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その女アレックス

 P・ルメートルさんというフランスの作家さんのミステリ小説です。「このミステリーがすごい!2015年版」で第一位とのことで購入。年末年始の休暇期間に読もうと思っていたけれど、結局休暇に入る前にあっという間に読み終えてしまいました。ほんとに読み始めたら止まらない作品でした。出版されてそんなに経っていないようなので、なるべくネタばれ無しで感想を書いてみます。
 
 この小説は、犯罪の被害者&加害者が出てくるシーンとそれを捜査する警察のシーンが交互に描かれており、どちらにも同じくらいの比重が置かれています。特に警察側は特徴的な人物が数人配されていて、日本人が読むと『こち亀』や『名探偵コナン』を連想するほどキャラが立っています。でも、フランスっぽいのはこのパリの刑事たちが文学や絵画に造詣が深いところですね。芸術の話題になっても誰も軽視したり混ぜっ返したりしないどころか、粋な会話が展開されていて、日本やアメリカの警察物とは一味違いますね。
 
 この本のタイトルは『その女アレックス』。まさに、アレックスというひとりの女性について書かれたお話なのですが、彼女は登場早々に誘拐されてしまいます(これはネタばれには当たらないでしょう。表紙を見ても、裏表紙の簡単なあらすじを読んでもすぐわかりますから)。でも、この誘拐までの短い間の彼女に対する描写が実は重要なんです。最後まで読み終えた後、もう一度最初に戻ってここを読んでみると、全く別の印象を持つことになると思います。よくできています。
 
 犯罪のシーンはやはりなかなかひどいのですが、わりとさらっと読めてしまうので、そんなに読者はダメージを受けないで済む気がします。この辺のさじ加減の良さがベストセラーたる所以なんでしょうでね。
 
 全体的にとても視覚的に想像し易かったので、映像化の話が出てるだろうなと思ったら、やはり映画化が進行中とのことで楽しみです。最初は舞台をアメリカにするはずでしたが、最終的に原作どおりパリになったとか。そりゃあ絶対パリがいいです。そして、全てフランス人の役者さんでお願いしたいところだけど、ハリウッド製だとどうなるかわかりませんね。
 
 あ、あと、表紙の写真(絵じゃないんですよね)はとてもインパクトがありますが、実際のアレックスは誘拐された当時、こんな服装ではなく、こんな場所にも行きません。あくまでもイメージ画像なんですよね。一瞬で本の内容をわからせるという点では優れています。でも、「こういうお話だからこの先こう来るよね。あっ、違った!じゃあ、そう来るんだったらこうなるよね、あれっ、そうでも無くて!?」っていうのがこの小説ですから、表紙からして早くもミスリードを仕掛けてきているともいえますね。うまいな。
 
 内容に踏み込めないとあまりいい感想になりませんけど、何年かしたら、お話の構成についてとか、登場人物についてとか、改めて書いてみたい気もします。

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