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びわ湖ローカルエネルギー研究会
地域エネルギーとネットワーク


転載
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地熱発電、再び沸くか 政府が埋蔵調査テコ入れ
エコノフォーカス

政策研究
コラム(経済・政治)
2018/1/21 21:02
日本経済新聞 電子版
 訪日外国人客にも人気の「ONSEN」は日本が火山国ゆえに生まれた。日本は地熱発電という極めて安定した再生可能エネルギーの適地でもあるのに、消費電力に占める地熱の割合はわずか0.3%。原子力発電所の再稼働が滞る中、政府はこの割合を2030年に3倍の1%に引き上げるべく18年度から埋蔵調査のてこ入れに動く。石油危機などでエネルギーが心配になると注目されてきた地下の宝。再び沸くか。
 地熱発電は、地熱で熱せられた蒸気を使う。いわば地球をボイラーとした発電で、太陽光や風力と違って天候に左右されない。一定期間でどのくらい発電設備が働いたかを示す設備利用率は83%と、太陽光(12%)や風力(20%)よりずっと高い。効率が良いうえに、事業化すれば半永久的にエネルギー供給できる理想的な資源だ。
 潜在的な発電能力にあたる日本の地熱の資源量は2347万キロワット。米国、インドネシアに次ぐ世界3位だが発電に使っているのは53万キロワットにすぎない。資源量に対する利用率は約2%にとどまっており、潜在力に比べると開発が進んでいない。
 地熱発電用のタービンで東芝三菱重工業富士電機など日本企業が7割の世界シェアを占めるのに、肝心の発電事業では日本は遅れている。
 理由の一つは発電までに時間がかかること。広い国土から重力探査装置などを使って適地を探り当てるのはまさに宝探しで、掘削や環境調査などの事業化に平均14年かかる。太陽光の1年やバイオマスの5年、風力の8年に比べずっと長い。
 宝が眠っていそうな場所の8割は国立・国定公園に指定され、原則、掘削や新たな建物の建設ができない。候補地の多くが温泉地に近く、地元の反対が強いこともある。鹿児島県指宿市では地熱発電計画について、地元旅館業者らが湯量への影響が出るなどとして撤回を要求。全国で同じような反対運動は多い。
 2012年に再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)が始まり、燃料がいらない地熱発電は事業収益が見込みやすくなった。だが、導入量の増加は1.6万キロワット(導入前比3%増)。太陽光の3350万キロワット増(6.7倍)とは比べものにならない。
 地熱の導入目標は今の3倍の150万キロワット程度だ。実現すれば国内消費電力の1%になる。政府は今後、事業者への後押しを強める。
 経済産業省は18年度に指針を改定し、環境への影響を調べる「アセスメント」を書面と実地で同時に進められるようにする。段階を踏んでいた従来と比べ、期間を2年程度に半減できる。
 18年度からは環境や埋蔵調査をする地点をこれまでの2倍に増やし、地熱発電ができそうな地域の候補を積極的に示す。これらの施策に採掘技術の進化も踏まえると、事業化の期間を14年から10年に短くできる。
 国立公園内の開発については「特別保護地区」を除き規制を緩和し、全資源量の7割程度を開発できるようにしている。
 
◇ ◇ ◇
 日本における地熱発電開発は1960年代にさかのぼる。66年に松川発電所(岩手県、出力2万3500キロワット)が国内初の地熱発電所として稼働した。
 73年の第1次石油危機で電力料金が1年で2倍近くになったときに一躍脚光を浴びる。政府は石油依存からの脱却を模索するなかで地熱に支援制度を設け、70年代には4基で計12万キロワット超、80〜90年代に計34万キロワットあまりを稼働させた。
 しかし開発には膨大な時間と費用がかかり、1カ所あたりの出力は数万キロワットと小さい。1基で100万キロワットの出力を備える原子力などに政府の目は向き、地熱は97年には新エネルギー法の対象からも外れ、長らく忘れ去られてしまった。
 しかし2012年の再生エネの固定価格買い取り制度では、地熱も対象となり、環境調査が不要な出力7500キロワット以下の発電所の建設が相次ぐ。三菱マテリアルなどは23年ぶりに出力1万キロワット超の大型の山葵(わさび)沢発電所(秋田県)を19年度にも稼働する計画だ。クリーンエネルギーの地熱がまた注目されている。
(古賀雄大)

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