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入院してから、早二週間。
病状は、変わらなかった。
薬を使っても、咳は出るし血も吐く。
でも、入院して変わったことがあった。
自分の未来を考えることができる。
そう、俺は今まで考えた事ががなかった未来を考えられるようになったんだ。
そして、もう一つ変わったことがある。

「早瀬君」

病室に、女の子が来るようになった。
その時間が楽しみだった。
くだらない話をして。
自分を元気づけてくれる。
彼女も同じ病気で三か月前に入院したらしい。
年は俺の二つ下。
髪が長くて、肌が白い。
いかにも病弱そうな女の子だけど、笑顔が可愛くて素敵だと思った。

「どうしたんですか?南さん」

読んでいた本を閉じると、笑顔で迎えいれた。
彼女は椅子に座ると、俺の顔を窺った。

「どうしました?」
「勉強教えてくれない?」

頬を少し赤くして、自分を見た。

「もちろん」

心から喜んだ。
彼女が俺に頼ってくれるのは嬉しいことだ。
俺は彼女の事を妹のように接していた。

「勉強、ちょっとずつやりましょうね」

手を握って、俺に言った。
俺は彼女の笑顔が好きだ。
可愛くて、優しい手が好きだ。
優しくて
優しすぎて、なぜか泣きそうになった時があった。

「光君、検診の時間ですよ」
「あっ」
「南ちゃん、今日も来ていたのね」
「はい」

看護婦が南に近づいて言う。
俺は微笑んで腕を出す。

「出ていた方がいい?」
「そのまま居てくれて構いませんよ」

俺は言って、体温計を脇の下に入れ、南に微笑む。
看護婦は何故かニコニコしていた。

「付き合っているみたい」

付き合う。
そんなの絶対ないね。

「ないですよ。友達です」

だって、付き合うなら。
生きなきゃいけないから。


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