地球で学んだこと

毎日のさりげないことをスピリチュアルな視点も含めて書き記しています。

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北帰行

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我が田舎の鶴の越冬地から、次々に鶴たちが飛び立っている。
故郷たるシベリアの大地への旅を始めたのだ。
いわゆる北帰行である。


彼らは身体がとても大きいので、途中で何回か休憩を取るようだ。
本州の南端、対馬、韓国・北朝鮮、中国、モンゴルなどで数日間だけ羽根を休め、たっぷりとした食事で精をつけ、そしてシベリアへ向けて気持ちも羽ばたくのだ。


その長い旅程を飛びこなせる体力と生命力と、凄まじいまでの忍耐力(一つのことをやり抜く持続力)と、コンパスを持たないでも方角を知ることの出来る空間認識能力は驚愕に値する。
“万物の霊長”たる人間は、この能力の幾つを持っているだろう。



昨日も今日もそして明日も、彼らは北の大地に向かって力強い羽ばたきを見せるだろう。



雲のポッカリ浮かんだ大空から地面を見下ろすと、そこには青い海と、小さな島と、緑色と白の混じった平原と、白くて屏風のような山並みしか見えない。
そこには人間が作った人工的な境界線など存在しない。
実線も破線も、赤い線も青い線も引かれていない。
茫漠たる豊かな原野が広がっているだけ。


大空を自由に飛翔する鶴たちからすると、人間達は自分で勝手に作った境界線の中に自らを閉じ込め、目に見えぬ限界の中で勝手に苦しみ、同じ生き物同士、わけの分からない理由でいがみ合っているよう見えるかも知れない。
きっと滑稽なことだろう。


高い高い空からこの地平を見下ろすとき、そこには伸びやかにして豊穣な大地が広がっているだけ。
どこの誰も人間を狭い牢獄に閉じ込めようなんて考えてやしない。
もっと仲良くしたらいいのに、もっと自由に行き来したらいいのに、もっと穏やかに笑顔を浮かべて付き合えばいいのに。
空を高く飛ぶ者たちは、きっとそんなことを人間に対して願っているだろう。
それが全ての生き物に対する人間からの贈り物だからだ。



まあ、鳥には鳥の世界の縄張りがあって、彼らはその中で以外に苦労しているのかも知れないけど。


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