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広い空。
広い世界。
こんな地球に生まれてきた人間はとっても幸せだ。
ここに生まれてきただけで、嬉しいことだ。
ありがとうございます。
神様、俺をここに存在させてくれて。


俺は朝、思った事があった。
もう限界が来ている。
きっと、この文化祭が終わったら……きっと…
たぶん、俺はいなくなってしまうだろう。

「光」

津森の声がした。

「準備できたか?」
「できてるよ」

笑みを浮かべた。
鞄を持って、久し振りに感じた制服。

「行こう、最高の文化祭にしよう」
「もちろんです」

津森がニヤリと笑う。
吊られて俺も笑みを浮かべる。
最高の文化祭。
そして、最後の文化祭。
最後の学校。
俺にとっての最後は始まりなのかもしれない。


学校に着くと、生徒達が騒がしく店番をしていり、走りまわってたり。
楽しそうな笑い声さえ絶えない。

「楽しそうだ」

それを見ているだけで、とっても嬉しくなる。

「会長!!たこ焼き!!」

目の前に差し出された。
温かなたこ焼き。

「おいしそうですね。買いますよ」
「いいよ。あげる」

膝の上に乗せてくれて、最後に言った。

「楽しんでよ!!俺達、楽しい文化祭にしてみせますよ!!」
「あっあぁ」

ニカッと笑った。
まるで、俺のために楽しい文化祭にしてやるっと言っているようだった。
だけど、やけに周りが俺にかまっていた。

「会長!!飴あげるよ」
「子供ですか俺は」

楽しかった。
皆も楽しそうなのが、嬉しかった。
こんな楽しかった文化祭なんてなかった。
だって、いつも俺はサボリに仕事のセットで文化祭を過ごしていた。
一切、店なんて見回らなかった。
だけど、楽しい。
今は、楽しくてたまらない。
一瞬思った、時が止まればいいのに。
今まで思ったことがなかった。

「そういえば、光。約束したよな」
「えっ?」
「じょ・そ・う」
「えっ……マジ」

教室に入り、男子がメイド服を持っていた。
しかも、宮はすでにメイド服に着替えていて。

「にいぃさん」

涙目になりながら、俺を見た。

「可愛いじゃないですか」

面白そうに立ち上がり。
俺はメイド服を手に取った。

「これ、入るんですね男でも」
「ってか、お前細いから大きいかもな」

服を脱いでいき、メイド服を着てみる。
少し大きいぐらいで、何の問題もなかった。
髪を二つに結び、いつもしている眼鏡を掛けて、そして……

「どうですか?」

微笑んでみる。
男子たちは顔を赤くし、女子はキャーと騒いでいた。
そんなに似合っているのだろうか

「お前さんは車椅子で動け」
「えっ、大丈夫ですよ。俺、歩けるし」
「駄目だ。幸田先生に言われている。疲れさせるなって。それが原因で死なせるわけにはいかないんだよ」

あっ、きっとこの時、言いたくない言葉を言ったんだろう。
俺はわかっていたんだ。
彼が必死に、必死に俺をかばってくれているって。
だから、嫌な思いさえしなかった。

「うん。わかったよ」
「それに、車椅子のメイドさんもいいじゃん」

皆も頷いて、俺は苦笑した。

「楽しもう!!なっ光!!」
「そうだよ、兄さん」

微笑ましくなる。
でも、それは数時間しか持たなかった。
俺の立場を考えていなかったんだ。
この学校には俺を恨んでいる奴らだっているんだ。
油断しすぎていた。
文化祭も終わりに近づき、皆忙しく動き回っていた。
俺は休憩がてら、散歩に出かけようと思い教室から出ようとしていた。

「光君!逃げて!!」

渚の声。
走ってくる、そして

「光君逃げて」
「えっ」
「光君を探して、バット持った男の人たちが」

俺を探してくるらしい。
俺は体が先に動いていた。
とにかく、ここから離れなきゃいけないだから。

「渚、このことは誰にも言うんじゃない。もし、言ったら文化祭が台無しになる。いいな。絶対に言うなよ。もし言ったら、ただじゃおかない」

そう言って、俺は最後に渚を抱きしめた。

「大丈夫、なんとかなるから」

笑顔を見せて、渚の頭をなでた。
車椅子から立ち上がり、俺は学校から出るために走り出した。
走るなんて言語道断。
だけど、文化祭は成功させたいんだ。

「あっちだぁ!!!!!!」

どなり声。
来ている。
走る。
呼吸が苦しくなってくる。
けれど、俺は走る。
皆の笑顔が消えないように。
だってさ、あんなに楽しい文化祭初めてだったんだ。
それに、皆が俺を楽しませてくれた。
最後の最後まで、楽しい一日を……
一瞬だけ横切った津森の言葉。

『また、自分を捨てただろ』

そうだ、自分を捨てなきゃいけない時だってあるんだ。

薄暗い学校裏。
あいつらも、後ろから付いてくるのがわかった。

「俺はここです。」

あぁ、気が遠くなる。
相手の顔がすこし濁っている。

「てめぇのせいで、この学校を退学にさせられたんだ」
「あなた方のせいでしょ?」

冷静を保つ。

「噂によると、死ぬんだってな」
「だったら、俺達が死なせてやるよ」

四人の男。
それぞれ、バットを持っている。
相手にはできない。
だけど、ここで粘っていれば文化祭は終わる。
あと、三十分。

「ほら、俺達が殺ってやる」

笑いながら近づいてくる。
やれるもんなら、やってみろ。

「お前らがやったら、理事長が直々に君たちが今通っている学校から退学させることができる。」
「だったらなんだ」

ヤバイ。
どうしたらいい。
ジリジリ迫ってくる。

「俺達は、それを覚悟で来たんだよ」

バットが思い切り上から振り下ろされる。
間一髪のところで、それを避ける。
だけど、もうあとがなかった。
後ろは壁。
どうしたら、どうしたらいい。
その時だった。
運悪く、俺の肺は呼吸をやめようとしていた。

「はっ!はっ……っ」

だんだん、苦しくなっていく。

「おっ?病気の発作か?」

ニヤリと笑い、俺の胸倉をつかむ。

「離せっ……」
「うっせぇ!!」

一発殴られる。
脳が揺れて、俺は気を失いかける。

「てめぇなんか、死んでしまえ」

俺は、その言葉に怒りを覚えた。

「お前なんか、お前なんか!!いつまでも、生きられる時間なんて沢山あるのに!!どうして、真面目に生きようとしない!!なんで……」
「なんだと」

そうだ。
こんな人間が生きられて、なんで俺には生きる時間が少ししかなんだ

「どうして、なんでお前らのような人間が生きられるんだぁぁ!!」

涙があふれてくる。
悔しい。
どうして、俺はこれだけの時間しかないんだよ。

「光!!」
「兄さん!!」

津森と宮の声。
津森は、四人の男を投げ倒し、宮は俺を助けた。

「兄さん」
「何で…何で俺には時間がなく、こいつらには時間があるんだ」

残酷な現実。
四人は学校の警備員につかまり、警察へ。
俺は顔の手当を受けて、ダンスパーティに。
俺は、ずっと皆の顔を見渡していた。
最後なのにどうして、こんな気持ちなんだろう。
どうして。
あいつらが来なければ、俺は楽しい気持のままだったのに。

そう、俺が落ち込んでいた時だった。
マイクから通して、スピーカから津森と宮、渚の声が聞こえてきた。

「光に、そして皆に聞いてもらいたいことがあるんだ。」

俺は、信じられなかった。
この文化祭が楽しかった理由。
それは、俺のためにできた文化祭だったからだ。



あとがき

えぇ、真実は次号で。
光君は皆に騙されていました。
それに、長くてごめんなさい。
あはっ(藁
それと次回は泣けるところですよ。


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