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ヤツシロガイ ヤツシロガイ科 Tonnidae
2012年5月3日
静岡県湖西市新居町の浜名湖入口外側の砂浜へ、カズラガイを拾いに行ったときに、大型の巻貝を見かけた。ヤツシロガイ で殻高 89 mm, 殻幅 78 mm。
世界文化生物大図鑑「貝類」(1) のヤツシロガイの項を見ると
『材木座海産貝類』 によるヤツシロガイのレア度は★★(時々落ちています)で、盤足目のページの上から90%程のところに紹介されている。神奈川県鎌倉市の海岸でも普通に見かける巻貝だが、殻が薄いので割れていることが多い。
身は食べられるが、特に美味しいわけではないらしい(市場魚貝類図鑑)。
肉食性の貝で、ナマコを捕って食べるそうだ。
ヤツシロガイの類は英語では「酒樽(tun)」と呼ばれる。
『ノースカロライナの貝図鑑』(2) には1種類、giant tun (大酒樽) が紹介されている。
とあり、ノースカロライナの giant tun (大酒樽) と日本の ヤツシロガイ の記述は大きさを除き、よく一致している。 図鑑(1)によると、ヤツシロガイ科のホロガイは、『沖縄諸島以南に分布、浅海の砂底に生息。殻高 20 cm に達し、球形』 とある。 ホロガイの方が giant tun に近そうだ。
オオミヤシロガイ (Giant tun) Tonna galea (Linnaeus, 1758) が紹介されている。
また 『世界の貝』 Tonnidae / ヤツシロガイ科 でも Tonna galea がオオミヤシロガイ、および Tonna galea brasiliana が ブラジルオオミヤシロガイ と紹介されている。
ミヤシロガイの方がヤツシロガイよりも螺塔が高い。
sutargateさんのミヤシロガイ
ヤツシロガイよりも繊細な感じの貝殻で、ヤツシロガイほど簡単にひろうことはできません。
ヤツシロガイ と ミヤシロガイ
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貝と海
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ご不便おかけし申し訳ありません。
前回、カズラガイとホネガイの殻の様子を見て、いずれも120度間隔で節(縦肋またはトゲ)があることから、これらの巻貝は殻口から螺旋方向に成長するのではなく、『殻全体が膨張する』 と結論したのですが、それは真っ赤なウソでした。
くりハチさんからコメントをいただき知ったのですが、
『成長過程で縦張肋ができると、その時点でいったん成長が止まる。で、次の縦張肋まで再びのびる際は成長がずいぶん早い』 そうです。
左) 宮崎 石波浜の成貝 右) 愛知県 渥美半島の若貝 そこで、渥美半島でひろったカズラガイを見ますと、縦張肋から薄い殻が成長しているところではありませんか!
貝の図鑑には成長した貝が載っていますが、このような成長途中の姿はめずらしいので、以下、うまく撮れませんでしたが写真でご紹介します。
左が宮崎県 石波浜の成貝、右が愛知県 渥美半島の若貝です。
普通の図鑑の向きの写真。
右の渥美の殻は「福井の打上げ貝」(1)で紹介されている タイコガイの幼貝 の姿と似ています。
ということは、ひどく割れて殻口外側の縦肋を失っていると思った渥美のカズラガイは、それほどひどくは割れておらず、もともとほぼこのような姿だったと考えられます。
殻口左側の縦肋の位置を揃えてみました。右の貝で薄い殻が成長しています。 下端の水管出口は、貝の中身本体の成長と合わせて向きをずらしていくようです。
手前: もと殻口外側にあった縦肋から薄い殻を成長させています。 以下 2011.11.26 写真追加しました
0度の縦張肋の位置を揃えて背面からみたところ 水管出口の向きをほぼ揃えてみたところ なお、若貝が生きていたときには薄殻は−240度あたりまで伸びていて、打ち上げられた際に上記の位置まで欠けてしまったのかもしれない。
成貝の -240度 と 若貝の 0度 を揃えて見たところ。 若貝はこのあと成長して +240度 のところまで殻を成長させるはずだった。
成長予定の +240度 先の殻肩の部分に白い痕が見え、貝本体が準備を進めていたことがうかがわれる。
成長が完了したとき、殻口は成貝のようにめくれて肥厚し 0度 の縦肋となる。
そのとき、前の 0度 の位置は −240度 となり、左の成貝と同じ位置関係になる。
不運にして右の若貝は成長を遂げずに浜に打ち上げられてしまった。
(注) ここでご紹介している カズラガイ は正しくは「ナガカズラガイ」です。古い保育社の貝図鑑 (2) にはカズラガイとナガカズラガイが図示されていて、『内海の型は丸みがあり、ら溝は顕著に全体をおおう。外洋の型は細く、ら溝は不めいりょうでなめらかになり、ナガカズラガイという』 と記されています。なお、内海と外洋の違いというよりは、太平洋側にはナガカズラ、日本海側にはカズラガイが多いそうです(3)。また、丸みを帯びたカズラガイでは第2・第3の肋が認められないことが、ナガカズラよりも多いようです(4)(5)(6)。
(1) 福井の打上げ貝: http://fukuishell.exblog.jp/10597026/ タイコガイの幼貝と成貝
『幼貝は外唇のめくれが見られない』。こちらのタイコガイの幼貝の姿は、上の渥美のカズラガイと似ています。殻口部外側に縦張肋が無いのです。
(2) 標準原色図鑑全集 第3巻 『貝』, 波部忠重・小菅貞男, 保育社, 1967
(6) 縦肋が無いナガカズラ: http://www.geocities.jp/kazura32/araikaigan.html
上の情報の多くは sut*r*at* さんの『海の貝っていいね!』 から引用させていただきました。
深く感謝いたします。
内房の貝
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左) カズラガイ(宮崎 石波浜) 右) ホネガイ(市販品)
ノースカロライナのスコッチボンネットに似た貝を、日本でも見かけることがある。
宮崎県の石波浜と愛知県の渥美半島で カズラガイ(ナガカズラガイ)をひろった。
カズラガイは、スコッチボンネットと同じトウカムリ科タイコガイ属 Phalium に属し、英名ではストライプ ボンネットという(タテ方向に縞模様がある)。
前回見たように、ノースカロライナの貝図鑑のスコッチボンネットの説明には
『ときおり太くなった肋が厚い外唇の名残として認められる;
Occasionally, thickened rib indicates remains of earlier thick outer lip』
と記載されている。
「ときおり」と記されているこの太い肋は、カズラガイでは必ず認められ(タイコガイでも認められる)、それは殻頂から見て120度の間隔で螺旋を区切る節を形成している。3本の肋のうち第1は殻口の外唇にそって、第2は殻口の内唇として殻肩から下端まで伸びている。一方、第3の肋は一番外側の螺層には顕れておらず、一巻内側の螺層に存在し、肩の部分にだけ露出している。さらによく見ると、第1・第2の肋も螺層ひとつ飛ばして内側で出っ張っている。つまるところ120度間隔に見えた節は、正しくは240度間隔で形成されている。
殻頂点方向から見たところ
この殻頂点からの様子を見て、らせんの内側の肋は成長過程の若い頃の外唇であって、成長するにつれて螺層の内側にめりこんだ、と「ノースカロライナ貝図鑑」の記載と同じように初めは考えていた。しかし貝殻を眺めているうちに、そのようなことが本当に可能なのか疑問をいだくようになった。成長する貝殻の口(外唇)が第1の肋を伴ったまま第2・第3の肋へ接近してそれを覆いかくすことが可能だろうか?
ホネガイ(市販品)を見て、この疑念は強まった。
写真右のホネガイをご覧いただきたい。ホネガイのトゲの列も殻頂から見て120度ごとの間隔で3つの列を作っていて、そのうちの第1列は殻口の外唇に沿っており、カズラガイと似た構造を有する。カズラガイの肋なら、後で成長した螺層でおおわれて内側にめり込むということが起こりそうに思われるが、ホネガイの長いトゲが新たに成長した螺層で覆われて、古いものが埋もれるとは考えられない。つまりホネガイのトゲは貝殻が小さい頃からつねに120度間隔を保って存在していたはずだ。
これと同様に、カズラガイの太い肋も120度(240度)の間隔で存在しつづけたのであって、古い内側の肋の内に新しい肋を伴った層が覆いかぶさるのではなく、殻の形状を保ったまま小さい殻から大きい殻へと成長したものと考えられる。
2枚貝では、殻の腹縁にそって新たな層が次々に生成して成長するのは明らかである。巻貝もそれと同様に殻口方向へむかってどんどん螺旋を伸ばして成長するものと初めは考えていたが、カズラガイとホネガイを観察してからは、巻貝は殻全体が膨張して成長するものと考えるようになった。
ところで、カズラガイの太い縦肋の角度は外側と内側とで揃って120度(240度)をなしているのに対し、ホネガイのトゲの列がなす角度は外側と内側とですこしずつずれていて(およそ110度の角度をなす)、ゆるやかな渦のように配列される。
また、カズラガイの殻口の歯のような刻みが幼貝のうちから存在するのか、あるいはタカラガイのように成長するにつれ殻の厚みを増し歯がきざまれるのか、など貝殻の成長過程は必ずしも自明なわけではなく、稚貝〜成貝にかけてのちがいを同じ種の間でくわしく観察してみると、新たな発見がありそうだ。
宮崎県 石波浜に打ち寄せる波
ホネガイの成長
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ノースカロライナ州の旗
ノースカロライナ自然科学博物館でお土産を買った。(自分用)
ひとつめは絵葉書。ノースカロライナ州の貝 『スコッチボンネット』 (1) 。
はがきの裏には次のように説明されている
『 スコッチボンネット は1965年の公会議で指定されたノースカロライナ州の貝。この色どりも形も美しい貝は、海カタツムリ (phalium granulatum) の家で、嵐のとき、ときおりノースカロライナの海岸に打ち上げられる。』
(注) 海カタツムリとは巻貝の中身、サザエなら食べるところのことです
ふたつめは、ノースカロライナの貝図鑑 (2)、12$。
こちらの図鑑で調べると、スコッチボンネット は 『ヘルメット型の貝 (Cassidae:注1)』 の項に載っていて、以下のように記されてる。
形状: 9 cm。短い螺塔となめらかなあるいはときに節のある螺肋をもつ球状の貝殻。肩のあたりに螺軸方向に弱いうねがある。ときおり太くなった肋が厚い外唇の名残として認められる(注2)。殻口は広く、両側に溝をもつ。外唇は厚く歯をもつ。内唇の下部にはもりあがった皺をもつ滑層が形成される、殻蓋。 (注1) Cassidae トウカムリ科: Cassis トウカムリに代表され、タイコガイ属 Phalium やウラシマガイ属 Semicassis を含みます。
(注2) このような太い肋は同じタイコガイ属であるカズラガイではいつも認められ、一見若い頃の外唇の名残に見えるのですが、私はそうではないと考えます。次回くわしく説明します。
9月に 渥美半島でひろった カズラガイ と ウラシマガイ を、スコッチボンネットの絵葉書のようにならべてみた。
図鑑を見ると、このスコッチボンネットとカズラガイに限らず、あらゆる種類の貝が、南北アメリカ大陸で隔たれた大西洋と太平洋の両方に棲んでいることがわかる。
貝類など海の生き物の種類が最も豊富なのがフィリピン近海だといわれている(3)。新しい種がフィリピン近海で生まれると、西へは喜望峰を超えて大西洋へ到達する。東へは黒潮に乗って到達できる。10月に放送されたNHK 『ダーウィンが来た』で、石垣島で生まれた幼いアオウミガメが海流に乗ってアメリカ西海岸に到達したのち、大人に成長してふたたび石垣島へ戻るような話があった。広大な海は海流によって意外なほど撹拌されていると考えるべきだろう。それによって種はたがいに拡散する。
(1) The State Shell of North Caroline, “Scotch Bonnet”
Photo by Larry Link
© & Pub by APS, Inc. Web site: www.aps-1.com
2511 South Tryon St. Charlotte, NC 28203 (704) 222-5143
(2) “Seashells of North Carolina”
Hugh J. Porter & Lynn Houser
Photographs by Scott D. Taylor
Edited by Jeannie Faris Norris
North Carolina Sea Grant College Program
Box 8605, North Carolina State University Raleigh, NC 27695-8605
919/515-2454
UNC-SG-97-03
(3) 「サンゴ礁と海の生き物たち」中村庸夫著,2006,誠文堂新光社 |
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9月18日
愛知県 渥美半島の海岸で貝殻をひろいました。
海岸の様子は昨日の写真のように、砂浜が真っすぐ続き人がいません。
この砂浜に落ちている貝殻はどれも大型。
タイラギ がいくつも落ちていたほか、オウム貝も落ちていたのですが、あまりに大きいので拾いませんでした。
大きい貝はかさばって邪魔になるし欠けていることが多いので、拾わない習慣ですが
この海岸では大きい貝ばかり目についたので、大きいのも拾って持ち帰り
洗面器に入れて砂を洗い落しました。
生きた貝は本体が大きく殻からはみだして不気味ですが、美味いそうです。(市場魚介類図鑑)
乾かして箱に並べました。
オオトリ貝 の下の桃白色で少しマテガイ風の貝は、キヌタアゲマキですね。キヌタアゲマキ科に分類されていて、酒蒸しにすると美味いそうです。(市場魚介類図鑑)
8月に山形の 吹浦西浜 で発見しましたが、今回の方が全然大きいです。
いつも拾っては ベンケイ貝 かと思っても タマキ貝 であることが多いのですが、右下隅のかすれた栗色は ベンケイ貝 でしょう。
またいつも拾って ヒナ貝 かと思っても、マルヒナ や カガミ貝 ばっかりだったのですが、左下隅のは今度こそ ヒナ貝 でしょう。
外海の砂浜で期待できる種類の貝が落ちていて、巻貝も4種見つかりました。
中段左から、ヤツシロ貝、カズラ貝、ウラシマ貝、ツメタ貝でしょう。
ツメタ貝以外は相当欠けています。ウラシマ貝 は初めて。
近くに住んでいたら、毎週出かけたくなるような海岸でした。
タマウラシマ
ナガカズラ
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