空閨残夢録

上層より下層へ中心より辺境へ表面より深淵へデカダンよりデラシネの戯言

カクテルの博物学

[ リスト | 詳細 ]

記事検索
検索

全1ページ

[1]

イメージ 1

イメージ 2

「Checkmate King 2, this is White Rook, over.」

「This is King 2, roger, out. All right, that's it - let's get outta here ! 」

カクテル関係、クランベリージュース関係、の皆さま、御機嫌ようサンダース軍曹でつ!

_____________________________________________



 ソルティー・ドックというカクテルは割りとよく飲んでいる。自分が飲むときはグラスに塩などは付けず気楽にやる。クライブ・カッスラーの海洋冒険小説のヒーローであるダーク・ピットも愛飲するソルティー・ドックは、海の男に相応しいカクテルであることは言うまでもない。

 往年のグループサウンズで代表的なワイルド・ワンズが、1980年代に再結成して『白い水平線』をレコーディングしているが、松本隆の作詞による歌詞に、「こんな別れに似合うわ Salty Dog グラスを指ではじきつぶやいたね」・・・・・・と歌われてもいて、湘南の海にもソルティー・ドックが小道具とされてもいる。

 ソルティー・ドックは1940年代に英国で生まれたらしい。考案者の名前は伝わっていない。ソルティー・ドッグは直訳すると《しょっぱい犬》となるが、これは英国の海員たちのスラングで《甲板員》のこと、いつも潮風や波浪を浴びて仕事をするので《塩からい野郎ども》と呼ばれる。

 バリエーション・カクテルとしてスクリュードライバー、ブラッディーマリー、ビックアップルなどが後日に誕生するが、その仲間であるケープ・コッダーについて語らせていただきたい。

 ソルティードックはベースがウォッカでグレープ・フルーツ・ジュースが混ざる。これの塩なしがグレイ・ハウンドで、ウォッカをオレンジジュースで割るとスクリュードライバー、トマトジュースならばブラッティーマリー、アップルジュースならビックアップルとなるのだが、全てベースはウォッカが基本。

 ケープ・コッダーはウォッカベースにクランベリージュースで割るカクテル。このクランベリーは日本ではあまり馴染みの無い果実で、近年このベリー類もジュースとして入手しやすくなっている。

 鶴 (crane) の、薔薇科ではない躑躅科でコケモモ亜属の果実 (berry) の意味で、17世紀に米国の英国系移民が名づけたとされる。鶴の好物であることからだが、花が開く前、茎、萼、花弁が鶴の首、頭、嘴に似ているからだという説もある。

 果実は非常に酸味が強く、生食には全く向かないが、菓子やジャム、クランベリージュースの原料となる。七面鳥の丸焼きに添える甘いクランベリーソースは、アメリカ合衆国とカナダの感謝祭には欠かせない食材。

 ボストンの東南、大西洋上に釣針形に湾曲した半島の突端が、ケープコッド(鱈の岬の意)。ここは1620年に英国のプリマス港を出発したメイフラワー号が、65日間の厳しい航海の末にたどり着いた岬だった。アングロサクソン系の米国人にとっては心の故郷となる名所がケープコッドでもある。

 メイフラワー号以後、ヨーロッパからの移民がケープコッド一帯に住み着き、やがてアメリカ東部開拓の歴史を担うこととなる。

 開拓者たちは食料の自給に野生の七面鳥と自生するクランベリーが主な食べ物となり、サンクスギビングデイはこの伝統で、1863年にリンカーン大統領によってナショナル・ホリディに制定される。

 そして、この日に米国では七面鳥の肉にクランベリー・ソース添えるのが伝統料理となるのでした。

 つまり、多くの米国人にとっては、クランベリー味は《おふくろの味》でありまして、だから、ウォッカをクランベリー・ジュースで割るケープ・コッダーは、単なるソルティードックのバリエーションではなくて、特別にアメリカ的な味わいのカクテルとして愛飲されている。

 クランベリー・ジュースにグレープ・フルーツ・ジュースを半々にしてウォッカで割ると「シーブリーズ」というカクテルになる。

 このカクテルはボクのお好みでありまして、“フィンランディア・クランベリー・ウォッカ”をベースにして作るのが拘りである。

 シーブリーズとはケープ・コッドの海洋から吹き寄せる潮風と思わしい。



 ・・・・・・こちらホワイトルークでした!

スロー・ジン

イメージ 1

イメージ 2

「Checkmate King 2, this is White Rook, over.」

(チェックメイト・K2、こちらホワイトルーク、どうぞ!)

――― 斥候サンダース軍曹です! ―――




 スロー・ジンという果実系リキュールは、ジンという名称があるものの、製法も特徴もドライ・ジンとは無縁である。ただ、ドライ・ジンで有名なメーカーであるゴードン社の Gordon’s Sloe Gin の商品が古くから販売していることと所以があるかもしれない。商品として流通するよりも地元の英国では日本の梅酒のようなホーム・リカーとして飲まれるのが一般的のようだ。

 スロー・ベリーは、日本では西洋李(セイヨウスモモ)とよばれてきたが、今ではヨーロッパスモモとよばれ、プルーンの名称のほうが通りがよいだろう。同じスモモという名がある薔薇科の種とは違う別種のもので、ヨーロッパから西アジアを原産とする。本種は野生種が確認されておらず、起源についても確定されていないようだ。

 ヨーロッパスモモを図鑑で、その花を観ると、スモモの花よりは白く見えるが、実は全く異なる。青紫色のラグビー・ボール型の実もあるが、ゴードン・スロージンの古いラベルの実は円形で紫色の実、またスピノサスモモは小さな黒い実で枝に長い棘がある。ヨーロッパスモモの学名は Prunus domestica、スピノサスモモは Prunus spinosa。

 スロー・ジンをベースにしたカクテルに Blackthom (ブラックソーン=黒い棘)があるが、スピノサスモモの枝にある棘と黒い実からの命名なのであろうかしら、同じ薔薇科なのだが、鋭い棘をもつ低木にサンザシがある。純白の花に紅い実が美しいので日本では庭木として植えられてきた。これも日本には自生していないが、サンザシ属は2種が日本に自生する。北海道には黒い実をつけるクロミサンザシと、実が赤くなるオオバサンザシが分布する。

 このサンザシは中国名を「山樝」というが、果実は「山樝子」といって薬用にされる。英国では、クラタエグス・ラエウィガタ C.laeuigata と、クラタエグス・モノギナ C.monogyna の2種がよく栽培されている。日本では両者を区別しないでセイヨウサンザシとよんでいる。

 英国の5月を代表する花木であるセイヨウサンザシは、地元では「メイフラワー(Mayflower)」または単に「メイ」とよばれる。文学作品には頻繁に登場するメイだが、「ホーソーン(hawthorn)」または「ソーン」ともいう。ソーンは棘を意味するが、この棘を利用して牧場の生垣として使われているようだ。

 サンザシに似た実でセイヨウカリンがあるが、これはカリンやマルメロの仲間と違い英語で「メドラー(medlar)」、独語で「ミスペル(Mispel)とよばれる。市場に出まわるような果物ではないが、花木としてヨーロッパでは人気があるようだ。

 さて、スロー・ベリーは薬用酒に英国の家庭で用いられてきたが、効能は消化不慮によく効く、またサンザシは健胃、整腸、二日酔い、食中毒などに効果がある。効能は両者ともによく似ている処方だ。

 さてさて、シェイクスピアの戯曲にもプルーストの小説にもスロー・ベリーの記述は長年眼にしなかったが、サンザシに関しては文学によく登場する植物なのである。ラルース酒辞典でスロー・ジンの項目を調べると誤訳と思えるような内容で信じがたい、スローをリンボクと訳される所以が未だ理解不明である。



 ・・・・・・こちらホワイトルークでした!

全1ページ

[1]


.
ホワイトルーク
ホワイトルーク
男性 / A型
人気度
Yahoo!ブログヘルプ - ブログ人気度について
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

標準グループ

よしもとブログランキング

もっと見る

[PR]お得情報

ふるさと納税サイト『さとふる』
実質2000円で特産品がお手元に
11/30までキャンペーン実施中!

その他のキャンペーン


プライバシー -  利用規約 -  メディアステートメント -  ガイドライン -  順守事項 -  ご意見・ご要望 -  ヘルプ・お問い合わせ

Copyright (C) 2019 Yahoo Japan Corporation. All Rights Reserved.

みんなの更新記事