評254:『消費するアジア』の次にアジアについて読むならこれかな、と思っているのが白石隆、ハウ・カロライン『中国は東アジアをどう変えるか』(中公新書)山崎正和が「現代アジアを論じながら、アングロ・チャイニーズという新民族の誕生を示唆し、過去の文明史の通念に反して、民族が天与の固定的な存在ではないことを暗示した秀作」と評している。
 
個人的に昨年の目玉だと思っているのが山崎正和『世界文明史の試み――神話と舞踊』(中央公論新社)で、三浦雅士・五百旗頭真・細谷雄一と錚々たる面々が挙げている。もはや絶滅危惧種となった総合的知識人の新著である。
 
ノンフィクションでは、中島岳志が挙げた安田浩一『ネットと愛国』(講談社)と池澤夏樹が挙げた斎藤環『世界が土曜の夜の夢なら−−ヤンキーと精神分析』(角川書店)が以前から気になっていたので、古本探しリストへ登録。
 
 
続いて文学・随筆部門。
日本文学で一番読んでみたいのは水村美苗『母の遺産−−新聞小説』(中央公論新社)。川本三郎の評もいい。「老い果てた母親を介護し、看取る。一方では夫の浮気に悩まされる。『ママ、いったいいつになったら死んでくれるの?』大人の女性による市民小説の傑作」。
江國香織が「あまりにもデリケートで幸福な小説」と評する金井美恵子『ピース・オブ・ケーキとトゥワイス・トールド・テールズ』(新潮社)江國自身の本も久しぶりに読みたいなあ。
今年亡くなった丸谷才一の遺作『快楽としての読書−−日本篇・海外篇』(ちくま文庫)は、湯川豊が「あっけにとられるほどうまいというしかない書評集成」として挙げた。
そして忘れてはならないのが我らが小川洋子の新刊『ことり』(朝日新聞出版)。ま、文庫化まで待ちますけどね(笑)。
 
海外文学では、あの書評103:『ソーネチカ』リュドミラ・ウリツカヤの新刊、『女が嘘をつくとき』(新潮クレスト・ブックス)が出た。その前に刊行された『通訳ダニエル・シュタイン』も積ん読になっているし、全然追いつかない。
もう一冊ロシア文学。ミハイル・シーシキン『手紙』(新潮クレスト・ブックス)は、沼野充義をして「ポストモダン・ロシアの荒野から突如出現した福音」と言わしめた。どんな本なんだろう。
マーク・トウェイン『トム・ソーヤーの冒険』(新潮文庫)は、柴田元幸の新訳が出たんだった。昨年は書評242:『あなたの知らないガリバー旅行記』を読んで『ガリヴァー』を読んだ気になってしまった(笑)ので、こっちはちゃんと読みたいな。
 
 
─────………・・・・・・・・ ・ ・  ・  ・
 
 
次回はお待ちかね、「My Best Books 2012」です。
 
毎年恒例の年末企画「My Best Books」は、書ききれなかったので年越しします。ゴメンナサイ。
せめて、今年最後の記事はもうひとつの恒例企画「2011年・この3冊」展望をやっておきたいと思います。
主要新聞各紙の書評委員が年末に「今年の3冊」を選びますが、この中から個人的に気になったものをピックアップ。
 
 
─────………・・・・・・・・・ ・  ・  ・
 
人文・社会科学部門では、政治外交史分野で中国や日中関係に関する著作が目を引く。
細谷雄一が「王道をいく名著」として挙げている井上正也著『日中国交正常化の政治史』(名古屋大学出版会)服部龍二『日中国交正常化』(中公新書)合計四つの受賞。
三浦雅士が挙げた礪波護編『中国史の名君と宰相』(中公文庫)や丸谷才一が推す『史記列伝抄』(国書刊行会)など、宮崎市定の著訳書が多かったのも中国が名実ともにアメリカに並ぶ大国となったことと無関係ではあるまい。特に後者は、丸谷に「今年一番の好読物」と言わせしめた名訳。
 
評伝や回顧録でも大物が出た。『ブレア回顧録』(日本経済新聞出版社)を山内昌之が、ジョン・ルカーチ『評伝ジョージ・ケナン』(法政大学出版局)を保阪正康が、若森みどり『カール・ポランニ』(NTT出版)を中村達也が推薦している。
 
哲学・思想関係で古典の新訳が多かったのも今年の特徴。
堂目卓生が挙げているJ.S.ミル『大学教育について』(岩波文庫)ロールズ『正義論』(紀伊国屋書店)などは積年の宿題である。マキァヴェッリ『ディスコルシ―「ローマ史」論』(ちくま学芸文庫)は、「広い見識と鋭い洞察で筆を進めた本書こそ、近代政治学の祖にふさわしい味読書」との推薦文。
 
山崎正和が挙げた中からは2冊をメモ。このブログでも高く評価している鷲田清一の新刊『「ぐずぐず」の理由』(角川選書)を「問題領域の広さ、例証の量の膨大さ、分析への飽くなき執念に圧倒される」と絶賛。岸田一隆『科学コミュニケーション』(平凡社新書)は「現代の理系と文系の深い溝を埋めようという、切実な使命感を感じさせる一冊」とのこと。
 
ノンフィクションからは3冊。
今年最大のエポックである震災・原発関連では、田中優子や中村達也など複数人が挙げた開沼博『「フクシマ」論』(青土社)を読んでみたい。「既に三・一一以前から福島の現地に通いつめ、原子力ムラがいかにして原発を抱擁するに到ったのかを、当事者・地元紙・町村史にまで踏み込んで書き上げた作品。」「原発を抱きしめて生きてきた軌跡をたどる。地方はなぜ自発的に中央に従属するのか?」
楊逸が挙げた野嶋剛『ふたつの故宮博物院』(新潮選書)は、昨年台湾の故宮博物館を訪れたこともあって興味津々。
ベン・マッキンタイアー『ナチを欺いた死体』(中央公論新社)は、逢坂剛が「スパイ小説顔負けの、奇想天外な英国情報部による謀略作戦に、思わず手を打ちたくなる快作」と推薦している。
 
 
続いて文学・随筆関係。個人的に気になったものを抜書きしてみたら、偶然(?)海外文学がなかった。日本文学に収穫が多かったということか。
 
最も多くの票を集めたのは丸谷才一『持ち重りする薔薇の花』(新潮社)である。三浦雅士、湯川豊、五味文彦らが「本物の大人の文学」として挙げている。
その丸谷が挙げたのが大野晋編『古典基礎語辞典』(角川学芸出版)。「大野晋の辞典は、われわれの近代がおこなった、日本文化研究に対する最上の寄与である。柳田国男も折口信夫も津田左右吉も和辻哲郎も、これをしのぐ仕事をしなかった」と絶賛。これは読まねば。
 
湯川豊が挙げた中ではもう1冊、辻原登『韃靼の馬』(日本経済新聞出版社)が気になる。「おもしろさは谷崎潤一郎をもしのごうかという、大伝奇ロマン」と言われては、読まない訳にはいかない。
 
「作家吉村昭の凄絶(せいぜつ)な闘病を夫人の津村節子が切々と描いて、間然するところがない」と評されたのが津村節子『紅梅』(文芸春秋)
谷崎潤一郎賞を受けた稲葉真弓『半島へ』(講談社)は松永美穂が挙げた。「自然に向かって豊かに開かれていく感覚と、言語表現の細やかさに感嘆させられる。」
 
小川洋子の新刊『人質の朗読会』(中央公論新社)は中村桂子が挙げている。「ゲリラに拉致された人質八人が死を覚悟しながら語る記憶の中の話。時に奇妙さをも感じさせるところがかえってリアル」とのこと。奇妙さのリアルさというのは小川の真骨頂ですからね。
 
“震災後の文学”という視点で1冊、沼野充義が挙げた川上弘美『神様2011』(講談社)。「川上さんはデビュー作『神様』の2011年バージョンを新たに書くことによって、放射能汚染の危険によって世界ががらりと一変したことを鮮やかに示した」という。
 
─────………・・・・・・・・・ ・  ・  ・
 
 
これが今年最後の記事になります。
今年はますます仕事が多忙を極め、そのせいで身体を壊したりして、なかなか読書時間も書評を書く時間も取れなかったのが残念。
その中でも、ご訪問&コメント下さった皆さま、本当にありがとうございました。
 
来年はもうちょっと体調を戻して、読書にも精を出したいです。
皆さまも身体を大切に、良いお年を!!
 
 

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秋は太宰。――読書の秋、おすすめの読み物は?


この書庫にある記事は、本楽家協会の宿題などが多いのですが、今回もしろねこさんの記事「読書の秋、お薦めの読み物は?」へのアンサーエントリを書かせてもらいました。


読書の秋、食欲の秋、スポーツの秋と色々あれど、やはり読書の秋。
木枯らしが身に沁みるこの季節に、最も似合う作家は誰か。


私にとって、それは太宰治をおいて他にはいません。
太宰の代表作は言うまでもなく『人間失格』ですが、これのみをもって太宰を語るのはあまりにも惜しい。
太宰がとんでもなく幅の広い作家であったことは、「走れメロス」を思い起こしてもらえばわかるでしょう。一気呵成に読ませてしまうスピード感、織り込まれた様々なテーマ、そして流れるようにクライマックスまでもっていく鮮やかさ。「メロス」は近代日本文学の中でも出色の完成度を誇る短篇といっていいのではないでしょうか。

彼が残した膨大な作品群を読み進めれば、「メロス」に限らず、実に多彩な顔を持った作家だったことがわかります。
ユーモア作家、女流文学者、自堕落な冷笑主義、温かい人情家、はたまたミステリ作家…

その横顔については、これまでブログで取り上げてきました。 ↓
「畜犬談」『太宰治全集1』『太宰治全集3』『太宰治全集4』『太宰治全集5』

私が太宰を秋の読書に推すのは、多彩な太宰の奥には必ず人間の弱さへの洞察があり、共感があるからです。
こういう郷愁こそ、秋の読書に相応しい。



その他、ブログで書評した中からいくつかピックアップ。

恩田陸『光の帝国』
現代日本の小説が持つ可能性を存分に感じさせてくれるファンタジー。読書の愉悦を堪能して下さい。


ブルックナー『秋のホテル』
硬質な文体で描かれる静物画のような本書は、秋の夜長にひっそりと読むのにぴったりです。


カズオ・イシグロ『日の名残り』
秋といえば夕日。夕日といえば、本書を抜きには語れません。人生が夕日に染まることの切なさと美しさを感じられます。




あなたの秋の読書は?

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宿題をもらった

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以前ブログに一度だけ書いた、尊敬する大先輩とワインを飲みに行ってきました。
自分の親よりも年上の方で、大会社のトップになっている方なので、気疲れもしましたがフランクに色々な話を聴けて楽しかったです。

写真はその時飲んだ白のイタリアワイン、SOAVE。後味すっきり、美味しかったです。

以下、忘れないようにメモ書き。



◆自分が曲がりなりにもここまでこれたのは、能力があるわけでも何でもなく、会社に入ってから20年勉強し続けたから。君も今読んでいる本が仕事の役に立つとは思っていないだろうが、それがボディーブローのように効いてくるはず。自分はそうなるまでに20年かかったが、少なくとも15年は続けて欲しい。


◆自分の原点は、小学生の時読んだニコライ・バイコフ『偉大なる王』(中公文庫)である。そこからロシア文学に進んだ。ジャック・ロンドン『白い牙』も好きだし、もともと動物モノが好きだったのかな。


◆アゴタ・クリストフの文章なんかは、仕事をする上で役に立つ。「優しかった」というような形容詞・副詞を全て省いて、「毛布をくれた」という事実の積み重ねだけで優しさを表現する手法は、事実を基点に思考しなければならないビジネスの世界でも十分通用する。


◆この歳になって気づいたのは、自分は創作と評論を両方やる作家が好きだということ。文章を何度も書き写したりして、今でも好きなのは正宗白鳥。思えば、これは自分の仕事と合致している。営業畑が長かったが、企画管理の方が得意。営業=創作3割、企画管理=評論7割。


須賀敦子もそうで、須賀のような地の文に会話を織り込むような表現にも一時期凝った。これはもともとフランス文学の手法。谷崎潤一郎なんかもいい。


◆「文を書く」ということで苦労した人間の書く文章は、例外なく好きだ。加藤典洋なんかも、相当苦労した経緯が見てとれる。高校生の時は太宰治全集を読破した。中島敦もいいね。「山月記」「名人伝」は特に好き。


◆最近はロシア・アメリカのジャーナリズムばかり読んでいるが、日本のジャーナリズムはスポーツが弱い。例外は山際淳司『スローカーブを、もう一球』か。沢木耕太郎のボクシングものもなかなか。


◆武田百合子の白眉は『犬が星見た』で、「眼」の良さに感服させられる。しかもそれを文字に起こせるのだからたいしたものだ。映像の記憶力、会話の記憶力が半端ではない。『富士日記』『日日雑記』もよい。


◆学歴や頭の良さなんて、仕事の上では必要ない。問題は人の気持ちがわかるかどうかだ。君は以前、高校の寮生活から初めて実家に帰った時、親の有難みを感じて泣いた、と話していただろう。そっちの方が大事だ。東大を卒業することより、本を読んで泣ける心を持っている方が大切なのだ。



この人は、武田百合子の「会話の記憶力」を褒めていたが、私みたいな若造が3年前に話したことまで覚えているなんて、何という「会話の記憶力」かと驚嘆した。
頭が上がらなかった。

期待を裏切らないよう、仕事も頑張るけど宿題になった本も読まないといけない。

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