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5月 3日 潮岬でひろった貝殻のうち、フデ貝です。
小さい貝ですが、フデ貝はなかなか関東ではお目にかかれず、紀伊半島以南の種もあって、はるばる潮岬まで来たカイがありました。
大西洋にもフデガイがいるのか、『ノースカロライナ貝殻図鑑』 (1) を見ると、1種だけ載っていました。
ここで紹介されている ハーレクインフデガイ は、色彩が潮岬でひろったものより鮮やかなヌリワケですが、地が茶色で白の模様がついていること、縦に出っ張ったうねがあること、ちょっと太めの紡錘形であること、など 3305, 16912 と似ています。 これら3種と同じ Pusia 属に属すると思われるのですが、学名が Vexillum (ミノムシ属) になっているのは、どういう理由でしょうか。
Vexillum histrio (Reeve) 0.5千件
Pusia histrio 0.1千件
さて、潮岬のフデガイの中に、フトコロガイのような形の 16714 (下図 b) がありました。
16714 b: 色柄は ヒメクリイロヤタテ、大きさ形はフトコロガイに似ています。
殻口の軸側に、4筋のネジ山が切られている点は、フデガイの特徴です。
殻口の袖の内側にはギザギザが無く、ギザギザがあるフトコロガイとはちがい、やはりフデガイです。
『貝類』 図鑑 (2) を見ますと、p.167 の フトコロヤタテ に近いのですが、図鑑では 『奄美以南』 とあり、潮岬ではフライングになります。 小さいのでフトコロヤタテと呼びたいところですが、ヒメヤタテが摩耗したもののようです。
16714 a: 南太平洋のフィジー産で、bよりも大型です。 ドングリみたいなので、ドングリフデと呼びたいところですが、白い帯がめぐっているので、16714 b と同じ ヒメヤタテ のようです。
(1) “Seashells of North Carolina”, Hugh J. Porter & Lynn Houser, NorthCarolina Sea Grant College Program, 2010, UNC-SG-97-03
(2) 世界文化生物大図鑑『貝類』2004, 世界文化社
No.16511 は本書p.165の11番目の貝
(3) 標準原色図鑑全集 第3巻 『貝』, 波部忠重・小菅貞男, 1967, 保育社
No.3302 は本書 Plate 33 の 2番 の貝
M Miters, Shionomisaki, Wakayama, Japan.
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貝と海
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5月21日 東京湾 磯根崎でひろったツメタ貝。
対岸の鎌倉由比ヶ浜でひろったものよりも殻がぶ厚かった。
左) 鎌倉由比ヶ浜。 殻が薄い。 臍盤が茶色で対になっている。
中) 磯根崎。 殻が厚く重い。 臍盤は融解したように厚く伸びほぼ臍を覆いかくす。
右) 磯根崎。 殻が白っぽく厚くて重い。 臍盤は無く臍孔がC型。
右はツメタガイと違う種類に見えるので調べてみたところ、
きいこさんのブログが、判別に大変役立ちました。
右(下図で上段)の貝は 『ウチヤマタマツバキ』 のようです。
H: 殻高さ (mm) D: 殻径 (mm) D/H: 扁平度 (100%のときほぼ球形) 1824c は臍盤が融解したようにねじれながら下方に伸び、ほぼ臍孔をふさいでいるので、『ホソヤツメタ』 と呼ばれるタイプかもしれない。
1824d は臍盤が融解しはじめているようで、それでも黄褐色の一対の臍盤は見えていて、臍孔も完全に覆われずすき間がある。 『ホソヤツメタ』 になろうとしているツメタ貝のように見える。
鎌倉は東京湾の外側にあって相模湾に面す。
磯根崎は東京湾の中にあって外海ではないが、潮の満ち干にともなう潮の流れが激しいため、海岸に多数の貝殻が打ち上げられているのではないだろうか。 殻が外海の鎌倉産よりもぶあついのは、東京湾内では栄養とりわけカルシウムが豊富ということだろうか?
鎌倉由比ヶ浜の海が荒れた雨上がりの日に、浜に打ち上げられていたツメタ貝
生きたツメタ貝は美しい。 臍盤は青紫色をしているようだ。
市場貝類図鑑 によると、煮て食べると美味らしい。
大西洋のツメタ貝について 『ノースカロライナ貝殻図鑑』 (1) で調べると、米国では 『シャーク・アイ(サメの眼)』 と呼ばれている。
sharkeye shell: 500千件
bladdermoon snail: 5千件
Neveritaduplicata: 7千件
Neveritadidyma: 4千件
鎌倉の由比ヶ浜でひろったツメタ貝は、『シャーク・アイ』 のようだ。
潟見人さんのツメタガイ
三重のタマガイのおヘソ
(1) “Seashells of North Carolina”, Hugh J. Porter & LynnHouser, North Carolina Sea Grant College Program, 2010, UNC-SG-97-03
Isonezaki, Tokyo bay, Yuigahama, Kamakura, Tsumetagai
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ご不便おかけして申し訳ありません。
5月21日(土)
東京湾、千葉県富津市の磯根崎まで出かけました。
場所は このあたり で、最寄り駅は内房線の大貫駅なのですが、この日は車ででかけました。
ひさしぶりのアクアライン、通行料が800円くらいに安くなったと思っていたのですが、うちの車はETCを搭載しておらず、3000円以上取られました。 おまけに以前よりも渋滞して通過に時間かかりました(がっかり)。
磯根崎は富津岬の南にあって、近くの漁港の駐車場に車を停めました。
この日は大潮の引き潮だったので、磯根崎の裏側まで歩いて行けます。
潮が引いて、干潟が現れています。
少し掘り返してみましたが、貝は出てきませんでした。
対岸は、神奈川県三浦半島の浦賀〜久里浜あたりです。
磯根崎の裏にまわりました。
黒っぽい砂浜に、帯状にずっと貝殻が並んでおり、すごい貝だまりの海岸です。
ウチムラサキガイ、アカニシ、ツメタガイなどがいくらでも落ちています。
磯根崎の南側の海岸。
こちら方面にはこの先、東京湾観音や鋸山(のこぎりやま)などがあります。
アクアラインは車で一杯でしたが、ここまで来ると人も少なくて、いい感じです。
ただし満潮になると戻れなくなるかもしれませんので要注意です。
磯根崎でひろった貝を、いつものように帰ってから洗面器で洗いました。
アカニシ(口が赤い巻貝)
イタヤガイ(Shell石油のマークの二枚貝)
など、大型の貝殻をいくらでも拾うことができました。
Isonezaki, Futtsu city, Tokyo bay, sea shell, scallop, whelk, conch.
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潮岬郵便局から東の海岸に降りてひろった貝殻です。
摩耗したもの、砕けて割れたものが多かったけれど、比較的フレッシュでカラフルな貝殻もひろうことができました。
うすむらさき色のアサガオ貝は、泡(浮力体)を出して海面を浮遊して暮らします。
ノースカロライナの貝殻図鑑 (1) を開いてみると...
「海流まかせの結果、自分で動き回ることができなくなってしまった」 と記されている。 アサガオガイ科の貝は翼足目に分類され、腹足目に分類されるふつうの巻貝のように舌のような足を使って砂地や岩の上を這うことができないのだろう。 けれども海流に乗って移動できるおかげで、大西洋〜太平洋にわたる広範囲な海でくらしている。
付着して食べるクラゲ
◇ ルリ貝 North Carolinaの貝殻図鑑(1) p.102の記事:
ルリガイの貝殻は鎌倉で見かけたことがある。
潮岬でひろったのは、ルリガイよりも小型のヒメルリガイで、青紫色が濃い。
めぼしい貝は袋に入れてタンスに保管します。
(1) “Seashells of North Carolina”, Hugh J. Porter& Lynn Houser, North Carolina Sea Grant College Program, 2010, UNC-SG-97-03
(2) 世界文化生物大図鑑『貝類』2004, 世界文化社
アサガオガイ: 20千件
ルリガイ: 4千件
ミズゴマツボさん: カツオノカンムリの骨
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潮岬でひろった貝を、ほかの海岸でひろったものと比較。 今回はタカラ貝の一種、ナツメモドキです。
ナツメモドキは、南海の潮だまりでよく見られます(徳島県牟岐市): http://welcame.exblog.jp/12041322/
5309 m 宮古島 2006 購入品
5309 n 日南 1986
5309 s 白浜 1984
5309 k1-k2 潮岬 2016
5308 d1-d5 オーストラリア ダンク島 2007
タカラ貝は成長につれて殻が相似形をたもちながら大きくなるのではなく、幼貝のうちから殻のサイズはほぼ決まっています。 幼貝は殻が薄くて他の巻貝にちかい姿をしています。
上図で殻口が正面(カメラに向かって真上)に向いたものが幼貝です。幼貝は殻の口が成貝よりもひろく、歯は形成中で、まだ殻口の両側に歯が並んでいません(5309s, 26 mm)。
成長につれて外唇(写真の右側)が分厚くなり、殻の重心が移動しますので、殻口が右を向いたのが成貝です(5309 k2, 5308 d5)。 というわけで、貝殻の大きさで若いか大人かは決まりません(人間と同様)。
ナツメモドキの場合、殻の大きさだけでなく色あいも変異があって、上列のように、日本のナツメモドキでは黄色っぽい地に茶色の細かい斑点がある貝が、摩耗するほど青白くなるようです。
一方で、下列のオーストラリア産はどれも小型で(16〜23 mm)、あまり摩耗していなくても青っぽい色をしています。
日本産のうち 5309 k1 はオーストラリア産に近い外観で、殻の色合いは摩耗の度合いだけでなくて、育った海域や殻の大きさとも関係ありそうです。
海流の図はWikipediaからお借りしました。
オーストラリアで貝ひろいしたのは北東部ケアンズ近くで、海流は南へ流れている。その後南極の北を通ってチリ方向へ循環し、黒潮に乗るとすれば南米からニューギニアの北へ戻ってきた場合だ。 ニューギニアの北は、黒潮の発生源に近い。 逆に黒潮が北米へ到達した後は北太平洋を循環し、オーストラリア南東部に達するのは難しい。
というわけで、オーストラリアの貝が黒潮に乗る機会は少なそうなので、日本とオーストラリアで貝の姿が違っているのは当然なのだろう。
Cypraeidae, Cowry, Erronea erronea, Japan, Austrarlia
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