空閨残夢録

上層より下層へ中心より辺境へ表面より深淵へデカダンよりデラシネの戯言

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名前のない坂

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「チェックメイト・キング・ツー・・・・・・こちらホワイトルークどうぞ!」

「・・・・・・(応答なし)」


 ・・・・・・夢の斥候は、眠りの精サンダース軍曹です!



 ボクは札幌で生まれ育ったのだが、幼少の頃はボクの暮らす南のエリアは市の郊外で、扇状地の札幌の街の扇の縁になだらかに盛り上がった未開発の場所柄であった。丘は火山灰地で地盤も水質も悪いので、当時は見晴らしのよい高台でも地理的な評価は低い処だったと思われる。

 街中にのぞむ二つの幹線道路は坂を降ることになるが、歩いて辿り着ける距離ではないので、鉄道を利用して、途中の豊平で市電に乗り換え市中へ行った。今では地下鉄を利用できるが、その昔は交通網も札幌の水源であり保養地の定山渓まで鉄道がひかれていたのである。

 さて、ボクの暮らす・・・そんな高台にはおのずと起伏が多い地形で坂も多かったのだが、今おもえば坂の名前など無かったような気がする。いや札幌には名前の無い坂が点在しているのが普通かも知れない。

 当時はあちらこちらにある坂に名前があるとか無いとか考えもしなかったが、東京で20代を暮らしていて東京も坂が多い都会だと感じる様になる。それは港区の昔に三田小山町と呼ばれた街でクリーニング屋のアルバイトをしていたことが発端であろう。

 仕事の合間や仕事がハネてから坂道の魅力に誘われ徘徊するようになる。麻布十番から三田にかけて其方此方の坂を渉猟するような散歩をやがて楽しむようになる。暗闇坂、狸穴坂、狸坂、鼠坂、芋洗坂などの坂道の名前にも惹かれる歴史もあったりして情緒も風情も面白い。

 さてさて、そんな東京の坂道が気になっていると、あのタモリさんが「日本坂道学界」の副会長だと情報を得て、『タモリのTOKYO坂道美学入門』なる講談社から刊行されている本を購入する。この著作は東京の坂道の美的遊覧ガイドとして貴重な民俗学的にも優れた作品だと思われる。



 ・・・・・・こちらホワイトルークでした!

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Checkmate King 2, this is White Rook, over.
「チェックメイト・K2・・・こちらホワイトルークどうぞ!」

This is King 2, roger, out. All right, that's it - let's get outta here !
「どうぞ!・・・こちらキング・2・・・応答せよ!」


戦場のミンストレルこと斥候サンダース軍曹です!



 最近は、新聞も、週刊誌も、月刊誌の定期購読は、2008年頃からしなくなってしまった。週刊誌は「文春」と「ポスト」を15年くらい毎週定期的に買っていたが、思いで深いのは連載小説で、1998年〜2000年まで週刊文春に連載されていた浅田次郎の「壬生義士伝」には、かなり強い感銘と感動を受けて読んだ歴史小説。

 週刊誌の定期購読を止めて悔やんだのが、同じく浅田次郎の新撰組三部作の「一刀斎夢録」が2008年〜2010年の6月まで、週刊文春に連載されたことである。本年は単行本化されるのを、今か、今かと、待ちわびる日々であったが、本年は2月に刊行されて胸をなでおろしつつも一気に読み耽る。

 まず、「壬生義士伝」の主人公である南部・盛岡藩の下級藩士の吉村貫一郎は、家族を養うために脱藩して新撰組隊士となる。そして大正4年に、或る記者が、生き残った新撰組隊士や縁の者を訪ね歩き、吉村貫一郎の取材を聞き取り調査を行うのだが、取材される吉村貫一郎の知悉である語り手の話しが、小説の物語構造となっている。

 語り部の一人に、新撰組三番隊長であった斉藤一が、吉村貫一郎の記憶を記者に語るのだが、数ある語り部のうち、斉藤一の語り口が、小説のなかでも一際きわだった個性を放つ、ニヒリズムにあふれ、憎悪に充ち、暗く澱み、血の匂いが漂い、語り部の一人として物語る斉藤一の言葉は、語り部のなかでも一番印象深い逸話だとボクは感じた。

 この漆黒の、無情にして、冷徹な、虚無的な人斬りの斉藤一が、今回の「一刀斎無録」では唯一の語り部となる。明治天皇の崩御から、この物語りは始まる。近衛連隊の剣士である梶原中尉は、警察庁の剣士である榊警部に、4年連続剣道の天覧試合で決勝戦に負けてきた。

 とある日、梶原中尉は榊警部から、一刀斎の噂を小耳にはさむ。この一刀斎なる老人は元は新撰組の三番隊長を勤めた斉藤一らしいのだ。知悉のあった榊は梶原に一刀斎の自宅を教える。そして七日にわたり一刀斎の過去を、そして人斬りを、血腥い暗殺を、鳥羽伏見から西南戦争の凄惨な闘いを聴くことになる。

 一刀斎の語る過去の回想は、時系列的に進行していくが、この小説の物語の芯には、吉村貫一郎が拾った市村兄弟が伏線となる因縁関係が大きい。市村辰之助の弟は鉄之助が斉藤一と物語が進むにつれて縁深くなるが、やがて悲劇的な結末となって終焉する。

 市村鉄之助は、吉村貫一郎に拾われて、わずか14歳で新撰組に入隊するも、間もなく鳥羽伏見の戦いを迎える。今日残る土方歳三の洋服による遺影は、市村鉄之助が土方歳三の故郷に持たらされた写真である。鉄之助は西南戦争で薩摩側の反乱兵として戦ったとも伝わるが、斉藤一は明治期に警察官となり、西南戦争を戦ったのは史実。

 一刀斎が回想するエピソードとして面白かったのは、坂本龍馬暗殺事件、人斬り半次郎(桐野利秋)と斉藤一の睨み合いなどが、なかなか緊迫した筆使いで感服させられた。居合いや剣の流儀を体感しなければ描けない文体にただただ敬服するのみ・・・・・・

 なんとなく読み過ごしていた「輪違屋糸里」もこれを契機に読書中・・・・・・こちらホワイトルークでした!

 

 

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「Checkmate King 2, this is White Rook, over.」

「This is King 2, roger, out. All right, that's it - let's get outta here ! 」


 ・・・・・・夢の斥候は、眠りの精ペパー軍曹、もとい!・・・サンダース軍曹です!




 中山可穂の最新刊と思われる『サイゴン・タンゴ・カフェ』を読む。この作品は本年に角川書店より文庫化されている。著者による文庫本のあとがきをまずは掲載しておこう。


 「なぜわたしはタンゴにこれほど惹きつけらるのだろう。同じラテン音楽でもサルサやボサノヴァにはわたしの琴線は何も反応しないのに、アルゼンチンタンゴだけがわたしを一瞬にして別次元までさらってゆく。タンゴという音楽に宿命的に流れている暗い情念と狂熱が自分の血の中にも滔々と河のように流れているのを、はっきりと感じることができる。自分の心臓の律動に一番近いのはタンゴのリズムである。わたしはタンゴダンサーやバンドネオン弾きになるかわりに小説家になって、この血の中に流れているものを表現しているに過ぎないのだと思う。」


 ・・・・・・まさにボクもそう思うのである。せつない愛の物語ばかりを、情熱恋愛だけを描いてきた小説家である彼女がタンゴに魂を奪われるのは必然的なことであり、それが短編小説に五編もタンゴをテーマに編まれたのが今回の作品集なのである。


 「すぐれたタンゴの曲は、官能的なのにストイックで、どこまでいってもエレガントである。ひとつの曲のなかに光と闇があり、高揚と失墜を繰り返し、透徹した様式美に貫かれている。もともとわたしは様式美というものにたいへん弱い。そういえばタンゴの曲の構造は、世阿弥言うところの物語の基本構造である『序・破・急』のセオリーに正しく則っているように思われる。三分間のなかで緊密にドラマが展開し完結しているのだ。」


 ・・・・・・わずか短い文章のなかにタンゴ論を明解に言葉として表現し、己の小説世界を端的にも語っているところが、ボクはマンマと肯くしかないほど、この短編小説集『サイゴン・タンゴ・カフェ』を読まずにいられなくなってしまう。しかし、この麻薬のような小説は、先ほど読み終えたので、この短編小説の五つの作品を概略紹介するにとどめよう。

 まずは、「現実との三分間」から始まる。美夏は会社の転勤でブエノスアイレスに行く。そこで八尾という上司のもとで働く。この八尾は頗る仕事のできる男であるが、部下には全く人気の無い嫌な奴である。或る日、美夏はタンゴ教室でダンスを習うことにするが、タンゴ教室で八尾と出逢い、美夏は彼と踊りを通じて恋愛感情をしだいに傾けていく・・・・・・しかし、八尾は美夏に人生をおとしめるほどの裏切りをすることになる。

 次の、「フーガと神秘」は、母と娘の物語である。娘はアルゼンチンに移住してタンゴダンサーを目指す、やがてバンドネオン奏者と結婚することになり、ブエノスアイレスで行われる結婚式に母が独りで出席するのだが、娘と父親との秘密を娘から聞く事で、自分が封印していた過去の記憶と対峙することになる。それはタンゴを始めて踊ったことによる官能的な神秘であり、タンゴの魔力による禁断の扉でもあった。

 「ドブレAの悲しみ」は、ブエノスアイレスの場末の野良猫がバンドネオン奏者の老人に拾われて、老人にアストラル・ピアソラの名前を付けられて幸せな生活が始まる。やがて、アストルを飼ってたいた老人が亡くなると、同じアパートに棲む殺し屋のノーチェに飼われることになる。ノーチェは猫語が解せる男で、しかもピアソラ嫌いであるから、アストルをアニバル・トロイロの名前に変える。アパートの住人はこの猫を、アストルのA、アニバルのAから、ドブレ(ダブル)Aと呼ぶことになる。猫による一人称で語られる人間の悲劇をタンゴで奏でた作品。

 「バンドネオンを弾く女」は現代の日本における状況を描くことで、本編のなかで一番庶民的な雰囲気と可笑しさをたたえている。今、テレビでドラマ化するならば面白いと思える物語構造ではないだろうか。夫の浮気相手とサイゴンに旅をする主婦の物語なのであるが、もちろん、ここにもタンゴというテーマは結末に隠されている。

 さて表題作でもある最後の「サイゴン・タンゴ・カフェ」は、タンゴの国から遠く離れたインドシナ半島の片隅の迷路のような場末の一画にそのカフェは、・・・あった。主人はタンゴに取り憑かれた国籍も年齢も不詳の老嬢。しかし東京から取材で訪れた孝子はその正体が、もう20年も沈黙を守り、行方知れずとなった異色の恋愛小説作家・津田穂波ではないかと疑う。彼女の重い口から語られた長い長い恋の話とは……

 この「サイゴン・タンゴ・カフェ」は、中山可穂の代表作にして、2001年に第14回山本周五郎賞を受賞した『白い薔薇の淵まで』に登場するヒロインの塁が、もしもアジアの辺境で死なずに、もしも生きていたら・・・・・・という設定で書かれたとも想像できるであろう小説。

 中山可穂の作品でも、謎めいて、猫好きで、ジャン・ジュネの再来ともいわれた小説家の塁は、彼女の作品では最も魅力的な女性であり、愛さずにいられない哀しい存在であった。それがサイゴンで老女として、亡霊として再登場したのがこの作品といえるかも知れない。




 ・・・・・・こちらホワイトルークでした!

世阿弥の「風姿花伝」

「Checkmate King 2, this is White Rook, over.」

「This is King 2, roger, out. All right, that's it - let's get outta here ! 」


・・・・・・十勝清水駅前壺中庵主人こと、斥候サンダース軍曹です!




 『風姿花伝』は世阿弥が記した能の理論書であるが、世阿弥の残した21種の伝書のうち最初の作品をいう。父の観阿弥の教えをもとに、世阿弥自身が会得した芸道の視点からの解釈を加えた著述になっている。

 その成立は15世紀の初め頃。全七編あり、最初の三つが応永7年(1400年)に、残りがその後20年くらいかけて執筆・改訂されたと考えられている。「幽玄」「物真似」「花」といった芸の神髄を語る表現はここにその典拠がある。最古の能楽論の書であり、日本最古の演劇論とも言える。

 内容は、能の修行法、心得、演技論、演出論、歴史、能の美学など。能の芸道論としても読めるし、また日本の美学の古典ともいえよう。

 この花伝書にある言葉で有名な格言に「初心忘るべからず」がある。・・・・・・「初心」とは、若い頃の未熟な状態を指しているのだが、世阿弥は、自分に未熟な時期があったことを忘れるな・・・・・・と言っている。

 これを忘れてしまうと、年を経ると未熟な状態にやがて戻ってしまうことになる。つまり、初心にかえり、初心を忘却の彼方へ追いやることなく、常に未熟な状態へたちかえる心が「初心」を忘れることなかれと述べているわけだ。そのことで芸道は停滞せず向上を目指すのであった。

 世阿弥は意識の持続を「心を糸にする」というイメージで語っている。「心を糸にして、人に知らせずして、万能を綰(たぐ)べし」・・・・・・つまり、心の糸を切ったその時、その集中が途切れる。糸を張っていることも人に知られてもいけない。ひたすら心を糸にせよ・・・・・・と述べている。

 さらに「心を十分に動かして身を七分に動かせ」と・・・・・・身体を100%活動すると、その糸は切れてしまう。その精神は緩めず、肩の力を抜いて丹田に心を糸をイメージせよ。・・・・・とも述べる。

 人の動き、心の動きを示した芸能論なのであるが、糸を張った状態を、集中して働いている心であり、それが「精神」である。分散して休んでいる精神が、つまり「心」なのである。

 力には集中と分散がつきものである。stuff(かたまり)とは集中であり精神のことであり、dust(ちり)とは分散であり心をいう。

 この意識のエネルギー作用を芸道のなかで応用し述べているのが『風姿花伝』なのである。精神は意志であり「気」でもある。その「気」の作用をつまり述べている。それを糸のイメージで心の作用も語っているわけだ。




 ・・・・・・こちらホワイトルークでした!

 
 

 

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「Checkmate King 2, this is White Rook, over.」

「This is King 2, roger, out. All right, that's it - let's get outta here ! 」



・・・・・・十勝清水駅前壺中庵主人こと、斥候サンダース軍曹です!




 先日、やっと、佐藤賢一の『二人のガスコン』を読み了えたのに、藤本ひとみの『新・三銃士 / ダルタニャンとミラディ』を購入してしまう。今ボクは20冊ぐらい同時に併読している本があるのに、こうゆう面白そうな著作を文庫で発刊されると非常に困る・・・・・・のだが、けどけど、この藤本氏の作品はかなり魅力的だ!・・・・・・

 まだ読み始めたばかりなのだが、なかなかこれがイケル感じなのだ。佐藤賢一版の「三銃士」同様に、大人も楽しめる新解釈で展開していく物語は、ダルタニャンや三銃士側の視点からではなく、ミラディやロシュフォール側から、アレクサンドル・デュマの『三銃士』という小説の、主人公とは反対の敵側からの視点で、陰謀という影から描かれた物語となっているようだ。

 さて、藤本氏の作品の読書感想はまた後日として、佐藤賢一の岩波新書から刊行されている『ダルタニャンの生涯(−史実の三銃士−)』は、小説『二人のガスコン』と同時進行して読了したが、この評伝は時代考証として大変に参考となり、貴重な三銃士のガイドブックとなってくれた。小説より奇なるノンフィクションとして、さすがは直木賞作家の真髄を垣間見た思いである。

 ダルタニャンという世界で最も有名なフランス人は、実は、史実としては未だに無名の人物でもあり、それは『鬼平犯科帳』の長谷川平蔵が史実に存在していたように、ある意味、無名の存在ともいえる。しかし事実は小説より奇であり、実人生も冒険を孕んでいたのには真まことに・・・・・・驚かされる。




 ・・・・・・こちらホワイトルークでした!

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