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目を覚ました時には食べ物の匂いが部屋に充満していた。
シチューの匂い
ソファーで眠っていた
というか、気を失っていたんだ。
疲れていたのだろうか
それとも、貧血
理由はたくさんあった。

キッチン側の方で話し声が聞こえてきた。
三人の声が聞こえてくる



「兄さんは、俺達が死なせない」
「そんなの、無理だろ。運命には逆らえない」
「逆らうんだよ、無理やりでも」



運命には…逆らえない。
確かに、運命には逆らえない。
けど、俺は予定より長生きしているんだ。
それだけども、逆らっていると思えないか?
それだけで、俺の運命は変わってきていると思わないか?



「ふん、俺は別にいいが。せいぜい、頑張りなよ」



冷たく…言い放ったウィル。
宮と津森はどんな顔をしているのだろうか。



「うっ……」



ちょうどいいと思い、俺は起き上がった。



「兄さん」
「大丈夫か光」
「えぇ、平気ですよ」



ウィルが俺の前に立ち
そして、見下ろした



「お前さ、どうすんのこれからさ」



隣に座り、いつもより優しい顔をしていた気がする



「なんもしないつもり?」
「まさか、俺は俺のやるべきことをしますよ」



でも、俺に何が…できるだろうか



「なぁ、お前さ……恋したことある?」
「えっ」



少し、苦笑しながらだった。
ウィルの雰囲気が変わっていた。
今気づいたけど、そうだ……やわらかくなった。



「してみれば、誰かのために生きるのは悪くないよ」



まともな答え。
あっ……たぶん、間違えじゃなければ…



「もしかして、ウィル。仕事休んで、俺を励ましに来たのですか?」
「はぁ!!!?」



あっ…真っ赤になった。
図星っぽい。



「なっ……なななな何言ってんだ!!」
「どもってる。ウィル図星なんだ」



宮からの最後の串刺し。



「へぇ……だから、ちょっと変だと思った。言い方はキツイけどさ、本心じゃないって言うか」
「うっうるさい」
「ぷっ…ふふふ」
「笑うなぁ!!」
「まぁ…今までの失態を含めて、許してやってもいいがな」



俺は、きっと意地悪な顔をしたと思う。
だけど、ウィルは真っ赤のままで、俺を見つめていた。



「俺は、お前が小さい頃、色んな意地悪してきたけど。なんか馬鹿らしくなって。だから、せめてお前が死ぬ前に

謝っておきたかったんだが、癖でまたキツイ言い方してしまった」



情けない顔。
だけど、少し素直になっただけでも良しとしよう。



「いいですよ。ありがとう」



微笑み。
うん、これでいいんだ。
少しでも周りが俺を見てくれている。
それだけで、俺は嬉しかった。



「それで、恋って?」



津森がウィルの隣に座り
宮は床に目の前に座った。

まぁ、恋ってさ。すごく人の力を引き出すんだってさ」


「ウィルが恋とか、変なの」
「うるさいぞ、宮」
「恋……」



窓から満月が見えた。
美しく、妖しく輝きを放つ



「南」
「えっ?」
「南に会いたい」



昨日別れたばかりだというのに
会いたくて仕方がなかった。



「誰?」

「病院でさ、病室隣だった女の子だよ。めっちゃ可愛いぜ」
「うん、とても素敵な笑顔でね、優しくて、でも泣き虫で…」



きっと、彼女の泣き顔が目に浮かんで
微笑んでしまったんだろうな



「兄さん…顔ニヤけてる」
「そうですか?」



きっと、まだ顔が緩んでる



「光、少しぐらい、自分に許したら?」
「えっ」



ウィルが俺の肩を掴んで見つめた。



「自分が病気だとか、死ぬからだとか、関係ない、自分の好きなように生きろ」



自分の好きなように

生きる
生きる
生きる……
俺の生きる道…
うん、なら俺は彼女と生きたい

この気持ち、彼女にさらけ出そうか。






あとがき



ウィルは悪いやつじゃなかったですね。

んで、南に告白する決断。

わぁ・・・



次回を待ってくれい。

んで、ちょっとお願い見てくれてる人

あしあと付けてくれると嬉しいな。


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