ここから本文です
びわ湖ローカルエネルギー研究会
地域エネルギーとネットワーク

書庫全体表示

記事検索
検索

全1095ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

[ 前のページ | 次のページ ]


転載
---------------------------------------------------------------------

再エネの系統連系「神話」を解体する
「再エネは不安定なのでバックアップ電源が必要」・・・。相変わらず巷ではそのような神話が跋扈しています。ということは本コラムでは繰り返し述べてきましたが、この議論を非常にわかりやすく述べた報告書がつい最近、国際エネルギー機関(IEA)から公表されましたので、本コラムでもいち早く紹介したいと思います。

副題に「政策決定者のための手引き」とあるように、この報告書は専門家向けではなく、政策決定者やこの問題に関心のある一般の方に書かれた文書です。同書から一部引用し(p.9〜11)筆者が仮訳したものを以下に紹介します。

系統連系にまつわる神話と現実

風力および太陽光発電の系統連系に関する多くの主張は、それらの電源が電力系統に導入され始めた直後から起こり得ます。また、そのような主張が誤解であることを立証するためにはまだ充分な知見がない段階で起こり得ます。

神話1:天候依存の変動は制御できない。

最も顕著な主張をひとことでまとめると、おそらく「風力・太陽光発電は短期的に非常に大きく変動し、電源として不安定である」となるでしょう。この主張は、我々は日常的な経験から一見非常に最もらしく聞こえます。風速が突然変化すると、変動性再エネの変動出力を受け入れるためには火力発電の出力を急速に変化させることが必要になるかもしれません。同様に、雲が通過すると急激に日射量が変化し、太陽光パネルの出力も急激に変化するでしょう。しかし、このような感覚論的な理解は、2つの重要な要素を見落しています。

まず一点目として、電力需要そのものがランダムで短期的変動を持つ、ということです。結論から言うと、全ての電力系統はこのような変動性に対処するためのメカニズムを有しています。風力・太陽光の導入が始まったばかりの段階(訳者中:導入率約3%未満)では、これらの出力変動は需要の変動の「誤差範囲内」となる傾向にあります。

電力系統により多くの変動性再エネ電源が加わると、二番目の効果が現れてきます。電力系統の中のさまざまな場所に位置するさまざまな種類の変動性再エネ電源から出力される短期的変動は、お互いキャンセルされる傾向にあります(訳者中:いわゆる「集合化」「ならし効果」のこと)。つまり、秒単位の変動はそれほど重要ではなく、大きな変動はむしろ数時間単位のタイムスケールで発生する傾向にあります。単一の発電所が周囲に負の影響を与えるような状況もあり得ますが、これについては次項で後述します。

神話2:変動性再エネによって従来型電源のコストが上昇する。

次によくある主張としては、「風力・太陽光発電からの変動は、従来型の制御可能な発電所に多大な責務を与え、それらの変動を調整するために急激に出力を変化させることを強いている」というものが挙げられます。

一般に、風力・太陽光が導入され始めたばかりの大きな電力系統ではこの主張は正しくありません。その理由は「神話1」と同じで、変動性再エネの導入率が低い段階では,その変動性は電力需要のそれよりもずっと小さく、結局、従来型電源にとって大きな変化はないということになります。

しかし、導入率が大きくなってくると、変動性再エネ出力の変動は他の発電所の発電パターンに影響を与え始めます。ただし、これまで多くの電力系統における知見により、電力系統のトータルコストを大きく上げることなく、発電所を動的に運用する技術的能力を持たせることができることが明らかになっています。リアルタイム(実供給時間)に近い時間帯で変動性再エネ出力を予測し発電スケジュールを調整すると、これが負の影響を緩和する低コストで効果的なツールとなり、電力系統全体でコストが上昇してしまう手段を取ることを防ぐことができます。
             

神話3:変動性再エネには1対1のバックアップが必要。

この主張は、「風力・太陽光は信頼できない電源である。したがって従来型電源によるバックアップが必要となり、それは非常に高コストである」という形でよく言われます。変動性再エネ電源は天候によって変動するのは確かですが、そのことは1MWの再エネに対して1MWの従来型発電所が必要になるということを意味するわけではありません。

例えば、1MWの太陽光発電は年間平均で10〜30%で運転しており、これは設備利用率として知られています。実際の値は風力・太陽光の「質」に依存し、これは地理的要因によって異なります(例えば風力発電の設備利用率は20〜50%とさまざまです)。長期的計画のタイムスケールで考えると、これは夜間太陽が照らなかったり風が吹かなかったりといった時にこれをカバーするために必要な量となります。

数秒から数日といった短期的なタイムスケールで考えると、変動性再エネの出力は天候により変動します。太陽光の出力は一日の時間帯によって変わりますが、定格に対しておよそ20〜30%となる可能性があります(太陽光発電は必ずしも太陽の直射光を必要とするものではないので、ゼロになることはありません)。しかし、変動性再エネが広域に設置されていれば、この変動は減少します。隣接する国や電力系統への連系線により、このエリアは非常に広がります。このことは、設置された変動性再エネの「容量価値」を向上させる効果があります(訳注:原文では図10が参照されているがここでは省略)。

「容量価値」もしくは「容量クレジット」は、変動電源がどの程度まで従来型電源と同様に信頼できるかを示す指標です(訳注:日本には独自の「kW価値」という指標がありますが、これとは少し定義が異なります)。変動電源の容量価値は、場所ごとによって異なり、電力系統のサイズによっても異なります。このことは非常に重要であり、「バックアップ」神話に対する解答は唯一つではありません。風力・太陽光発電の出力は相補的なため、それらを組み合わせることによって容量価値はさらに向上します。

変動性再エネと電力需要のピークのタイミングはもう一つの大きな問題です。例えば、太陽光発電は一日のうち最も暑い時間帯にピークを迎えるので、エアコンによる大きな需要はこのパターンによくマッチし、太陽光発電の容量価値はより大きくなります。風力発電の出力はより規則的ではないため、この需要との相補性という点では便益は小さくなります。

結局、電力系統では、ある特定の発電所群をバックアップすることを想定しているわけではない、ということ知っておくことが基本です。従来は冗長な設備によって行われてきましたが、最近では連系線でつながれた設備をより柔軟で動的な運用することも増えており、電力系統「全体」で需要に追従する能力こそが重要なのです。

そしてこの問題を考える場合、考慮するのは発電所だけではありません。変動性再エネの容量価値は比較的低いですが、それを管理するための低コストな戦略はほかにも存在します。需要側応答(DSR)は変動性再エネが利用可能な時に需要をシフトさせるために使うことができます。蓄電池は既存の貯水池式水力発電や揚水発電とともに注目されつつあります。これらのエネルギー貯蔵は、変動性再エネが余ってしまった時に蓄電し、変動性再エネの出力が低い時に放電することができます。DSRや蓄電池はまだ萌芽的段階ですが、将来大きなポテンシャルが期待されています。

神話4:変動性再エネに必要な系統コストは非常に高い。

以上の3つの主張は変動性再エネの時間軸に対する出力の特性に関係するものでした。それ以外の主張として、「風力・太陽光発電は需要地から非常に遠く、電力系統に接続するには非常に高コストである」など、変動性再エネの空間的配置に関する主張もあります。風力・太陽光発電に最も適した場所は人が住むにはあまり適さない遠隔地である場合が多い、ということは事実です。砂漠は地球上で最も太陽が照る場所ですし、開けた風の強い平地に大規模人口密集地が建設されることはほとんどありません。一方、風況の良い洋上風力発電への近接は重要になってくるでしょう。

このような資源にアクセスするためには、既存の電力系統の拡張や増強のためのコストがかかります。このコストは、地理的要因や土地の価格などによって大きく変わります。米国の系統連系研究を網羅的に調査した解説論文によると、風力発電のコストのおよそ15%(中央値)が送電線の拡張のためのコストに相当することが明らかになっています。ただし、そのコストは0〜1,500ドル/kWと大きな幅を持つことも明らかになっています。経験則によると、系統インフラのコストは発電設備の10分の1に過ぎず、送電線を増やすことにより送電混雑を減らし信頼性を向上するという他の多くの便益を生み出す可能性があります。

さらに、技術の進歩に伴いコストが低減することにより、必ずしも最良の風況や日射量ではない場所にもコスト効率のよい変動性再エネが建設されることになります。このことにより柔軟性がさらに増し、系統コストをさらに低減することが可能となります。

神話5:電力貯蔵は必ずなくてはならない。

「電力貯蔵を新規に追加しなければ、風力や太陽光の変動を平滑化することはできない」という主張もよく聞かれます。変動性再エネからの変動成分に注目すると、それを平滑化するためにはこの出力に対するバッファが明らかに必要だ、というのは非常に感覚論的に見えます。

しかしながら、他の神話と同じく、これには重要な要因が欠落しています。この神話の背後に隠された主な点は、ある段階に達すると変動性再エネを系統連系するためには電力系統の柔軟性が必要となる、ということですが、実はこれは変動性再エネの「第3段階」の特徴です(訳者中:「第3段階」は導入率が約15〜25%の国や地域に相当)。さらに、電力貯蔵だけが柔軟性を供給するわけではありません。需要側の変動は、火力発電や貯水池式水力発電などの制御可能な電源によって日常的に管理されています。DSRや他の電力系統からの融通など、柔軟性供給源は他にもたくさんあり、電力貯蔵はそれらの選択肢の中のひとつでしかありません。そして現在のところ、変動性再エネの導入率が20%に達したほとんどの国でも、電力貯蔵はそれほど重要視されていません(これらの国のほとんどは風力の方が支配的であり、一般に電力貯蔵は風力よりも太陽光に対しての方がコスト効率が高いとされています)。

神話6:変動性再エネによって電力系統が不安定になる。

電力系統は、これまで人類が作り上げた装置の中で最も複雑なもののうちのひとつに挙げられます。電力系統を安定に運用するための運用者の仕事は、常に監視・制御を行うことです。これは、常にバランスを保つために微調整を繰り返さなければならないという点で、自転車を乗るのと似ています。
自転車に乗る人ならば誰でもわかるとおり、非常にゆっくりとした速度でバランスを取るのは難しいですが、車輪が速く回ると、物理法則に則り慣性力のため自転車は安定します。これと似たような状況が電力系統でも起こっており、従来型電源の非常に大きな発電機やタービンが回転することにより、バランスを保つことができます。一方、風力・太陽光発電は従来型電源とは同じように接続されておらず(訳者中:風力・太陽光はインバータを介して電力系統に接続されているため)、慣性力を生み出すことができません。

「風力・太陽光発電は電力系統の慣性に貢献しておらず、電力系統を不安定にさせる」という最後の神話は、上記のようなことが元になっています。この慣性が問題になる状況は、2つの要因によって決まります。すなわち、ある瞬間にどれだけ変動性再エネ電源が発電しているかと、電力系統のサイズがどれだけか、ということです。電力系統の平均需要や最小需要に比べ変動性再エネの導入率が低い段階では、非常に小さな電力系統(例えばピーク電力が100〜数千MW)を除いては、この慣性問題はほとんど問題になりません。いかなる場合でも、変動性再エネが導入される初期段階では慣性は重要な要因になることはほとんどありません。さらに、フライホールや既存の風車の合成慣性(訳者中:近年のほとんどの商用風車は慣性を供給する機能を持っています)を利用するなど、電力系統に慣性を供給するための技術的選択肢は存在します。

さらに一般的に言うと、変動性再エネの最新技術は技術的にも成熟しており、電力系統の安定のために有用なさまざまな系統サービス(訳者中:周波数制御や無効電力供給などのアンシラリーサービス)を供給する能力を持っています。しかしながら、これらのサービスの提供やそのための補償を変動性再エネに義務づける法令はほとんどありません。このような義務やインセンティブがない限り、変動性再エネから系統サービスが供給されることはほとんどないでしょう。

IEA報告書がもたらす意義

以上、IEAの報告書からの一部引用を筆者の仮訳により紹介致しました。このような議論は10年以上に亘り専門研究者や実務者の間で議論されてきたことですが、ここで重要なことはこのような議論がIEAから公表されたという事実です。IEAは再エネだけでなく全てのエネルギーについて議論する場であり、高度な国際合意を必要とする組織です。そのような組織から再エネに関してこのような報告書が出ること自体、「世界は変わりつつある」ということを示すマイルストーンであるとも言えるでしょう。今回、この仮訳でいち早く日本に紹介することにより、この議論が日本にも浸透することを期待します。

開くトラックバック(0)







転載
-------------------------------------------------------------------

資源に影響を与えない地熱発電所、日本一の温泉県で動き出す

地熱発電で全国の先頭を走る大分県では、さまざまな方式で電力を作る。低温の蒸気と熱水を利用するバイナリー方式のほか、温泉水を使わずに地中の熱を吸収して発電する実証設備が世界で初めて運転に成功した。森林地帯と臨海工業地帯では大規模なバイオマス発電所が電力の供給を開始した。

2017年02月28日 09時00分 更新
[石田雅也,スマートジャパン]

 圧倒的な地熱発電の規模を誇る大分県の九重町(ここのえまち)で、新しい発電方式を採用した実証プラントが2016年9月に世界で初めて運転を開始した(図1)。ベンチャー企業のジャパン・ニュー・エナジー(JNEC)が京都大学と共同で開発した「JNEC地熱発電方式」を採用している。

http://image.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1702/28/mizuwake_chinetsu1.jpg
図1 「ジャパン・ニュー・エナジー水分発電所」の設備(画像をクリックすると拡大)。出典:ジャパン・ニュー・エナジー

 この発電方式の特徴は地中の温泉水を使わない点にある。通常の地熱発電設備は地中から高温の蒸気と熱水をくみ上げて、発電した後に熱水を地中に戻す方法をとる。温泉資源に影響を与える懸念があるため、温泉事業者などが発電所の建設に反対するケースも少なくない。

 JNEC地熱発電方式では地下1000メートル以上の深さまで、二重管構造の地中熱交換器を埋設する。地上から二重管の外側に水を加圧して送り込み、地中の熱で高温になった水を内側の管を通じてくみ上げる(図2)。地上に出た高温の熱水を減圧すると蒸気が発生して、タービンを回して発電する仕組みだ。このサイクルを続ければ、地中の温泉資源に影響を与えずに地熱を取り出すことができる。

http://image.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1702/28/mizuwake_chinetsu2.jpg
図2 「JNEC地熱発電方式」の仕組み。出典:ジャパン・ニュー・エナジー

 それに加えて発電所を建設できる対象の場所も広がる。従来のように地中で温泉水がたまっているところを特定する必要がなく、高温の地熱が分布している地域であれば二重管を埋設して熱を回収できる(図3)。地熱発電の大きな課題になっている開発期間の短縮と開発コストの低減につながる。

http://image.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1702/28/mizuwake_chinetsu3.jpg
図3 地熱発電所の建設に向けた掘削工事の様子。出典:中村建設

 ただし現在の実証プラントの発電能力は24kW(キロワット)と小さい。JNECと京都大学は性能向上の研究開発を続けて、2025年をめどに3万kW級の大規模な発電設備の建設を目指す。

 日本には世界で第3位の地熱資源量がありながら、環境保護や導入コストの問題で開発が進んでいない。温泉水に影響を与えない発電方式を低コストで実用化できれば、全国各地に広がっていく期待がふくらむ。

低温の熱水で発電量を増やす

 九重町では九州電力の大規模な地熱発電所が3カ所で稼働している。そのうちの1つ、「滝上(たきがみ)発電所」で新しい発電設備の建設が始まっている(図4)。地中からくみあげる蒸気と熱水は従来のままで、地熱発電の導入量を増やす試みだ。

http://image.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1702/28/takigami.jpg
図4 「滝上発電所」の全景。出典:九州電力

 滝上発電所は1996年に運転を開始して、発電能力は2万7500kWにのぼる。年間の発電量は1億9700万kWh(キロワット時)に達して、一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算すると5万5000世帯分に相当する。地中からくみ上げた蒸気と熱水のうち、高温の蒸気だけを発電に利用して、低温の熱水は使わずに地中に戻してきた(図5)。

http://image.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1702/28/takigami3.jpg
図5 「滝上発電所」の蒸気供給設備(画像をクリックすると発電設備も表示)。出典:九州電力

 滝上発電所では蒸気の供給を出光興産グループが担当して、その蒸気を使って九州電力が発電する分業体制をとっている。出光興産は発電に使っていなかった低温の熱水を利用できる地熱発電所を新たに建設中だ。低温でも蒸発する沸点の低い媒体を使って発電できる「バイナリー方式」を採用する。

 発電能力は5050kWで、2017年3月中に運転を開始する予定だ。バイナリー方式の地熱発電所では国内最大の規模になる(図6)。年間の発電量は3100万kWhを見込み、一般家庭の8600世帯分に匹敵する。この地熱発電所だけで九重町の総世帯数(3900世帯)の2倍以上に相当する電力を供給できる。

http://image.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1702/28/takigami1.jpg
図6 「滝上バイナリー発電所」の完成イメージ。出典:出光興産

 九重町にある地熱発電所の中で最も古い「大岳(おおたけ)発電所」でも、新たな取り組みが始まった(図7)。大岳発電所は1967年に運転を開始して、ちょうど50年目を迎えている。地熱を取り出す現在の設備を生かしたまま、発電機やタービンを更新して発電能力を増強する。地下からくみ上げる蒸気と熱水の量は変えずに、再生可能エネルギーの電力を増やす取り組みだ。

http://image.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1702/28/ootake_chinetsu4.jpg
図7 「大岳発電所」の所在地。出典:九州電力
 現在の発電能力は1万2500kWだが、同じ量の地熱資源を使いながら1万4500kWへ引き上げる。従来は高温の蒸気だけを使って発電する「シングルフラッシュ方式」を採用していた。新しい設備では低温の熱水も組み合わせて蒸気の量を増やす「ダブルフラッシュ方式」に進化させる(図8)。
http://image.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1702/28/ootake_chinetsu3.jpg
図8 更新後の地熱発電設備の仕組み(画像をクリックすると拡大)。出典:九州電力

 発電設備の更新には環境影響評価の手続きを実施してから工事に着手する必要がある。新しい発電機やタービンを収容する建屋は敷地内の別の場所に建設して工事期間を短縮する。約2年間の工事の後に、試運転を経て2020年12月に営業運転を開始できる見通しだ(図9)。

http://image.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1702/28/ootake_chinetsu5.jpg
図9 設備更新後の「大岳発電所」のイメージ(画像をクリックすると周辺地域も表示)。出典:九州電力

電力の自給率は全国トップクラス

 全国随一の温泉資源を誇る大分県では新しい地熱発電所の開発が進む一方で、太陽光や小水力発電、バイオマス発電の導入量も伸びてきた。固定価格買取制度の認定を受けた発電設備がすべて稼働すると、県内の全世帯数の2倍を超える電力を供給できる(図10)。すでに運転を開始した発電設備だけでも50%以上の世帯をカバーできる状況だ。

http://image.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1702/28/ranking2016_ooita.jpg
図10 固定価格買取制度の認定設備(2015年11月末時点)

 特に最近はバイオマス発電の拡大が目ざましい。2016年に入って大規模な木質バイオマス発電所が大分県内で相次いで運転を開始した。1カ所は南部の豊後大野市(ぶんごおおのし)で2016年8月に稼働した「豊後大野発電所」である(図11)。

http://image.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1702/28/ohno_biomas1.jpg
図11 「豊後大野発電所」の全景(画像をクリックすると拡大)。出典:ファーストエスコ

 発電能力は1万8000kWで、年間に330日の稼働を予定している。年間の発電量は1億2000万kWhを見込んでいて、一般家庭の3万3000世帯分の電力を供給できる。豊後大野市の総世帯数(1万6400世帯)の2倍に匹敵する規模だ。燃料は周辺地域の森林で発生する間伐材などを利用する。

 年間に消費する木質チップは21万トンにのぼる。発電所を運営するエフオングループは大分県の西部に広がる日田市(ひたし)でも木質バイオマス発電所を運転中だ。日田市の周辺地域から燃料の木材を集めて、県の北部と南部に分かれた2つのバイオマス発電所で共同の備蓄体制をとっている(図12)。木質バイオマス発電で課題になる燃料の安定確保を図るためだ。

http://image.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1702/28/ohno_biomas3.jpg
図12 大分県内で稼働する2カ所のバイオマス発電所を連携した運営体制。出典:エフオン豊後大野

 大規模な木質バイオマス発電所は臨海工業地帯でも動き出した。南部の佐伯市(さいきし)にある太平洋セメントの工場の構内では、発電能力5万kWの木質バイオマス発電所が2016年11月に運転を開始した(図13)。

http://image.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1702/28/saiki_biomas1.jpg
図13 「佐伯発電所」の全景。出典:イーレックス

 この木質バイオマス発電所では港に隣接する立地を生かして、東南アジアから輸入するパームヤシ殻(PKS)を燃料に利用する。PKSはヤシの実からパームオイルを抽出した後に出る廃棄物で、実の中に入っている大きな種の殻の部分を乾燥させて砕いたものだ(図14)。東南アジアでは大量のPKSが発生して処分が課題になっている。バイオマス発電に利用することで廃棄物の処理とCO2(二酸化炭素)の削減を両立できる。

http://image.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1702/28/saiki_biomas2.jpg
図14 燃料のパームヤシ殻。出典:イーレックス

 年間の発電量は3億1500万kWhを想定している。8万7500世帯分に相当する電力で、佐伯市の総世帯数(3万3500世帯)の2.6倍に匹敵する。バイオマス発電は再生可能エネルギーの中でも天候の影響を最も受けにくい。長期にわたって燃料を確保できれば、安定した電力源として有効だ。海外から輸入する木質の燃料も組み合わせながら、エネルギーを地産地消する手段として全国に広がり始めた。

開くトラックバック(0)


転載
-----------------------------------------------------------

建設通信新聞

関電工/オゾン泡でシリカ付着防止/バイナリ発電のメンテ低減

 関電工は、温泉水と井戸水の温度差を利用した地熱発電の一種であるバイナリ発電施設向けに、オゾンナノバブルを使ったスケール付着防止技術を確立した。井戸水にはシリカなどのスケール成分が含まれており、それが配管や冷却塔などに付着すると、熱交換率が下がり発電効率を低下させてしまう。実際の施設にオゾンナノバブル装置を設置した結果、従来の薬液注入装置と同等以上の付着防止効果を確認したほか、既に付着したスケールをはく離させる効果も見つかった。

 九州の地熱発電事業者が運用するバイナリ発電施設で効果を実証した。従来は薬液と循環水でスケール成分を管理していたが、2−3カ月に1回は発電機を止めて清掃する必要があった。特に、ガラス質になりやすいシリカが多い井戸水は注意が必要で、付着に伴う発電効率の低下やメンテナンスの増加が課題になっていた。

 関電工は強い酸化作用を持つオゾンと、水中に長期的に存在できるナノバブルを合わせた「オゾンナノバブル」に着目。その発生装置を取り付けて効果を検証した。

 オゾンナノバブルによる井戸水の改質試験では、注入後6時間でシリカ成分を約30%低減できた。約20日間、冷却塔内に新たなスケールの付着はなく、順調にバイナリ装置は発電していた。

 スケールの付着具合を測る指標の1つである冷却水系統の流量変化も少なく、薬液注入方式と同等の付着防止効果を確認した。薬液注入の場合は、排出基準を満たすために希釈排出が必要なケースもあるが、オゾンナノバブルは安全安心なため、井戸水を有効利用できるというメリットもある。また、オゾンナノバブルが既に付着してしまったスケールと反応し、それをはく離させる力があることも判明した。

 現在も実施設での試験を継続中で、長期的なスケール付着防止効果を調べている。今後は、ボイラー施設や水冷式変圧器といった水を使う装置などを念頭に、新たな分野への適用可能性も探っていく考えだ。
            
[ 2017-02-17  3面]

開くトラックバック(0)











転載
--------------------------------------------------------------------


北電、揚水発電所の利用率2%どまり
2017/2/18 7:00
情報元
日本経済新聞 電子版
http://www.nikkei.com/article/DGXLASFB17H8T_X10C17A2L41000/

 北海道電力が2014年に新設した揚水発電所の発電利用率が低迷している。15年度は約2%にとどまり、16年度も同程度で推移している。

 北電は低利用率を「火力発電所の計画外停止に備えて常に使える状況にしているため」と説明。ただ太陽光や風力など再生可能エネルギーの発電量の変動を吸収するために利用率を高め、再生エネの活用促進につなげるべきだとの声もある。

 北電は14年10月に道内で初めて純揚水発電所、京極発電所(京極町)の運転を始めた。15年11月には発電機を2台に増やし、最大出力は中規模火力発電所並みの40万キロワットになった。総工費は1600億円にもなる大規模事業で、26年度以降、さらに60万キロワットに能力を拡大する計画がある。

 京極発電所はダムが川をせき止めて造った下部調整池と、それより400メートル高い位置に人工で造った上部調整池で構成している。電気が余っている時間帯に電動ポンプで上部に水をくみ上げ、足りない時間帯に水を落として発電する。

 利用率が低いことについて、北電は「経済性の観点も大きい」と話す。揚水発電所は電力需要にあわせた運用が難しい原子力発電と組み合わせて利用することが多い。
 泊原子力発電所の運転が長期停止しており、揚水に多くの電気を使ってまで利用する利点が薄れているようだ。全国でも、ここ数年の揚水発電所の利用率は2〜3%だ。
 北電は京極発電所の利用目的について(1)太陽光や風力発電所の発電量の変動を吸収する(2)電力需要が増える時間帯に電力を供給する(3)火力発電所の計画外停止に備える――と、3点をあげる。

 実際、最近の北海道の需給実績では太陽光の発電量が増える昼間の電気で水を上部に上げ、需要が増える夕方から夜間に発電する事例が多い。

 ただ、多額の費用をかけて新設した電源の利用率低迷について、環境経済学が専門の北海道大学の吉田文和名誉教授は「太陽光や風力の変動対策にもっと使えば、(道内で制限している再生エネの)導入量をもっと増やせるはず」と指摘する。













開くトラックバック(0)



転載
----------------------------------------------------------------

ダム放流量を活用した発電所で基金を設立、地域に貢献

Sustainable Brands Japan 2017.02.16 

                                                   
多目的ダムに導入した有田川町営の二川小水力発電所(2016年8月)

和歌山県有田川町は、県営の多目的ダムに維持放流量を活用した町営の水力発電所を導入し、平成28年度新エネ大賞の資源エネルギー庁長官賞を受賞した。資源ごみの収集業務を有料化し、業者から得た収益を積み立てるなどして建設費を捻出した。発電した電力は関西電力に売電し、売電益は「有田川エコプロジェクト」の事業や、小中学校の環境教育に充てている。全国に例がない町営の発電所で、先行事例として高く評価された。(オルタナ編集部=松島 香織)

資源ゴミ収集を有料化することができたのは、自治会や住民の意識の高さや長年の取り組みからきている。20年くらい前からごみの衛生面や、収集の効率化が問題になっていたが、平成10年にごみ集積所を完全にステーション化した。扉が閉まるコンテナにし、動物に荒らされたり、雨水に濡れることがなくなり衛生面は改善された。

分別については、集会へ出向いて説明会を開くなどして協力を求めた。平成20年以降はごみの分別を徹底し、収集業者が逆に購入したいと思うほど、ごみの質が高くなった。現在では、ごみ収集業務は入札制にしているという。

売電益や資源ゴミの分別徹底で削減できた費用などを基金にし、コンポストの無料貸与や生ごみ処理器の購入補助制度、太陽光発電や太陽熱利用の設置補助に活用して、住民の取り組みを支援している。

有田川町環境衛生課の上野山友之主事は「有田川町には長年、官民連携でエコプロジェクトを推進してきた自負があります。温暖化対策のひとつとして、再生エネルギーに取り組んでいますが、それは地域活性のひとつの要素で、コミュニティに貢献することが一番重要です」と話した。






開くトラックバック(0)

全1095ページ

[1] [2] [3] [4] [5] [6] [7] [8] [9] [10] [11]

[ 前のページ | 次のページ ]

本文はここまでですこのページの先頭へ
みんなの更新記事