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トコリキ島からフィジー本島へ戻るヘリコプターの中から 二つの島が見えてきた。ビーチコマー島とトレジャー・アイランド。 両方リゾート・アイランドなので宿泊することができる。 滞在者は、さぞかしサンゴの海を楽しめることだろう... 今度は無人島が見えてきた。 丸い島の形といい、サンゴ礁の海にかこまれたロケーションといい、 生い茂った緑といい、一見して理想の楽園かと思うが サンゴ島の自然はそれほど甘くはない。 地面を掘っても井戸水は出ず、出てくるのは海水。 雨は降るけれど、地面は水はけが良すぎて真水を貯えられない。 緑はある。もしヤシの木が生えているなら、この塩っぽい土壌の上であっても その実から塩辛くない果汁が得られる。 しかし見たところヤシの木は生えていないし 日照りや驟雨をしのぐ木陰も無い。 おそらくこの島は出現してからそれほど永くはないのだろう。 このような土壌にはイモも育たない。 今のところ、おそらく食物にならぬような植物しか生えていないのだろう。 人影が見えない。 と、酸っぱいブドウのようなことを考えているうちに、 ビチ・レブ(フィジー本島)が見えてきた。 離島での滞在は終わった。文明と人ごみの世界への入口だ。 さて最近では温暖化による海面の上昇が危惧されている。 海面上昇速度が速いと、造礁サンゴの生育速度が追いつけなくなる。 フィジーの離島において、仮に上のリゾート・アイランドが海に浸かってしまった場合、住民はボートに乗り込んで本島へ非難すればよい。 東京湾沿岸の海抜が低い地域の場合、ベネツィアのような街を目指すか、 あるいは群馬県や栃木県のように標高が高い所へ移住することができよう。 しかし、モルジブやツバルのように、国全体がサンゴ島の上に存在する場合、 住民が移住できる場所は自国には無い。 難民として近隣の国に受け入れてもらう他なかろう。 ノアの箱舟の時代が再来するのだろうか。
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フィジー
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トコリキからビチレブ島への飛行の間に、サンゴが海面すれすれまで隆起した場所があった。 一般に頑丈なサンゴ礁を形成するような造礁サンゴは褐虫藻と共生することにより生きており、光があたらない水深では褐虫藻が光合成できないため、造礁サンゴは生きられない(文献1)。一方サンゴは海面上に露出すると干上がってしまうためやはり生きられない。従って造礁サンゴが成長できるのは、海面下のあまり深くはない限られた水深の範囲である。 モルジブで見られるような環礁atollや、タヒチのボラボラ島のようなホ礁barrier reefは、大昔にあった陸や島が永い年月をかけて海底へ沈降していく周囲に、サンゴ礁が上方へ向って徐々に成長し続けた結果形成された地形であると説明されている(文献2)。 海面スレスレのサンゴ島が散在するこの海域も、陸地が徐々に沈降してきた区域と考えられる。 上の写真では、砂州がわずかに海面上に露出している。 下の写真はできそこないの環礁のような姿ではあるが、中央に礁湖lagoonが形成されている。 こんな青い礁湖を見ると、中につかって泳いでみたくなる。 しかしこのような場所でシュノーケルをすると、真っ白な砂や死んだサンゴが堆積しただけの殺風景な海底が広がっていることが多い。 環礁の外側の外洋に面した深緑色の場所の方が、生き生きとしたサンゴや熱帯魚の群れを見られる。 海底にたくわえれえた大量の白い沈殿物が、大風や大波によってサンゴ礁の上に積み上げられた場合に、上の写真のような砂州のサンゴ島ができると考えられる。 下の写真の場所でも、今後例えば猛烈なサイクロンに見舞われた後などに、白砂のサンゴ島が形成される可能性がある。 (文献1)「サンゴ礁と海の生き物たち」中村庸夫著,2006,誠文堂新光社
(文献2)「ビーグル号航海記」第20章,チャールズ・ダーウィン著,島地威雄訳,1961,岩波文庫 |
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トコリキ島で 最後の朝を迎える。 フィジーには、お別れの曲がある。 『イサ・レイ』 A イーサイーサー。ブーラーギーラーサディーナー。
ノームラーコー。アウナーラーラーワ キーナー。
A ザーバベーカー。コーアーマー イーザカーバー。ノームラーコー。アウナーセーガーニ ラーサー。 S イーサレーイー (refrain) ナノークーラーラワー (refrain) ニーコサーナー ボードーエー ナーマターカー (refrain) バーイナヌーマー ナノーダトーウラーサー マーイトコリキー ナーヌーマーティーコガー。 |
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ある日、ビーチから入り海に顔をつけたところ、目の前が銀色! 初めて着用するマスクに異常が? と思い すぐに立ち上がったものの、全く異状なし。 再度海に入ると、全然普通の海。 はて? このナゾを、トコリキから去る前日の夕方、 ニュージーランドから来た男の子が解明してくれた。 夕暮れの渚で、男の子が一人で、波打ち際に何度も走っていく。 何かを追っているようだ。 水面を見ると、一面にさざ波が発っては、ひっきりなしに 向きを変えている。 びっしりと、小魚の群れが波打ち際に押し寄せていたのだ。 群れは、すごい速さで動いていく。 あの日の銀色は、小魚の群れだったにちがいない。 |
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裏山ウォーキングからリゾートへ戻ると |



