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文化祭の準備が始まった。
俺の仕事が増える一方の文化祭。
いつもなら、イライラしてるところだけど、今は何故か楽しい気分だ。
それって、凄いことだよな。
「会長!東棟の木材確認してください。」
「了解」
無線から聞こえる生徒会本部の生徒たちの声。
さっきから、走りっぱなしだ。
クラスの方も見に行かなければいけない。
なのに、他の学年も見回りしなきゃいけにし。
なにより、トラブルが続いてる。
「うん、木材は大丈夫みたいだね」
「せっ先輩!!けっ喧嘩!!」
「まったく、知りませんよ!!」
また、走る。
でも、忙しいのも悪くない。
これだけ、頼りにされているんだから。
世界が一転して変わったような気分だ。
「何やってんですかぁ!!!!いい加減にしてください!!」
「うっせぇ!」
俺の胸倉を掴み、持ち上げた。
俺はそれに、すこし頭に来たので、得意な毒舌を出すことにした。
「早く、その汚い手を放さなければ、俺はお前を権力という力で殴るぞ」
「ひぃ!!」
失礼な悲鳴をあげた。
「なので、喧嘩はやめてくださいね」
ニッコリ笑って見せるが
「顔笑ってねぇよ。会長」
「それでは」
一件落着したところで、俺はクラスに顔出しをすることにした。
賑やかな廊下。
たびたび、会長が来たとか騒いで、食べ物をくれる。
「会長!!これ、あげるよ。試しで作ってみた、たこ焼き」
「ありがとう。おいしかったら、買いに来ますね」
自然に笑いが出る。
その笑いに、生徒が驚く。
なんでだろ。
「みんなぁ、どうだ」
「うわぁ!!」
一世にクラスの生徒が何かを隠した。
なんなんだ?
「どっどうしたんですか」
「いや、何でも」
「作業進んでますか?」
「うん、進んでるよ。兄さんの忙しそうだね」
「えぇ、とっても」
「でも、楽しそうね」
そう、すごく楽しいんだよ。
俺がこんなにも学校行事が楽しいなんて初めてかもしれない。
「楽しいよ。とってもね」
「会長!!業者が間違えて食材足りません」
「はいはい。それじゃぁ、またね」
俺は、また生徒会室に行くことにした。
だけど、さっき何隠してたんだろう。
気になるなぁ。
「で、食材どのくらい足りないの」
「キャベツとニンジンが10本ずつ。あと、肉が三キロ足りないんです。」
「スーパーでかえるだろう。俺が手配する」
「会長。顔色悪いですよ」
そうだな、走りっぱなしで休んでなかった。
だから、妙に呼吸苦しかったんだ。
ヤバイかな。
「大丈夫ですよ。貧血ですから」
薬、飲んでおいた方がいいかな。
「会長。資料が届きました。サインお願いします。」
「あぁ、はい」
あれ?
資料の文字が歪んで、いけない。
「はい」
そうだ、少し外で空気を吸って来よう。
あぁ、きれいな空だ。
こんなにも澄んだ気持ち。
死ぬというのに、こんなにも落ち着いてるなんて。
でも、これも宮たちのおかげなんだよな。
こんな気持ちになるんて、こんな日が来るなんて知らなかった。
だから、皆にこの文化祭が終わったらお礼言わなきゃ。
「よいっしょ。さて、もう一度見回り行かなきゃ」
その時だった、階段から降りようとした。
だけど、目眩が俺を襲って。
そして、呼吸が続かなくなった。
「はぁっ、やっヤバイ」
落ちないように階段から離れようとして、それがいけなかった。
立ち止まっていれば治っていたのかもしれない。
俺は、無理に動こうとして階段から落ちた。
「うわぁっ!!!」
すごい、音。
最後に、頭を強く打って。
俺は気を失ってしまった。
俺は、生徒会副会長。
会長の次に責任者として、この文化祭や学校を指揮している。
だけど、肝心の会長が見つからなくて。
外まで探したが、どこにもいなかった。
それで、生徒会室から近い階段の方に行った時だった。
真っ青な顔で、会長は倒れていたんだ。
「会長!?」
呼吸が小さい。
脈も遅く、危険な状態だと知った。
とにかく、津森に電話しようと携帯にかけ、すぐ来るように頼んだ。
「とにかく、呼吸を確保して」
「っ……うっ……」
眼が覚めたのか、うっすらと目を開けた。
「大丈夫ですか、会長」
「……梓」
「今、救急車呼びますから」
すると、首を振る。
「どうして」
「あいつらに、迷惑がかかるから」
無理やり体を起して、俺に寄りかかった。
冷たい手。
顔色は悪くなる一方。
だけど、呼吸は落ち着いてきたようだ。
「とにかく、検査はした方がいい」
「うん……学校終わったら病院だから。その時に」
「無理、しないでください。」
知っていた。
彼が病気だって事を、津森から聞かされていた。
「光!!」
「大丈夫、足ひねっただけ」
「嘘つけ!!顔が真っ青だよ」
津森と宮。
すぐに光を抱えて保健室に駆け込んだ。
だけど、光は微笑んでいて、幸せそうにしていた。
あんなふうに笑うなんて。
会長は気難しいと思っていた。
だけど、本当はあいう風に笑うんだ。
お願いだ、俺からの。
生きてくれ。
俺は、会長を失ったらだめなんだ。
失いたくない。
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