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◇宇宙を見つめる少年 「あった!あったぞ!」 うす暗い屋根裏部屋で、天体望遠鏡を覗き込む一人の少年がいました。 「あれが火星か。本当に赤いや!」 少年は、宝石をちりばめたような星空の中から、ちょうど火星を見つけたところでした。 何百という星たちの輝きが、少年の瞳に映り、瞬いていました。 彼の名は、ハーバート・ジョージ・ウェルズ。 イギリスを代表する世界的に有名な小説家であり、思想家です。 そのウェルズの少年時代の楽しみは、星空の観察でした。 のちに、『宇宙戦争』や『月世界最初の人間』といったSF小説を書いたのも、 宇宙への熱いまなざしがあったからでしょう。 ウェルズは、1866年にイギリス、ケント州の貧しい商人の家に生まれました。 お父さんは読書家。お母さんは信仰深く、勉強への関心も強い人で、 幼いウェルズに文字の書き方や算数を教えたと言います。 こうした両親の影響も受けて、勉強熱心なウェルズでしたが、 生活のために、小学校を卒業すると、働きに出なくてはなりませんでした。 「ぼくは、もっともっと勉強して、世の中のことをたくさん知りたいんだ」 毎日働きづめで思うように勉強がきなくても、ウェルズの学びへの情熱は消えませんでした。 ◇けっさくSF小説 そんな少年時代を送ったウェルズが、SF小説『タイムマシン』を発表して 世の中に認められたのは、29歳の時でした。 タイムマシンとは、時間の中を移動して過去や未来に旅行できる乗り物です。 ウェルズは、このすごいマシンを思いつき、はじめて物語にしたのです。 未来世界をまるで見てきたかのようにありありと書いたので、 当時の人たちは、ウェルズの発想と想像力にビックリしてしまいました。 ●『タイムマシン』(1895年発表) タイムマシンの発明に成功したタイムトラベラー(時の旅人)が、 80年年後の未来社会を訪れる。 そこは、ひ弱な地上人を地底人が捕まえて食べてしまうという、おそろしい世界だった。 ある日、トラベラーは川で溺れた地上人の娘ウィーナを助ける。 冷たい心を持った地上人の中で、彼女だけはトラベラーへの感謝を忘れなかった。 だが、地底人に襲われてウィーナは死んでしまい、トラベラーは自分の時代に逃げ帰ってくる。 結局、トラベラーが未来世界から持ち帰れたものは、 ウィーナからもらった一本の花だけだった。 ≪時代は変わっても、人を愛する心は変わらず生きつづけてほしい≫という、 ウェルズの願いが伝わる名作です。 ●『透明人間』(1897年発表) 有名になりたいという望みでいっぱいの科学者グリフィンは、 からだが透明になる飲み薬を発明した。 さっそく、自分の体で試してみると大成功。 だが、もとの体に戻れなくなってしまう。 周囲の人たちは、透明人間グリフィンに大騒ぎ。 グリフィンはみんなから化け物扱いされ、だんだんと悪い心の人間になっていく。 そして、悲しい結末が彼を待っていた----。 それは、科学の力を自分の欲望のためだけに使おうとした人間のみじめな最期だった。 ≪科学の力を正しく使ってほしい≫というウェルズのメッセージが込められた作品です。 ◇ウェルズと読書 さて、お話を元に戻しましょう。 ウェルズは8歳の時、大けがをしました。 「あいててててて・・・」 友達に押し倒されて、足の骨を折ってしまったウェルズ 。 しかし、この怪我が治るまでの間、ウェルズはベッドの上で、旅行、探検、 そして自然史など、たくさんの本を読むことができました。 「なんて不思議なんだろう!本を読むと心の世界が広がっていく」 読書の楽しさを知ったウェルズは、この怪我以来、 学校でも仕事場でも、本を読んで読みまくりました。 そして、読書をきっかけにますます勉強好きになっていくのです。 「ボクには、まだ知らないことがたくさんある。 この宇宙はどうなっているのか?人間はどこから来て、どこに行くのか?」 「もっと勉強したい」という思いを捨てられないウェルズは、 18歳になると、奨学金をもらうための試験を受け、みごとに合格。 ロンドン理科師範学校(のちのロンドン大学理学部)に入学できることになりました。 「やったぞ!これで、思いっきり勉強ができる」 青年ウェルズの心は、希望に燃えていました。 しかし、行く手には大ピンチが待ち受けていたのです。 (つづく) |
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H・G・ウェルズ と言えば、忘れてはならない本があります。「人間の権利」これをよめば、彼の哲学、考え方がわかります。そして彼の作品に流れてる、ヒューマニズムがわかるとおもいます。
あまり知られていないことですが、H・G・ウェルズはいまの「日本国憲法」にも深くかかわっている人のひとりです。
2013/6/25(火) 午前 5:30 [ 竹林の粗忽者 ]